表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/162

ゼラはちょっともやもやしている


(* ̄∇ ̄)ノ 時はゼラが双子を産んだあと、結婚式の前、というあたりで。

スピンアウトには珍しく、久しぶりのカダール視点です。


 ゼラが双子を出産した。

 俺とゼラの双子の娘。

 エクアドとフェディエアの息子、フォーティスを見ているので、赤子とは夜泣きもすれば昼夜あまり関係無く、お腹が空いたりおしめが気持ち悪くなったり、または原因がよくわからないことで泣き声をあげる、というのも身近に見てきた。


 俺は神前決闘で腕の骨が折れ、わき腹が抉られた。ゼラもまた出産の為の肉体改造をもとに戻すため、本調子では無い。


「そこは私達に頼りなさい。家族なのだから」


 母上が嬉々として双子の娘達の面倒を見てくれる。もちろん、父上に領主館で働く者達も。


「ゼラはもう黙って無茶なことするなよ」

「あにゅ」


 クインとアシェンドネイルがゼラに魔力転移をし、ゼラの回復を促す。

 十日もすればゼラの体調はもとどおりとなり、ゼラの得意な治癒の魔法で俺の身体も治してもらう。医療メイドのアステの治癒術で良くなってはいたが、やはりゼラの治癒の魔法は別格だ。


「ようやく、カラァとジプソフィを両手で抱ける」


 ゼラの腕からジプソフィを俺の胸に抱きあげる。花の名前からとった名前で娘を呼び、その頬に口づける。


「カダール、もうゼラの知らないところで大ケガしたら、ダメだから」

「すまない、反省している。次は無傷で圧勝できるように強くならねば」


 ジプソフィを胸に抱き決意を口にすれば、フェディエアとクインと医療メイドのアステが半目になり、口を揃えて「反省するところが違う」と呟く。う、うぅむ。

 アシェンドネイルがゼラの抱くカラァと俺の抱くジプソフィを交互に見る。


「……人間の親子に詳しい訳ではないけれど、この父親と母親で大丈夫なのかしら?」


 不安に思われている。アルケニーの赤ちゃんを育てるのは初めてで、俺もそこは不安になるところだ。ルブセィラ女史が眼鏡の位置を指で直す。


「これまでに存在しないアルケニーの幼子です。何があるか解りませんから充分に注意しなくては」


 俺にとって初めての子、それも妊娠したと知ってから産まれるまでの時間も短く、俺が父親という心構えができてないかもしれない。周囲の心配から娘達に過保護になりがちになる中で、ゼラは笑顔で、


「ウン、大丈夫、たぶん」


 と、自信ありげに言う。カラァとジプソフィはフォーティスと兄妹のように育ち、フェディエアはゼラと三人の子供を挟んでゼラのベッドで寝たりすることも。

 子育てにつきもののトラブルはありつつも、三人の子供は大きな病気もせず元気に育つ。

 そんな日々の中で、


「ゼラが少し疲れているようだが」


 たまにボンヤリするゼラを見て、俺はルブセィラ女史と母上に相談する。母上が言うには、


「育児疲れ、かしら? ゼラにとっては初めてのことで気疲れしているのかしら?」


 ルブセィラ女史は手元のメモをめくりながら、


「筋力調整に神経を使って気疲れしているのかもしれません」

「筋力調整?」

「ゼラさんも慣れてきましたが、もともとゼラさんの筋力は簡単にカダール様の肋骨を折ってしまえる力があります。幼子を潰さぬように細心の注意を払うことで、ゼラさんにどれだけ負担になっているか、そこは私達には解り難いところですが」

「ふむ……、そこはちょっと深都の住人にも聞いてみるか」


 すっかり三人の子供達の乳母となっているアシェとクインを呼ぶ。アシェは口で文句を言いながらも率先して子供の世話をし、クインは深都の用事がなければ領主館に住むようになった。

 深都からの大使、アイジスも呼びテーブルを囲む。


「ゼラが力の手加減を間違えて、カダールの骨を折ったことがあるのは聞いた。だが、これはゼラが進化したあとの新しい肉体の力をもて余していたから、というのもあるのではないか?」


 アイジスの言うことにアシェとクインは、あー、と何か思い出したように声を出す。


「進化直後で身体の変化に感覚が追いつかないときがあったか」

「そうねぇ、私もラミアに進化したばかりの頃は、よく頭をぶつけたりしたわ」

「あたいも力をもて余して、飛行中にバランス崩して墜落したことある」

「これまで腕が無かったから、人の腕がある、というのを使いこなすのに混乱しそうになったりね」

「クチバシが無くて、どうやってメシを食えばいいのか、わけ解らなくなったりな」


 進化する魔獣というのも、独特なたいへんさというのがあるらしい。聞いてみると上半身人間体になったばかりは、慣れるまで苦労があったようだ。

 進化する魔獣の謎を聞いたルブセィラ女史は、眼鏡を光らせてメモにペンを走らせている。

 アイジスが眉間に皺を寄せる。


「ゼラの場合、出産の為に極端な肉体改造をして、出産を終えてからもとに戻した。授乳の為に母乳が出るようにもなった。それこそ身体の中身を一度溶かして作り変えるような、一歩間違えれば自殺行為の大改造だ。その後遺症も心配になる。私達が調べたところでは、ゼラの身体におかしなところは無いのだが……、一度ゼラ本人に聞いてみるか」


