メイドさんが家に来た その5
(* ̄∇ ̄)ノ いよいよ、スキュラのメイドさんが。
「さ、ハイアディ、人に化けてみて」
「う、うん」
フィスノの部屋で裸になって、人化の魔法を使う。下半身の触手が引っ込んで、白い二本の足で立つ。
「……はー、」
「どうしたの? フィスノ?」
フィスノが頬に手をあてて、なんだかうっとりとした感じで?
「青い髪は淡く光りうねり、白い肌も輝くようで、人に化けてもハイアディは妖精みたいね」
「あう、私はアシェとクインみたいに、髪の色とか長さとか、変えられなくて」
「髪の方はウィッグで誤魔化せるかしら?」
今度、アシェとクインに教えてもらって練習しよう。頑張れば色を変えたりできるようになるかな?
フィスノの部屋、ベッドの上にメイドさんの服と下着が並ぶ。フィスノがぱんつを手にして私を見る。
「私がハイアディに着せてもいいけれど、ハイアディに下着の付け方を教えるには、そうね」
言ってフィスノはメイドさんの服を脱ぐ。スポンと勢いよく脱いで裸になる。
「私がどうやって服を着るか、見せた方が速いわ」
「あの、ありがとうフィスノ」
「どういたしまして。……どうしたのハイアディ? ジロジロ見て?」
「えっと、人の裸をこうして近くで見たことがあんまり無いから。足の形とかどうなのかなって。私の足って変じゃない? 大丈夫?」
「変、じゃないと思うけど。足首は細くて、なのに健はしっかりしてて、綺麗な足よ」
「人化の魔法の参考にしたいから、近くで見てもいい?」
「そういうこと。いいわよ、触ってもいいから」
「ありがとう、フィスノ」
裸になって立つフィスノ。その近くでしゃがんでフィスノの足を見る。私が人化の魔法で参考にしたのは、深都での解剖学の資料とか。人は服を着てるから、こうして近くで女の人の生の足を見たのって初めてかも。人はズボンとかスカートで足を隠してるし。
触ってもいいってフィスノが言ったから、そっと触る。足の爪、けっこう硬い。あれ、私の足の爪ってフィスノに比べて細くて長くない? こういうところで違うの? もしかして深都の資料って古いのかしら? 足の甲は血管が浮いてる。肌はすべすべ、うっすらと産毛が柔らかい。人化の魔法を使って化けるとき、毛ってどれぐらい生やせばいいんだろう?
フィスノはフクロウの隊員さんって聞いてる。ふくらはぎに太股の前と後ろに、鍛えられた筋肉がしっかりついてる。その分、私の足よりちょっと太い。脂肪は少ないみたいで、引き締まってる。
くるぶしに膝の骨、触って感触を確かめる。すねにほくろ。ほくろがついてた方が自然? 後ろに回ってお尻と太股もペタペタ。お尻の肉が柔らかい。あれ? 触るとフィスノの足がピクッてなる。
「はん、あ、あの、ハイアディ」
「あ、くすぐったかった?」
「うん、その、触ってもいいけど、その」
あれ? フィスノの耳が赤くなってる?
「……ハイアディの息が感じられるくらい近くに顔を寄せられて、真剣にまじまじと、穴が空くほど見詰められて、確かめるように触られてると、なんだかちょっとその……」
「どうしたの?」
フィスノがそっと顔を逸らす。なんだか呼吸がはやくなってる?
「私にそっちの気は無いハズなんだけど……」
「そっちの毛? どっちに毛が生えてるの? 前? こっちじゃ無いの?」
「いえ、その毛じゃなくてね、」
「?」
「な、なんだか、恥ずかしくなってきちゃった……」
「はう、あの、ごめんなさい。夢中になっちゃった」
フィスノの足から手を離す。なんだか、ちょっと気まずくなっちゃった? フィスノは気を取り直すように、コホンと咳払いして、ベッドの上からぱんつをとる。ひとつを私に手渡して。
「じゃ、ハイアディ。見て真似してね」
「はい」
フィスノの真似してぱんつを穿く。足を通して引っ張りあげる。
「ぱんつは人に穿かせてもらうものだと思ってた」
「それだと、一人で着替えもできないじゃない」
「うん、でもそういうのが人の風習なのかなって」
「違うからね。まったく、そう思わせて何をするつもりだったのかしら……」
白いぱんつを穿いて、白いぶらじゃーをつける。ちょっと大きいみたい。それとも私の胸が小さいのかな?
