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タラテクト・ゼラ その1

(* ̄∇ ̄)ノ 蜘蛛意吐ビフォアーストーリー。幼き頃のゼラの一幕。


♪ぜーら、ぜら、ぜら、たらてくと

 森の奥からやってきた

 ぜーら、ぜら、ぜら、たらてくと

 黒い身体の元気な子


 今日も元気に森に行く

 いっぱい食べて強くなる

 いつか人になるために

 人になって、あなたのもとへ


「しゃー! たべるものー!」


 遠くから見る赤毛の子

 今日も元気にやんちゃする

 人とは一緒にいられない

 だからここから見守るの


「ン、今日も元気」


 ぜーら、ぜら、ぜら、たらてくと

 森の奥からやってきた

 ぜーら、ぜら、ぜら、たらてくと

 おしりのハートを見つけてね


挿絵(By みてみん)


◇◇◇◇◇


 カダールと別れたゼラは、やる気に満ちて左前足を高く上げる。


(つよい魔獣やっつける、食べる、そしたら人間になれる、がんばる)


 蜘蛛の狩りとは地味なもの。ゼラは木々の間に大きな蜘蛛の巣を張る。タラテクトの作る大きな巣はときに小鳥を捕らえる大きさ。


(ンー、でも、これで捕まえられるの、小さくて弱い)


 ゼラは糸を太くし、丈夫に頑丈にした巣を作ってみる。


(アレ? 何も捕まえられない? どうして?)


 太くした糸は見つかりやすくなり、罠としてバレやすくなる。


(ンー、どうしよ? どうする?)


 既にこの時点でゼラは普通のタラテクトを越えていた。工夫して目的の為に巣を作るという、知恵を使いはじめていた。


(他の蜘蛛は、どうしてるの? 強いえものの捕まえかた、知ってるのいないかな?)


 更には観察、という行動を身につけた。身を隠し他の蜘蛛をじっくりと見、蜘蛛の巣の種類と利用法を覚えて、自分で試して、失敗し、また観察して、改善点を見つけて、また試してみる。


 投げ縄蜘蛛が糸を前足で振り回す方法、水蜘蛛が水中に空気を溜める巣を作る方法、土蜘蛛の作る落とし穴のような巣、飛びつき蜘蛛の使う丈夫な三角網。

 様々な糸の使い方、罠の使い方を学習し身につけ、知恵持つ蜘蛛として恐るべき進歩をとげる。


 その合間には街に近づき、ときに街の中へと入り込み、人に見つからぬようにカダールを見詰め続けた。

 ゼラはカダールを見る度に人になるという意思を再確認しては魔獣深森へと戻り、自分より強い獲物を如何に倒すかを考え、知恵と工夫を凝らす。


(大きな蛇! はじめてやっつけた! いただきまーす)


 糸でグルグル巻きにし、顔は粘着性の網に包まれ窒息する大蛇。これまでに無い大物の捕獲に喜び勢いよくかぶりつくゼラ。


(強い魔獣、やっつけて食べる。ウン、この蛇、おいし)


 やがて、ゼラの身に異変が起こる。


(ンー? なんだか、いつもの脱皮と違う? からだがなんか熱い? これなに? ポイ? ポイズンタラテクト? うん、なんかつよくなった気がする!)


 進化、伝承に伝わる魔獣統べる王とも呼ばわる、進化する魔獣の能力を、ついにゼラが発揮した。タラテクトからポイズンタラテクトへと、ゼラは同じ蜘蛛型でも異なる魔獣へと脱皮して変化した。


(がんばって、人間なる! カダール!)


 その想いが消えぬ限り、何処まで強くなるか解らない未知の魔獣が、森の奥で高々と左前足を上げる。


♪ぜーら、ぜら、ぜら、たらてくと

 森の奥からやってきた

 ぜーら、ぜら、ぜら、たらてくと

 黒い身体の元気な子


設定考案

K John・Smith様

加瀬優妃様


バルーンアート

K John・Smith様


m(_ _)m ありがとうございます


(* ̄∇ ̄)ノ 以前にK様の活動報告に書き逃げしたSSです。しゅぴっ!



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