 ゼラの寝室へと移動する。そこにはエクアドがフォーティスを抱き、フェディエアかゼラのベッドに座っている。三人の子供は兄弟のように一緒にいることが多い。

 ゼラは両手にカラァとジプソフィを抱き、上半身裸で二人の娘に授乳させながら、キョトンとする。


「ンー? ゼラ、疲れてないよ?」

「そうなのか? たまにボンヤリしてため息ついたりしてるようだが」

「身体はもとに戻って調子も良くて、たまにオッパイが張って痛くなるときもあるけど、そのくらい?」

「そうなのか? 育児疲れしているのかと心配しているんだが。何かあれば言ってくれ」

「ンー」

「また、俺に黙って無茶な肉体改造とかされると、心配でたまらない。ゼラ、気になることがあるなら言ってくれ」

「えっとねー、カダール」

「なんだ? ゼラ?」


 ゼラは赤紫の瞳をキラリとさせて、カラァとジプソフィを抱いたまま言う。


「ゼラ、カダールとむにゃむにゃしたい」

「……は?」

「もう、ずっとしてない。身体がもとに戻ったから、またむにゃむにゃしたいの」

「いや、その、むにゃむにゃは、子供を作る為の行為であって」

「クインとアシェに怒られたから、カラァとジプソフィが大きくなるまで、次の子供は作らないよ?」

「そ、そうか。ゼラはその辺りは制御可能なのか」

「カダールにぎゅー、ってされてむにゃむにゃしたい。カダールはもうゼラとむにゃむにゃしたくないの?」

「もちろんしたい」


 ……あ、


 つい本心を口にしてしまってから周りを見渡す。その場にいる全員が呆れた顔で俺を見ている。また、やってしまったか?

 ひとつ頷いたフェディエアがそっとゼラからカラァを取り上げる。


「それじゃ、ゼラはこれからプリンセスオゥガンジーを編んでね。カラァとジプソフィは今晩は私の部屋で寝かせるから」


 続いてアシェがジプソフィを抱き上げる。


「カラァもジプソフィも、フェディエアの母乳を飲ませても大丈夫だったわね」

「ええ、フォーティスがゼラの母乳を飲んだこともあるし。これが乳兄妹というものね」


 おい、なんだその気の使い方は? フェディエアもクインもアシェも母上も、あー、はいはい、という感じでカラァとジプソフィを連れて部屋を出ていく。


「二人が仲がいいのは知ってはいたが……」


 少し頬を赤くしたアイジスが母上の後を追い部屋を出る。俺とゼラで何を想像した?

 ルブセィラ女史がゼラに言う。


「スケジュール的に問題は無いですか。ではゼラさん、今晩は思いっきりやっちゃって下さい。王都から大神官が来て聖獣認定の儀式となると、むにゃむにゃできなくなるかもしれませんから」

「ウン、みんなありがとー」


 ……いや、その、俺とゼラのむにゃむにゃは、ゼラがプリンセスオゥガンジーを編んだ時点で、あぁ今夜はアレか、と皆に知られてしまうものではあるのだが。

 俺とゼラがむにゃむにゃしようとしたら、こうして皆に気を使ってもらわないとならないのだが。

 ゼラが体調を崩してからずっとご無沙汰で、それどころでは無いという異変が立て続けに起こったわけなんだが。

 改めて、こう、さあ、遠慮無くむにゃむにゃしろよ、という状況に放り出されると、釈然としないというか、なんというか。


 ゼラを見れば鼻歌しながら手から糸を出し、極上の布、プリンセスオゥガンジーを編み始める。ううむ、ゼラとむにゃむにゃするのは、何ヵ月振りになるのだろうか?


「カダール」


 ゼラに呼ばれて顔を上げる。ゼラが顔を近づけ、赤紫の瞳は薄く光を帯びて光る。潤む瞳が近づき赤く濡れたような唇がそっと開く。


「ちゅー」


 甘えるように抱きついてくるゼラに手を伸ばす。しなやかな身体を抱き締め、黒い髪を撫でる。唇を重ね、互いに舌をくすぐるように舐め合う。こういうイチャイチャは久しぶり、か?

 むふん、と鼻息するゼラを胸に抱くと、俺もなんだかその、ゼラが愛しくて、何か火が着いたように盛り上がってしまう。

 ずっと裸のままのゼラの褐色の双丘に手を伸ばす。優しく撫でるとゼラは、むふん、と吐息を漏らして身を捩る。


 ゼラの興奮が高まり、久しぶりに思いっきりむにゃむにゃしたい、というゼラの気分に会わせて、ゼラの唾液に夜元気が分泌されていく。

 ほんのりと甘いゼラの唾液をゴクリと飲むと、俺のものが、痛いくらいに張り詰めていって……

 


( ̄▽ ̄;) あー、えーと、その、はい、こんな感じです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