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メイドさんが家に来た その1

(* ̄∇ ̄)ノ レーンの家にメイドさんが来ました。


 レーンの家の中、ひとつの部屋を掃除する。


「ふんふーん♪」


 うん、こういうことなら私も役に立てるみたい。置いてあるものは隣の部屋に移して、床をきれいきれいに。


 レーンの家は、レーンがハンターしていたころ、パーティメンバーが六人で住んでいたっていうから広い。そのパーティがハンターを辞めて、その家を譲り受けたレーンはこれまで一人で住んでいたって。

 たまに昔のパーティメンバーが遊びに来たり、レーンが副隊長している街の守備隊の人が来たりするけど、住んでいるのはレーン一人。

 だからレーンがいつも使うところ以外は物置みたいになってる。レーンがいつも使うところ以外は掃除して無いんだって。一人で住むには広いおうちだから、一人で全部お掃除するのはたいへんなんだろうな。


 部屋をひとつ片づけて掃除するのは、ここに新しく来る人がいるから。ウィラーイン諜報部隊フクロウの隊員さん。これからはレーンの家のメイドさんになるって人。

 レーンが守備隊のお仕事に行くときは、その人が私の見張りをするというか、監視をするというか。

 私はこれまでレーンの家から出ないようにしてたし、ローグシーの街でヘンなことするつもりは無いけれど。その人と上手くやっていけるかどうか、ちょっと心配。

 これまでレーンと二人きりだったから。


「ハイアディ、来ましたよ」

「はーい」


 レーンに呼ばれて応接間に。人化の魔法で人に化けて、一枚布を身体に巻き付け直す。レーンの家の中だといつもの格好。


「初めまして、クチバの配下、フィスノと申します」


 メイド服を着こなして優雅に挨拶する明るい茶色の髪の女の人。なんだか柔らかい感じ? クチバの部下さんだって聞いてるからちょっと警戒してたけど。目が細くて薄く微笑んでて、なんだか余裕のある落ち着いた感じの人。

 レーンが挨拶して、私も初めまして、と挨拶する。


「これからはレーン様にお仕えする住み込みのメイド、ということになります。もちろんメイドとしての仕事はさせてもらいます」

「そこはハラード様と話した通りに」

「人に化けたハイアディは私の妹、という設定になります。なのでハイアディ、私のことはお姉さんと呼んで下さい」


 えーと、それはちょっと。深都のお姉さま以外を、お姉さんと言うのは私には難しいかも。悩んでいるとフィスノが首を傾げる。


「お姉さまでも、フィスノお姉ちゃんでもいいですよ?」

「ううん、名前で呼ぶのはダメ?」

「初対面でいきなり姉と呼んで、というのは難しいですか。それならフィスノで。よろしくハイアディ」

「あ、はい、よろしくです」


 私が言うとフィスノはニッコリ。あ、いきなりペタペタ触ってきたりはしないんだ。あれはウィラーイン家だけなのかな? でもクチバはいきなりワシ掴みしてきたし。クチバの部下さんだから警戒してたけど、フィスノはそういうことはしてこないのかな?


「では、レーン様。この家の家事については私にお任せ下さい」

「これまで自分でしてきたことを人に任せるのは落ち着きませんが、よろしくお願いします」

「けっこう大きな家ですが、炊事、掃除、洗濯とレーン様がお一人で?」

「炊事は簡単な物で、外で買ってきたものを家で食べることも多いですね。掃除は部屋の全てをしている訳では無いので。洗濯については、守備隊の隊員が頼んでいる洗濯屋を使っています」

