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第九話 謎の少女

ドランの一件から一週間が経った。あのとき伝えた通り、カタリナは王城勤めとなり私の専属侍女に。目下バレッタが張り切って教育中である。


そうそう。あの一件の翌日、スーちゃんから呼び出された。話の内容は魔王やら勇者やら聖女やらのことだ。


スーちゃんとしては、勇者や聖女の称号持ちには魔王討伐を任せたいものの、最終的に決めるのは本人に任せるとのこと。


『強制したところでラミが言うこと聞くとは思えんしな』


なーんて言ってやがった。さすが何百回と殴り合った仲。私のことをよく理解している。


それと、スーちゃんとしても教会としても、あのむっつり勇者たちの扱いには苦慮しているらしい。何でも、最近では教会にまで王都の住民から苦情が入っているようだ。


『あー、どこかでうっかり殺されてくれねぇかな』


二人きりで油断したのだろう。勇者の件を話しててイライラしたのか、いつのまにか尖ってたときのスーちゃんの話し方に戻ってた。


つーか教皇がなんつー物騒なこと口にするんだ。しかもこっちをちらちら見ながら言うんじゃない。


そんなこんなで、帰り際にも私の耳元で『事故ってこともあるしな』なんて意味深なこと呟きやがった。


どうやら、私よりもスーちゃんのほうが百倍くらい勇者にムカついてるようだ。



「失礼します」


ノックの音に続いて聞こえてきたのはカタリナの声。手にティーポットとカップを載せたトレーを持って部屋に入ってきた。


その背後には腕を組んでカタリナを見つめるバレッタの姿が。かなり厳しく指導しているようだ。


「姫様。紅茶をお持ちしました」


部屋着でソファに寝っ転がっていたラミリアは起き上がり、大きく伸びをする。



「ん、カタリナあんがと。どうだ? もう仕事には慣れたか?」


「はい! バレッタさんが丁寧に指導してくださるので」


「本当に? カタリナ、もしバレッタに虐められたらいつでも私に言いなよ?」


ニヤニヤしつつバレッタに視線を向けると、リスのように頬を膨らませていた。


「んもう! 私はそんなことしませんよ姫様! それに初めての後輩ですしね」


「ごめんごめん。バレッタがそんな子じゃないことはあたいがよく知ってるからさ」


じとーっとした目で見つめてくるバレッタに焦ったのか、ラミリアは今度街へ行ったとき美味しいお菓子を買ってくるからと何とか機嫌をとるのであった。




「それで街にお出かけと」


ラミリアの隣を歩くヴァンが呆れたような顔をする。


「まあそれだけじゃねぇけどな。あのむっつり勇者がまた暴れてたら叩きのめしてやろうと思って」


「なるほどね。最近は王都の人の目が厳しくなってきたから、街の外へ出ることも多いみたいだよ」


「へえ、そうなん──」



ラミリアは言葉を紡ぐのをやめて視界の端に入った少女に目を向けた。


「どうしたの、ラミ?」


「……あいつ」


「ん? あの十歳くらいの女の子?」



ラミリアの視線の先には、黒いワンピースにストールを羽織り、ニットの帽子を被った十歳前後の女の子が立っていた。


少女は何か探しているのか、先ほどからずっとキョロキョロしている。


ラミリアはその少女のもとへ歩みを向けた。正直ヴァンには意味が分からず困惑顔だ。



「おい、お嬢ちゃん」


「……はい?」


ラミリアの声かけに鈴のような声で返事をして振り向く少女。幼さは残るが顔立ちは整っており、将来は絶対美人になるであろうとヴァンは推理した。


「お前何者だ?」


ラミリアは真剣な眼差しを向けながら問いかける。これが冗談でも遊びでもないことをヴァンは理解していた。なぜなら、すでにラミリアは戦闘体制に入っているから。



「何者……と言われても……」


少女の目が泳ぐ。怪しい。



「お前魔族だな?」


「……!!」


少女は固まりヴァンは茫然とした表情を浮かべる。


「なぜ分かったか教えてやろうか?」


「…………」


「隠してるつもりだろうが、角の形がニット帽から浮き出てんぞ」


実はそうなのである。



「まさか見破られるとは……あなた、とんでもない天才ですね?」


「ちげーよ。誰でも見りゃ分かるわ。舐めんな」


「まさか探偵……?」


「ちげーし。つかこの世界にそんな職業ねぇわ」


「ひょっとしてエスパー……?」


「ちげーつってんだろうが」


「じゃあ何で分かったんですか!!」


「だから見りゃ分かるっつーの!!」


まるでコントのような二人のやり取りをハラハラしながら眺めるヴァン。



「……本当に見ただけで?」


「ああ。そう言ってんだろ」


「ああーー! ヘタこいた〜〜!」


「いや、小島よ○おか」



…………ん? ちょっと待てよ…………。


ラミリアは重大なことに気づいた。


「おい、お前さっき何て言った? 探偵? エスパー? こっちの世界にそんな言葉はないはずだ」


「あ…………ん? んん? あれ!? もしかしてあなたも転生──」


ラミリアは口を開きかけた少女を肩に担ぎ慌ててその場を離脱する。神速とも言える速さだったのでヴァンはすっかり出遅れてしまった。



「はあ……びっくりしたぁ」


街の中心部から少し離れた場所にある広場のベンチに腰掛けた少女は、手足を思いっきり伸ばしながらそう言葉を漏らした。


「びっくりしたのはこっちだわ。あんなとこで何口走ろうとしてんだ馬鹿野郎」


「うう……でも、やっぱりあなたも転生者なんですよね!?」


「まあな。こっちのヴァンもだ」


「へえ〜〜! 私こっち来てから初めてお仲間に会えましたよ」


「いや、さっきの続きだけどよ、お前魔族だよな?」


すでにすっかり毒気は抜かれているが、念のためラミリアは問いただした。が、彼女の口から飛び出た言葉はラミリアの予想の遥か斜め上を行っていた。



「あ、はい。私魔王なんです」


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「森で聖女を拾った最強の吸血姫〜娘のためなら国でもあっさり滅ぼします!〜」連載中!

https://book1.adouzi.eu.org/n3094hw/

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