蜘蛛の子、カラァとジプソフィの今日も不思議
(* ̄∇ ̄)ノ カラァとジプソフィの初の主役回。
「ねえ、ママ?」
「ン? 何? カラァ?」
ママに抱っこされる。ニッコリするママにきく。
「どうして、ママとカラァとジプは、足がクモなの?」
「それは、ママが蜘蛛の子だから」
「パパは? じーじは? ばーばは?」
「パパもおじいちゃんもおばあちゃんも人だから、足は人なの」
「あーしぇは?」
「アシェは蛇の子よ」
「くいんは?」
「クインはグリフォンの子よ」
「あいじは?」
「アイジスは亀の子よ」
うん? なんで、みんな違うの?
「まちの人は?」
「ローグシーの街の人は、みんな人ね」
「ふぉーてぃーは? 足の形は変わらないの?」
「フォーティスは人で、たぶん足の形は変わらないかな?」
ママが笑う。ママが楽しそう。
うん? なんだか、よくわからない。
みんなバラバラ。カラァとジプとママは同じ。
カラァとジプとママはクモ。
パパとじーじとばーばは同じ。
パパとじーじとばーばは人。
「とーさん、と、かーさんは?」
「あーと、カラァ?」
うん? ジプを抱っこしてるパパが、なんだか困った顔をしてる?
「エクアドはカラァの父さんじゃなくて、叔父さんなんだ。フェディエアはカラァの母さんじゃなくて、叔母さんなんだ」
「ふぉーてぃーは、とーさん、かーさん、って言うよ?」
「フォーティスの父さんがエクアドで、フォーティスの母さんがフェディエアなんだ?」
うにゅ? どういうこと?
「ふぉーてぃーは、パパのことパパって言うよ?」
「フォーティスから見ると俺はフォーティスの叔父さんで、パパでは無いんだ」
?なに? わかんない。
パパはパパで叔父さんなの? 叔父さんはとーさんでパパじゃ無いの?
「ふぉーてぃーは?」
「フォーティスはカラァとジプソフィのいとこ」
「じゃあ、じーじは?」
「おじいちゃんは、カラァとジプソフィとフォーティスのおじいちゃんだ」
「ママは?」
「ママはカラァとジプソフィのママ。フォーティスから見ると叔母さんになる」
「え? やだ」
「なんで嫌なんだ?」
「ママはカラァとジプとふぉーてぃーのママなの」
「じゃあ、フェディエアは?」
「かーさんはカラァとジプとフォーティスのかーさんなの」
「これまで三人一緒に育ってきて、そういう認識になるのか」
パパが頭をかたむけて、考えてる?
うん、カラァとジプとふぉーてぃーは、ずっといっしょなの。
ちがうのは、いや。
「カラァ、違うところがあるのは、ステキなことだぞ」
パパが言う。カラァと同じ赤い髪のパパ。抱っこされてるジプは、寝てる? えっと、違うのはステキなこと? なんで?
「ママは屋根の上までジャンプできる。クインは空を飛べる。アシェは暑い季節でもヒンヤリしてる。アイジスは滑り台になる。ほら、みんな違うけれどみんなステキだろ?」
「パパは?」
「パパはママの入れない狭いところに入れるぞ」
「そっかー」
違うのはステキなことなんだ。それでみんないろいろ違うんだ。
「エクアド、どうやらエクアドはカラァとジプソフィの父さんということだが」
パパがとーさんに言う。とーさんはふぉーてぃーを抱っこしてる。
「カダール、これは早めにちゃんと教えた方がいいか?」
「いや、急ぐことも無いだろう。そのうち解る時がくる。それまでエクアドが父さんでフェディエアが母さん、ゼラがママで俺がパパだ」
「フォーティスのパパがカダールというのは、俺には何やら微妙な気分になるんだが」
「そうか。俺もエクアドがカラァとジプソフィに父さんと呼ばれるのは、何やら妙な気がする」
「三人一緒に育てていて、呼び方も一緒になってしまったか。そしてフェディエアは三人の母さんということだが」
「そう呼ばれるとそんな気分になるから不思議ね。フォーティスにはカラァとジプソフィは妹みたいなものだし。そしてゼラは三人のママね」
「ウン、フォーティスもカラァもジプソフィもゼラの子」
パパもママもとーさんもかーさんもにっこり。
みんななかよし。
ママのおっぱいに頭を乗せると、いい匂いがする。
「カラァ? 眠い?」
うん、ねむたくなってきた。
「おやすみなさい、カラァ」
おやすみなさい、ママ、パパ、とーさん、かーさん。
みんなやさしくてあったかい。
みんな違うけど、こうしていっしょがいい。
うん、ねむ……
◇◇◇◇◇
んに?