「そうですか、でしたらレーン様とハイアディの生活を見せていただき、私が手を出すところを考えていきますね。その都度、相談させていただきます」


 レーンとフィスノが話をしているのを横で聞く。しっかりしてる人? うーん、この人と一緒にこの家で暮らすことになるのね。これまでレーンと二人っきりだったのにい。

 フィスノがこの家ですることをレーンと話をしていて、フィスノがチラリと窓の外を見る。


「レーン様は今日は守備隊の夜勤の予定では?」

「そろそろ行かないといけませんね。ですが、」

「初めて会った私を信用するのは難しいでしょうか? ですが、そこは受け入れて下さいね」


 レーンはちょっと眉を顰める。それでも時間を気にして、立ち上がる。


「では私は仕事に行きます。ハイアディ、フィスノを部屋に案内してあげて下さい」

「あ、うん」


 レーンは私の耳元に顔を寄せて小声で、


「何か身の危険を感じたら、直ぐに地下湖に逃げて下さい」


 心配し過ぎ、じゃないかな? それとも、レーンも二人っきり暮らしを邪魔されるのがイヤなのかな? ちょっと不安そう。レーンが守備隊のお仕事に家を出ていくとき、いつより振り返る回数が多いような。

 メイドさんを案内しないと。

 

「えっと、お部屋はこっちです」

「お願いね、ハイアディ」


 あれ? レーンと話してたときと言葉使いと態度がかわった? かたくないというか、軽くなったというか。


「ハイアディが私の妹役になるって聞いて、楽しみにしてたのよ」

「そ、そうなの?」


 なんだか楽しそうなフィスノ。荷物を運び出して掃除したばかりの部屋にフィスノを案内する。


「まあ、随分と綺麗ね」

「えと、ざっとお掃除しただけなんだけど?」

「ハイアディが綺麗にしてくれたの。レーン様に仕えるメイドの姉妹、ということで私がハイアディにメイドの仕事を教えるつもりだったのだけど。その必要は無いかしら?」

「あ、えと、人のお掃除の仕方を教えてくれるなら、お願いしたいです」

「人のお掃除の仕方って? ハイアディはどんなお掃除の仕方を? スキュラの魔法なの?」

「魔法じゃなくて、その、」

「ちょっと見せてくれない? ハイアディ?」


 ワクワクした感じで言うフィスノ。持ってきた荷物を開けもしないで床に置いて、私に言う。えぇと、いいのかな?

 人化の魔法を解いて、もとの姿に戻る。下半身の黝い触手の粘液を操作して、床ににゅーっと伸ばす。


「えっとこんな感じで触手で床をペタペターって。ごみと埃をくっつけたら、桶の水の中に触手の先を浸けて、粘液ごと桶の中に埃を落として。これを繰り返して部屋の中のごみと埃を取って」


 24本の触手でうにゅー、とすればこの大きさの部屋のお掃除は直ぐに終わる。ベッドに下も窓もうにゅー、ぺとぺと、ふきふき。説明しながらフィスノを見ると、ちょっと驚いてる? 細い目が開いて赤い瞳が見えてる。


「……うん、そのお掃除の仕方はハイアディにしかできないみたいね」

「人には、無理かな?」


 フィスノは顎に手を当てて考えている。どうしたの?


「私はルミリア様から、ハイアディに人のことを教えてあげて、と言われてるの。それでどこからどんな風に教えてみようか、悩んでしまって」

「このお掃除の仕方は、ダメなの?」

「綺麗にできるからダメでは無いけれど、例えばレーン様がお友だちをこの家に呼んで、そこでハイアディがこのお掃除の仕方を見せたら、直ぐにスキュラとバレてしまうわ」


 あう、それはそうだけど。


「ハイアディが良ければ、人のメイドのやり方を私が教えるのだけど、どう?」

「それができたら、レーンのメイドの振りができるの?」

「そうね。知らないよりは知ってる方がいろいろ誤魔化せると思うの」

「上手くできたら、レーンのメイドの振りをして、レーンと一緒にローグシーの街を歩けるの?」

「そのときは、レーン『様』と呼んで言葉使いにも気をつけないとね」


 うーん、おぼえないといけないこと一杯?



設定考案

K John・Smith様

加瀬優妃様


m(_ _)m ありがとうございます


( ̄▽ ̄;) さて、フィスノさんはどんな人?


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