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部長の苦悩
「おめでとう、水元さん。」
神棚に揖をし、射場を出ようとしたとき、部長が小さく声をかけてきた。
「ありがとうござ──」
「楓!なんで……なんで外しちゃったの?!」
言葉を遮るように、三年生の先輩方が駆け寄ってくる。
「なんでって……外すときは外すもんでしょ。」
「“もんでしょ”って……! あんたが外したら、私たち、部での立場がなくなるじゃん! なんでこんなぽっと出の一年に選考会出させたの?!」
「この部は実力主義でしょー。当てられないやつが悪い」
部長の一言に、その場の空気がピリつく。
が、「そうだね。楓の言う通りだ。」と1人が呟いた。
「じゃあ、いっこだけ聞かせてよ、、、水元さん。あなた、この部のトップになって何がしたいの?」
いつも威張ってばかりの先輩とは思えないほど静かな声。
「部に環境をできる限り早く整えたいんです。」
「そう、、、じゃあ私、とっても邪魔ね。頑張って。」
そう言い残して先輩達は去って行った。
「ごめんね。けど多分もうあの子達部に来ないから。」
部長は弓を置いてパンっと手を叩く。
「さっ、行こうか。あんまり遅いと真木ちゃんキレちゃう。」
部長がゆるく言って場の空気を和ませる。
「部長、、、お疲れ様です。」
私の言葉に部長はニコッと笑った。




