表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/398

サンドラからの果たし合い

ご覧いただき、ありがとうございます!

いよいよ第二章、開幕です!

『ガイスト×レブナント』


 このゲームは、一年生の二学期に“国立アレイスター学園”に転校してきた主人公が、仲間達と共に悩み、葛藤し、乗り越えていきながら成長し、この学園……いや、世界の謎に挑むジュブナイル学園ファンタジーRPGである。


「……ってことは、もう穴が開くほど『攻略サイト』見てるから分かってるんだけど……」


 そう呟きながら、俺は思わずうなだれる。

 そして俺はそのゲームに登場するクソザコモブっていう位置付けで、主人公が転校早々、これでもかとばかりにザコムーブをかましてアッサリ倒される……まあ、お決まりのヤラレキャラだ。


 藤堂先輩や『攻略サイト』の力を借り、おかげで[ゴブ美]から[神行太保]……[シン]にクラスチェンジして、むしろ俺達は最強クラスの能力を手に入れはした。


 だからもう、俺はクソザコモブと馬鹿にされることもないし、ゲームみたいに主人公にアッサリやられるなんてこともないはず。

 ということで、俺を馬鹿にした連中を見返すって目的は果たしたわけだけど……。


「……ここがゲームの世界なら、先輩は……」


 そう、俺の尊敬する先輩が、俺が二年生の時のクリスマスイブ、主人公に倒され、そして……死んでしまう、ということだ……。


「まあ、そんなことさせるつもりはないけどな」


 [シン]を手に入れたあの日、俺は心に誓ったんだ。

 俺のクソみたいなフラグをへし折った今、先輩の破滅フラグもバッキバキにへし折ってやると。


 そのためには。


「ウーン……とにかく、ゲームの物語が始まるのは二学期からだし、それまでに“ぱらいそ”領域(エリア)みたいに、二周目からしか入れないあの(・・)領域(エリア)を攻略しておいたほうがいいだろうなあ……」


 『攻略サイト』によれば、真のラスボスを倒すために用意された五つの領域(エリア)。この領域(エリア)を攻略すれば、真のラスボス戦が有利になる。


 というか、真のラスボスのステータス見たけど、シャレにならん。

 なにせ、物理攻撃を除く【全属性無効】スキル持ってやがるんだから、手に負えない。

 とはいえ、物理特化型でないと勝負にならないのかといえばそうでもなく、例えば[シン]の【方術】や[関聖帝君]の【一刀両断】【千里行】なんかは、物理や各属性とはまた別のカテゴリー、いわゆる『特殊スキル』に当たる。


 なので、その『特殊スキル』を多く持つキャラが有利ってわけだ。

 そして、皮肉なことにその『特殊スキル』を最も多く手に入れることができるのが、主人公だ。


「まあ……とにかく五つの領域(エリア)のうち最優先で攻略すべきなのは、“アルカトラズ”領域(エリア)だろうなあ……」


 うん、先輩のことを思うなら、この領域(エリア)は絶対に攻略しないといけない。

 残り四つの領域(エリア)も攻略したいが、それは来年のクリスマス前まででも充分に間に合う。

 まずは……物語の始まる二学期までに攻略を終えておかないと。


 でも。


「くああ……夏休みは、全部先輩との領域(エリア)攻略に充てることになりそうだ……!」


 いや、もちろん先輩とずっと一緒にいられるわけだから、俺は最高に嬉しいよ?

 だけど……せっかく夏休みなんだから、その……先輩と遊びに行ったりしたいし?

 なにせ入学してからこれまで、ひたすら[シン(ゴブ美)]を強くするためだけに時間の全てを費やしてたからなあ……って、ええい! こうなったら速攻で“アルカトラズ”領域(エリア)を攻略して、先輩と遊び倒してやる!


「……よっし!」


 俺は気合いを入れるために両頬をパシン、と叩くと、席を立ち上がろうとして。


「……それで、お前はまだいるのかよ……」


 目の前にいる同じクラスの女子でメインヒロインの一人、“アレクサンドラ=レイフテンベルクスカヤ”……通称“サンドラ”が仁王立ちしながら俺をジッと睨みつけていた。


 彼女はルーシ帝国からやってきた留学生で、輝くような金髪をツインサイドテールにまとめ、アクアマリンの瞳とルーシ人らしく妖精のように整った顔立ち、肌も先輩に負けないくらい透き通るような白さだ。

 ただ……残念なことに、彼女は背もチンチクリンで、それに比例して絶壁なのだ。今後成長する可能性を一切見いだせないほどに。まあ、当然需要もあるし、俺も嫌いじゃない……すいません、好き寄りの好きです。


「もちろんですワ! ワタクシと勝負するんですのヨ!」


 で、彼女は独特のイントネーションで俺に絡んでくるんだけど……正直、俺が一週間前にこの“一-三”にクラスを変わってからずっとだ。

 理由? 知らん。


「ハア……で、お前はなんで毎朝こうやって俺に勝負だの言い出すの?」

「エ……!? そ、それハ……ひ、秘密ですワ!」


 とまあ、こんな感じではぐらかしやがる。

 ……いや、これと似た展開、主人公が二年生になった始業式の日のイベントであったなあ。


 などと考えるが、そもそもまだ物語すら始まってないし、俺は主人公じゃないし、それはないな、うん。


「大体、勝負って何するんだよ。精霊(ガイスト)での喧嘩は禁止されてるだろ」

「モチロン、そんなことは分かってますわヨ! そうではなくて、“グラハム塔”領域(エリア)の攻略進行度だったり、テストの結果だったり、総合的にですワ!」


 おおう……確かにそれなら、互角の戦いになりそうだ。

 何より、領域(エリア)に関しては『攻略サイト』もある分、俺が圧倒的に有利だが、学力に関して、俺は勝つ自信がない。


 いや、それよりもこの提案……。


「……ひょっとして」

「? なんですノ?」

「……いや、いい」


 俺の呟きを拾った彼女……サンドラが問い掛けてきたが、俺はかぶりを振ってあいまいに返事した。


 これ……やっぱり、サンドラ用のイベントに突入しちまってるじゃんよ……。

お読みいただき、ありがとうございました!


次回は今日の夜更新!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