「ジプソフィ? 起きたのか?」
あ、パパだ。パパの腕の中。あったかくてホッとする。
「パパ、おはよ」
「おはよう、お昼寝は終わりか?」
「ね、パパ?」
「なんだい?」
「どうして、ジプだけ真っ白なの?」
「む?」
「カラァはママと同じで黒くて、髪もパパと同じで赤くて、なんでジプだけ真っ白なの?」
「なんでだろうな?」
「なんで、ジプだけちがうの?」
「うーむ、これは生命の神秘だろうか?」
うにゅ、ジプだけ、仲間はずれ? パパは何か考えてる? パパも知らないむずかしいこと?
「ジプソフィはワシと同じなのはイヤなのかの?」
じーじだ。じーじが手を伸ばす。パパの腕の中からじーじのとこへ。じーじがジプを抱っこする。
「ジプソフィの髪はワシと同じ金色。じーじと一緒はイヤかの?」
「ううん、じーじの髪、お日様が当たると、キラッとしてきれい」
じーじがふにゃって笑う。
「そうだろう? じーじはジプソフィと一緒で嬉しいぞ。それに色は違っても、ジプソフィの形はゼラとカラァとそっくりだ。瞳の色もゼラとおんなじ赤紫色」
「うん、でも足とか、色は、カラァとママは同じで黒で、ジプだけ真っ白」
どうしてジプとカラァは色が違うの? どうしてカラァはママと同じ色なの?
「そうね、不思議ね」
あ、ばーば。ばーばがジプの髪をなでる。くすぐったいけど、なんだかうれしい。
「生き物の中には、極稀に白い色で産まれるのがいるわ。でもね、それが何故かは解らないの」
「ばーばにも、わからないの?」
「解らないからいろいろ研究しているのよ。ジプソフィも不思議なことを知りたいなら、いっぱい学んで自分で調べられるようになるといいわよ」
もの知りなばーばにも、知らないことってあるんだ。ジプが真っ白なのは、ばーばも知らないむずかしい不思議なこと? うにゅ?
「あー、悩むことは無いぞ、ジプソフィ」
「くいん?」
みどりの羽がきれいなくいん。くいんの髪はみどり、四本の足は茶色、からだの毛は黄色? この色、何色っていうんだっけ?
くいんがジプに顔をちかづける。
「数が少いのは、珍しいんもんだ。そういうのを希少種って言うんだ」
「きしょうしゅ?」
「そうだ。希少種ってのはな、珍しくてカッコいいんだ」
「ジプは珍しいの?」
「そうとも。だからジプソフィも珍しくてカッコいいのさ」
そうなんだ。ジプソフィは珍しくてカッコいいんだ。
「ジプソフィは白くてふわふわでカッコいい、カラァは黒くて艶々して綺麗、それでいいだろ?」
うん。そっか、真っ白は珍しくてカッコいいのか。
「もとハイイーグルのクインらしい言い方ね」
あ、あーしぇ。あーしぇは足は無くて黒いへびさん。あ、
「あーしぇの髪は真っ白」
「そうね。私の髪の色はジプソフィの蜘蛛の毛と同じ色ね」
「あーしぇも、きしょうしゅ?」
「この館の中だと、希少種という言葉の意味がおかしくなりそうね」
「おい、アシェ、ジプソフィが納得したとこでややこしくすんなよ」
「子供の視点って、面白いわね。ジプソフィもカラァも、色なんて気にならなくなるくらい稀有な存在なのに。そんなにパパとママと一緒がいいの?」
「うん」
「だ、そうよ?」
ママとパパがニッコリ。
「ジプはママの子。ずっと一緒」
「もちろんパパも、ジプソフィとずっと一緒にいるとも」
ママとパパにむぎゅってされる。
あったかくてホッとする。
ジプはめずらしい? けうなそんざい?
でも白くて珍しくても、ジプはママとパパの子。
それなら、うん、いい。
設定考案
K John・Smith様
加瀬優妃様
m(_ _)m ありがとうございます。
(* ̄∇ ̄)ノ 蜘蛛意吐、PV350万突破記念に別荘に出したものに加筆。ゼラの子の日常編です。




