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第二十一話 手先

名古屋はめちゃくちゃ寒いですが、皆様の地域はどうでしょうか?風邪など引かぬようご自愛ください。

「ああー! マジでケツ痛ぇんだけど」


お世辞にも道とは言えない荒地を走る一台の馬車。サスペンションなど備えているはずもないため、走行で生じる振動が容赦なく襲いかかる。


「たしかに、文明的な乗り物を知ってる僕らにこの振動はきついよね」


苦笑いしながら少し腰を浮かせるヴァン。


「ルナマリアはケツ大丈夫か?」


「うん。私は魔力で少し体浮かせてるからノーダメージ」


気遣う発言をしたラミリアにルナマリアはVサインを返す。ぱっと見はイケてる美少女だがこれでも魔王である。


三人はある依頼を受け、イングリドの王都から馬車で二時間ほどの距離にある小さな村へ向かっていた。話は前日に遡る。



「ラミ、頼みがある」


「いやだ」


教皇の自室でスーリアと向き合うラミリアは迷うことなく即座に拒否した。ちなみにまだ本題は何も聞いていない。


「スーちゃんの頼みとか絶対面倒なことに決まってるし」


「うん、実はな……」


「いやいや、何さらっと話進めようとしてんだよ。やだっつってんじゃん」


「ある村へ調査に出かけた聖騎士の一隊が戻ってこないんだ」


やだこの子まったく話聞いてくれない。


スーリアの話によると、その村は以前からたびたび魔獣の被害に遭ってたらしい。そのため、要請を受けるたびに教会が聖騎士を派遣し対処していたとのこと。


が、何故かここ最近は要請がぱったりと止んだらしい。不審に思い聖騎士を調査に向かわせたところ戻ってこなくなったのだとか。



「それであたいに様子を見てこいと? スーちゃん、あたいこれでも一応王女なんだが」


「すまないと思っているさ。だが、何かあったとき確実に乗り切れそうな者となるとラミやヴァンくらいしか思いつかないんだ」


ややイラッとした表情を浮かべたラミリアに、スーリアは申し訳なさそうに弁解する。


「それに、もしかすると魔獣だけでなく魔族が絡んでいる可能性もある……」


「なら、あたいじゃなくてルナマリアにお願いすりゃいいんじゃね? 魔族の親玉なんだし」


「それは立場的に難しい。だからお前に頼んでる。ラミが危険そうな場所へ行くって言ったらルナマリアはきっとついていくだろうからな」


わずかに口の片端を吊り上げるスーリアに、心のなかで「腹黒教皇め」と毒づくラミリア。まあこのような腹黒いところは昔からなので慣れてはいる。


「ちっ……まあ分かったよ。今度うちかどこかでルナマリアに会ったときはちゃんとお礼しろよ?」


「もちろんだ。それとこれを渡しておく」


スーリアは何やら革袋を取り出す。受け取ったラミリアの手にずっしりとした重みが加わった。


「経費だ。好きに使って構わん」


「……儲かってんな教会」


「まあな」


再びスーリアの顔が邪悪な色に染まる。こんなの教会のトップに据えて本当に大丈夫なのか? まあ知らんけど。



そんなこんなで今にいたる。まだ走り出して三十分程度だが、すでにラミリアとヴァンは馬車の揺れからくる体への負担に辟易としていた。


「まったく、スーちゃんの人使いの荒さにも困ったもんだぜ……」


「まあ、スーリアは合理的な子だからね。使えるものは何でも使え、的な」


「くっ……剣聖と呼ばれたこのあたいが何の因果かマッポの手先……」


「マッポじゃなくて教会ね」



腰と尻へのダメージが限界を迎えそうになったため、最寄りの街で少し休憩することに。目的の村へ向かう途中にはいくつか街がある。


立ち寄った街は規模こそ小さいものの、街並みは整然としておりそれなりに活気もあった。治めている地方領主が優秀なのだろう。


「どうする? 領主に声かける?」


「やだよ面倒くせぇ。いきなり街をあげてパーリーナイトになりかねねぇからな」


ラミリアは王女であると同時に、幾度も戦争で国を守った英雄でもある。こんなところにいるのが知れた日には、ラミリアが懸念する通りの未来が待っているだろう。


「ちょいカフェで茶でもしばいてから出発しようぜ」


ということになり良さげなカフェを探していたのだが、どうも道ゆく人々から見られている気配を三人は感じていた。


「ねぇラミ。私たち見られてない?」


上目遣いでラミリアに心配そうな視線を向けるルナマリア。何て小悪魔な魔王なんだ。そんなことを思いつつラミリアはそっと周りに視線を巡らせた。


「……二人とも本当に分かってないの?」


何故見られているのか気づかない二人に、ヴァンは呆れたような表情を浮かべ小さくため息をつく。


「ラミもルナマリアも、誰から見ても美少女なんだからさ。見られるの当たり前だよ」


しかもラミリアにいたっては見事な双丘の持ち主なので目立たないはずがない。ルナマリアも見た目こそ十歳くらいの女の子だが、美少女と呼ぶにふさわしい顔立ちだ。


ちなみに、以前はニット帽で前頭部の角を隠していたルナマリアだが、今はクロッシェと呼ばれるタイプの帽子を着用している。ツバがやや広く深さもあるためニット帽より角が目立たないのだ。


「ちなみに僕は、さっきからすれ違うすべての男から睨まれてるけどね」


リア充爆発しろとゆーやつである。一人は王女で剣聖、もう一人が魔王と知っても同じ反応をするのかヴァンは気になった。


視線が気になりながらも通りを歩いていくと、白壁の可愛らしい店構えのカフェが目に入ったので入ることに。


が、結局ここでも三人は注目を集めてしまうのであった。

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「森で聖女を拾った最強の吸血姫〜娘のためなら国でもあっさり滅ぼします!〜」連載中!

https://book1.adouzi.eu.org/n3094hw/

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公だけだと殺伐または軽くなりそうですが、ヴァンがいい味出してるように思えます。
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