「ハイアディの胸は小さくないわよ。どちらかと言うと大きい方なんじゃ?」
「フィスノのぶらじゃーでも、ちょっと大きいみたいなんだけど」
「女の胸って人によって大きさと形はちょっと違うから。服屋でサイズの合うものを探すか、それとも、ルミリア様に相談して領主館でサイズを合わせたものを揃えてもらおうかしら」
フィスノが言いながら私のつけたぱんつとぶらじゃーに触れる。位置をちょっと直して、ぶらじゃーは外して。
「ノーブラになっちゃうけど、これで服を着てみましょうか。手伝うわね」
「はい」
白いガーターベルトをつけて、長い靴下を穿いて靴下止めで押さえて。フィスノのメイド服を着せてもらう。黒いスカートは足首まであって長い。袖も手首まである。その上に白いエプロンを着けて、領主館で見たメイドさんと同じ格好に。
人に化けた私はフィスノよりちょっとだけ背が低い。だからフィスノのメイド服を着ると、少しだけ袖が余るみたい。
私と同じメイド服姿のフィスノが聞いてくる。
「どう? どんな感じ?」
「うぅん、変な感じ。袖のあるのを着たこと無いから、なんだかちょっと窮屈?」
「ゼラ様も、館のお客人も袖のあるのはあまり着ないわね。クインは外ではハンターの格好をするけど、館の中だと半袖が多いかしら?」
「私たち、人より暑さ寒さには強いみたいだから」
「ハイアディも家の中は楽な格好でもいいのよ。だけど、街に行ったりとか、あとはこの家でお客を迎えるときは、このメイド服になってもらうけれど」
「慣れれば大丈夫、かな?」
私は深都では、昔のジャスパル王国風に一枚布を肩から巻いてることが多かったから。裸よりは何か着てる方が安心。
「思い返せば、深都って厚着の姉妹がいなかったし。みんな、薄着か裸なの。人はみんな厚着するのね」
「子供は短いズボンとか短いスカートとか穿くけれど、大人の女は足を出すのは、はしたないっていう感じだから」
「足を出すのは、はしたないの?」
「なんて言えばいいのかな。胸とお尻の他に、太ももとかお腹とかも、見られるのは恥ずかしいから」
「そうなんだ。ローグシーの街の人がしっかり服を着てる理由がわかった気がする」
「ゼラ様は見られてもあまり気にしないし、アシェは逆に見せつけて、男の隊員が前屈みになるのを鼻で笑ってたりしてたけど」
アシェ、マッ裸組なのは知ってるけど、何をしているの? 私はそんなことしないからね?
「ハイアディにアシェにクインといった美人が、半裸か全裸で堂々とうろつく街。ちょっと見てみたいわね」
「人は、入れないのだけど? 何処にあるかも教えられないし」
「その方がいいのかも。スケベな男とか、芸術家が命懸けで行きたがるかもしれないし」
すけべに命を懸けるの? 男の人と芸術家ってすごいのね。でも今の人がどんなに頑張っても、紫龍はまだ越えられないんじゃないかな?
フィスノが私の腰の後ろでエプロンのリボンを縛って、
「はい、できた」
できた、ちゃんとメイド服が着れた。フィスノに手伝ってもらってだけど、私でもなんとかなった。うん、ぱんつを穿く特訓なんてしなくても、服は着れるんだ。その場でクルリと回ってみる。黒いスカートがフワリと翻る。
「あとはその髪を纏めて、ヘッドドレスもつけてみる?」
「はい、フィスノ、お願い」
なんだか、ウキウキしちゃう。
メイド服を着るって楽しいかも。
設定考案
K John・Smith様
加瀬優妃様
m(_ _)m ありがとうございます
( ̄▽ ̄;) メイドで大工で謎料理と、多芸なスキュラ。万能文化タコ娘。




