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総長戦記 0037話 今度こそ

【筆者からの一言】


焦らない、焦らない。

1941年2月 『日本 陸軍参謀本部 参謀総長室』


 室内に閑院宮総長と一人の軍人がいた。

「関東軍防疫部隊」の石井四郎軍医大佐である。


 閑院宮総長が口を開く。

「石井よ、お前の成果が試される時が来た」


「閣下、お任せ下さい。全ての準備は整っております」


 その返答を聞き閑院宮総長は満足そうに頷く。

「うむ。頼むぞ」


「はい。今度こそ必ずや」


 ノモンハン事件での細菌戦の失敗から2年。

 新たな計画を閑院宮総長から提示されていた石井四郎軍医大佐は寝る間を惜しんで、その計画に邁進していた。

 短期に終わった日華事変では細菌戦遂行の命令はでなかった。

 だからこそ、今度こそ、必ずや成功し汚名を挽回してみせると意気込んでいた。

 

 だが、それが成功すれば多くの犠牲者が出る事になるだろう。


 しかし、石井四郎軍医大佐はその点は全く考慮しなかった。構わなかった。

 閑院宮総長は日本の行く末を考えた上で高度な軍事的、政治的判断から命令を下している……そう信じたからである。


 軍人はただ命令に従うのみ……

 それを大義として石井四郎軍医大佐は作戦を遂行する。全力で。


【to be continued】

【筆者からの一言】


「ウラン爆弾(原子爆弾)」だけが全てじゃないんだ。

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