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錬金術師のポーション屋。疲れたときはやっぱりこれ  作者: ChaCha


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“疲れた身体にはやっぱりこれ”シリーズ

季節は、めちゃくちゃなスピードで巡っていく。


ある日は、朝起きたら一面の花畑だった。

草原に色とりどりの花が咲き乱れ、風が吹くたび花びらが舞う。

森の木々にも白い花が咲き、ほんのり甘い香りが漂っていた。


「うわ、きれい……これ、全部ポーションの材料にできたりしないかな」


鑑定をかけてみると、“芳香成分・精神安定系”という表示が出た。

やっぱりだ。

俺は両手いっぱいに花を摘み、拠点に持ち帰った。


その夜、俺は新しいポーションを試作した。

疲労回復に、精神安定、ついでに心地よい眠気を誘うハーブを混ぜる。


「名付けて、“おやすみポーション”。これを飲めば、明日の朝はすっきりだ」


一口飲んだ瞬間、

「……あ、これやべぇ、効きすぎた……」

と気づいたが、もう遅い。


数分後には、俺はクリムとルゥを抱えたまま、焚き火の前で爆睡していた。

朝起きると、ぐっすり寝たせいで身体は軽くなっていたが、焚き火は完全に消えていた。


「危ねぇ……。でも、効き目は最高だな」


こうして“疲れた身体にはやっぱりこれ”シリーズが、俺の中で増えていく。


・基本疲労回復ポーション

・筋肉痛軽減ポーション

・眠気すっきりポーション

・おやすみポーション

・精神安定ポーション


どれも素材はこの階層で集めたものばかりだ。

街に戻れたら、きっとギルドに喜ばれるに違いない。


「……戻れたら、だけどな」


青空を見上げながら、ぽつりとつぶやく。


出口は、いまだ見つからない。

森の奥にも行ってみたし、湖の周りもぐるりと回った。

水の中に潜ってみたこともある(魚型魔物に足を噛まれて泣きそうになったが)。

それでも、ダンジョンの階段らしきものは見つからない。


「まぁ、焦っても仕方ないか」


そう言える程度には、ここでの生活が“慣れ”になってしまっている自分が、ちょっと怖い。



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