17:浜辺へ到着
腹ごしらえも済んだので、食材の屋台などを見て回ることにした。朝市は、町中から浜辺の方へと真っすぐ伸びており、浜辺へ向かいながら見れるのはとてもありがたかった。
「あっ、これ? さっき言ってた貝」
「ん」
めちゃくちゃデカいハマグリみたいな貝で、なぜか貝殻の縁が噛み合わせた牙みたいになっているのは、見なかったことにした。
少し多めにほしいと伝えると、屋台にはあまり持ってきていないので、滞在先まで届けようかと聞かれた。
「お願いします! 場所は――――」
お義父さんのお屋敷を伝えると、店員さんがハッとした顔でウィルを見て、慌てたように深々と臣下の礼をとっていた。
魔国からは結構距離があるはずだけど、ウィルの顔ってよく知られているのね。
とりあえず、配達を頼み、他の屋台へと移動した。
「シーサーペント、うまかったなー」
「いえでも、たべたいね」
フォンとダンはシーサーペントがかなり気に入ったらしい。見た目はえぐそうだけど、おいしかったのなら大量購入も吝かではない。
ショコラはいまはスイーツ店からか目が離せないらしく、何を聞いても生返事だった。
「どれか食べる?」
「でもね、まだおなかへってないの」
「じゃあ、帰りに買って帰ろうか」
「「うんっ!」」
帰り、忘れないようにしないとね。
様々な屋台に寄り道しつつ、ここでしか食べられない系を教えてもらってはごっそりと買い溜めして、ウィルのストレージに入れてもらった。
そうして朝市を抜け浜辺に到着すると、そこにはゴミひとつない砂浜と、エメラルドグリーンの海がどこまでも広がっていた。
圧倒されるほどに透き通った海に、初めはぽかんとしてしまい、次に胸が締め付けられるような感動が襲ってきた。
美しいものを見ると、心がこうも動くのかと驚いた。
浜辺には着替える場所がなく、どうしようかと思っていたら、ウィルが魔法で着替えさせてくれた。
私とフォン・ダン・ショコラたちは、魔国で買った水着に。ウィルは元々持っていたらしい黒いハーフパンツタイプの水着に変わっていた。
海岸にはレンタルショップがいくつもあり、そこでパラソルやイス、浮き輪なども借りられるそうだった。
借りてきたパラソルとイスと浜辺に設置し、ウィルに荷物を出してもらう。
「気温も丁度いいわね」
「ん」
「そういえば、フォン・ダン・ショコラたちって泳げるの?」
お風呂には入ってるけど、お風呂と海とではまた違うし、そもそも泳げるかが分からなかった。
フォン・ダン・ショコラたちもよく分かっていなさそうだったので浮き輪を借りて、手放さないようにと注意をした。
「さて、泳ぎますか!」
「「おーっ!」」





