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お節介でバカで、優しいアイツ③

ご覧いただき、ありがとうございます!

■アレクサンドラ=レイフテンベルクスカヤ視点


 期末テストでもヨーヘイに圧勝し、ワタクシは考えていた通り彼にお願い事をしタ。

 その内容は、ワタクシの恋人のフリをしてもらうこト。夏休みになったらやってくる、妹のプラーミャに会ってもらうためニ。


 そして、ワタクシはプラーミャに告げるのダ。

 ヨーヘイと添い遂げるために、『レイフテンベルクスカヤ家』の後継者候補から降り、家を出ることヲ。


 モ、モチロンこれは、あくまでもワタクシが家を出るための方便であって、その、け、決してヨーヘイと添い遂げようなんて気持ちは……ウン、ノーコメントですワ。


 その代わりではないけど、ヨーヘイにお願いされた通り、彼が偶然見つけた(・・・・・・)という“アルカトラズ”領域(エリア)の攻略に先輩と一緒に彼に同行しタ。

 その領域(エリア)で出現する幽鬼(レブナント)は、“グラハム塔”領域(エリア)幽鬼(レブナント)と比べてはるかに強かっタ。

 といっても、ワタクシには【雷属性無効】のスキルがあったため、半分程度は雷属性の幽鬼(レブナント)相手なのでその危険度も低かったけド。


 そんな攻略を毎日行い、とうとうプラーミャがやって来る八月一日を迎えタ。


 ワタクシはヨーヘイと先輩に一緒に来てもらい、空港でプラーミャを出迎えル。

 ヨーヘイのことに関しては、あらかじめプラーミャには伝えておいたから恋人として違和感はなかったはズ……ですわよネ?


 その後、せっかくなので東方国を観光しようってプラーミャに提案したんですけド……プラーミャから返ってきたのは、まさかの領域(エリア)攻略だっタ。

 どうやら、プラーミャがこの国に来る直前に電話で話していた、“アルカトラズ”領域(エリア)に興味があるみたイ。

 それと……ヨーヘイにモ。


 何度も話題を逸らしてワタクシは断るのだけど、プラーミャは行くと言って聞かなイ。

 結局根負けしたワタクシは、仕方なくプラーミャも一緒に“アルカトラズ”領域(エリア)へと連れて行っタ。

 プラーミャを見たヨーヘイと先輩は驚いていたけど、とりあえず事情を説明し、プラーミャも同行することになっタ。


 久しぶりに見たプラーミャの精霊(ガイスト)、[イリヤー]の強さは、さらに磨きがかかっていタ。それに加えて、[イリヤー]にはステータスを大幅に引き上げるスキル、【スヴャトゴル】がある。

 ワタクシも先輩に鍛えてもらったり、“グラハム塔”領域(エリア)やこの領域(エリア)でレベルアップしたおかげで相当強くなってますけド……それでも、プラーミャにハ……。


 そんなもやもやした感情を抱えながら、ワタクシ達は第九階層へとたどり着いた。

 プラーミャはというと、第七階層で見た[シン]のステータスに対抗意識……なのかは分からないけド、やたらとヨーヘイに絡んでは迷惑をかけていタ。

 ワタクシがそれを注意しても、プラーミャはヘラヘラと笑うばかりで、全く聞く耳を持たなイ。

 ウウン……それ以上に、ワタクシは怒っていたのダ。

 ヨーヘイのことを馬鹿にしたプラーミャニ。


 だから。


「ワタクシはもう、ルーシには帰りませんワ! この国で、ヨーヘイと添い遂げますノ! ですから、『レイフテンベルクスカヤ家』の継承権も放棄するのですワ!」


 言っタ。とうとう言っタ。

 もちろん、これから先のワタクシの進む道は、前途多難であることは分かってル。

 デモ……それでモ……。


 ワタクシはチラリ、とヨーヘイを見やると、彼は混乱し切った表情でオロオロしていタ。

 そんな彼に申し訳ないと思いつつも、ワタクシは目配せしてワタクシの話に合わせるように促しタ。


「そ、そうだ……お、俺はサンドラと、その……添い遂げる、です……!」


 振り絞ったような声でヨーヘイがそう告げると、プラーミャと先輩の表情が絶望に変わった。

 せ、先輩はともかくとして、プラーミャにはこれで納得してもらうしかなイ。

 それからプラーミャは、必死になってワタクシに問い(ただ)すけど、ワタクシの意志は変わらない。


 そして、ようやく諦めたプラーミャは、ワタクシの代わりにパパとママに話してくれることになった。


 デモ、プラーミャは本当は全然諦めてなかっタ。

 第十階層に着いた途端、プラーミャはヨーヘイを捕まえて何かコソコソと話していた。


 すると。


「フザケルナ! アイツの……サンドラのこと、本当に知りもしないで! 勝手なことばかり言いやがって!」


 突然、ヨーヘイがプラーミャに向かって怒鳴っタ。

 ワタクシはヨーヘイと知り合ってから一度も、あんなに怒っている姿を見たことがなイ。


 ……ヨーヘイが何で怒っているのか、その理由は分かってル。

 ヨーヘイは、プラーミャがワタクシを(けな)したから怒ったのダ。


 悔しかっタ……そして、嬉しかっタ。

 だって……ヨーヘイはワタクシのこと、そうじゃないって信じてくれているって証拠だかラ。


 だかラ。


「ワタクシ……ワタクシ、頑張るかラ……! モットモット、頑張るからア……!」


 ワタクシは、涙でくしゃくしゃになった顔で、ヨーヘイに誓った。

 絶対に、信じてくれたヨーヘイの期待に応えてみせル、ト。


 その時……ワタクシの脳裏に言葉が浮かんだ。


『クラスチェンジ開放条件、クリア(・・・)。[トール]または[ペルーン]へのクラスチェンジが可能』


 これは……[イヴァン]のクラスチェンジ?

 どうやら、ワタクシのこの決意こそが、[イヴァン]のクラスチェンジの条件だったみたいダ。

 フフ……ヨーヘイ。やっぱりアナタはすごい人。

 ワタクシは、そんなアナタの隣に立ちたい。ズット……ズット。


 デモ……そんな想いを、ワタクシらしくこう伝えよウ。


「見てなさいヨ? アッと驚かせてやるんですかラ」


 そう言って、ワタクシはヨーヘイに精一杯の笑顔を浮かべタ。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回はこの後更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価をよろしくお願いします!

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