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【27】 優しさのカタチ

それから、翌日から楽しくせっせと作りはじめました。


ウィルソン様にお見せするために、いただいた布の中から

赤い生地のと白い生地ので2体作りこういうのが出来ました。と

ウィルソン様の懇意にしている施設に送った方がいいのか

ルフィーナお姉様の教会に送っていいのかお聞きしたいと思います。


……そして、安定のケーキセット。


え、と。毎度毎度何故都合よくケーキが出てくるのでしょうか。

実はウィルソン様はかなりの甘党で毎食召し上がられているのでしょうか?

しかし、今ウィルソン様の目の前にはいつものようにお茶しかありません。

そんな、毎度ご親切に用意してくださると何か裏があるんじゃないかと

警戒してしまいます。思いすぎかな?


「どうした?今日は、食べられないか?」


「い、え。あの…いただきます

ウィルソン様は、召し上がられないのですか?」


「私は、甘いものはいい。君が好きなだけ食べなさい」


「はい…」


おいひぃです、リウムさん……ふわっふわです…


濃厚ミルクのクリームを堪能したあと、本題のぬいぐるみを出してみました。

なんか……愛らしいぬいぐるみを真面目に眺め、澄んだお顔で

ぬいぐるみのおなかの匂いを嗅がれる、美麗な青年。すごい光景です。


「なるほど、これは面白いアイデアだな。

殿下に何か出来たら持ってきて欲しいと仰られたので持って行くがいいか?」


「えっ!?そ、そ…そんなお見せするほどのものではありませんっ。

あ、あの、こういうものをウィルソン様かルフィーナお姉様の懇意にされている

教会などにお配りするのはどうでしょうとお聞きするつもりで持ってきたんです

そ、そそんな殿下にお見せするような立派なものでは…」


「とてもいい出来だと思う。

それに、教会へは寄付だけにしている。気持ちだけありがたく受け取っておく」


「は、はい…」


「1日だけ借りる、明日には返す。それならかまわないか?」


「はい、ありがとうございます」


その後、ウィルソン様は御用がありお出かけになりました。

お部屋に戻ろうと思ったらサナさんとすれ違ってレフィリア様がお会いしたいと

思ってらっしゃることを聞いたので急いでお部屋に伺いました。


あの事件の後、誕生日パーティに向けたすべてのご予定をキャンセルされて

お部屋に篭ってらっしゃるのだと、サナさんが言っていたので

お部屋から出るのを怖がってお外でお茶会などなくなってしまうんじゃないかと

思いました。せっかく、お外の楽しさを知っていただいたのに!


レフィリア様は、臥せっておいでのようでベッドでお休みでした。


私が近寄ると泣きながら感謝と謝罪のお言葉を述べられました。

そんな…私はレフィリア様をお泣かせするためにお助けしたんじゃないんです。


「レフィリア様、ご存じないんですかぁ?」


「え………?」


あれ?おどけて言ってみたのに、軽蔑口調になってしまいました!

レフィリア様の表情が硬く暗くなってしまわれました。ち、違うんです!


「私はウィルソン総司令官配下の“レフィリア親衛隊”の一員なのですよっ♪」


「?」


「ちなみに、隊長はサナさんね」


「えぇっ!?私は…」


即席に思いついた設定にサナさんを加えてみた。案の定サナさん慌てました。

いつも思っていたんです。レフィリア様という美しい姫君を

楽しませて堅固な要塞から悪しき者から護りつつ明るい外へとお連れする。

“ただの話し相手”でないそんな役目屋敷にいる人全員が護衛隊なのですよ!


「だから、レフィリア様を御守りするのは当然の任務ッ!なのですよっ」


「ココットさん…」


「ですから、いつかまたお外へ行きましょうねっ」


「……………。」


「別に、今すぐとか明日ってワケじゃないですよ!?

レフィリア様のお心の準備が整ったらです。それが明日になるのか

1年後か10年後かは知りませんが、呼んでいただければどこからでも

飛んでまいりますから。ゆっくり、その時が来るのを待っていますねっ」


「10年後…飛んで……」


「このお仕事も1年…あと半年くらいのものですから

お手紙下されば、家でも次の仕事場からでもすぐ参りますって。ね。

来年も、契約が続けばいいのですけど一応1年の約束なので」


「……半年で、去ってしまわれるですか?」


ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…

なんて儚げな美しさぁぁ!!ずっとずっと護ってさし上げたい!


「このお仕事も永遠ではございませんし

次の仕事は…と聞かれるとまだ決まってませんが、

もう、一度働いたのですから我が家では“大人”扱いを受けます。

我が家の大人はしっかり働きながらだったら好きなことしてもいいという

家訓があるんです。さすがに見合いとかはないと思うので仕事ですかね?ふふ」


「見合いは…ない?」


「えぇ、もうすぐ30になる跡取りが上におりますから兄様の方が先です。

その下に24になるお姉さまがいらっしゃるから年功序列からいったら

まだまだですわ。はぁ…30になるのか兄様…お嫁さん誰か来てくれるかしら」


「でも、ココットさんを見初めて…って話もあるかもしれませんわ。

……例えば、お兄様とか…」


「!?」


「あはは…それはさすがにないですわ」


「ないの…ですか?お兄様とは」


「えぇ、あんな素敵な方が世間知らずの子供になんか目を向けませんわ。

実は、本命の素敵な方とお付き合いされてらっしゃるのかもしれませんよ?

爵位持ちで長身美形で真面目で気遣いできる大人な男性ですもの

ウィルソン様に似合う女性がいらっしゃいますよ、きっと。

あ~、兄様もあれくらいしっかりなさっていたら…お義姉様候補の1人や2人

いらしたかもしれないのに…はぁ」


「ココットさんは、ウィルソンお兄様のことを…どう思ってらっしゃるの?」


「…?素敵な方だと思いますよ。いつも優しくしていただいているので

つい、ポッてなっちゃいますが、大丈夫ですっ。私、使用人ですから

ウィルソン様に、そういう感情持ったりしませんわ!」


「そ…う、ですか?」


「はい!ご安心ください!!」


……というか、いつからこんな話になったんだろう?


レフィリア様、私が時々ウィルソン様と一緒にいることを

誰かにお聞きして不安に思われたのね。大丈夫です!

女ですけど使用人ですからお兄様に不埒な思いはしたりしませんわ!


安心なさったレフィリア様にぬいぐるみの話をしたら

是非見せて欲しいと仰られたのでヘレンに取りに行ってもらって

レフィリア様にぬいぐるみ作りの工程をお見せしましたポプリも入れましたわ。

いい匂いでウサギがお好きらしいレフィリア様は大変お気に召したようで

そのウサギちゃんは、レフィリア様にもらわれていきました。


「お友達をお作りしたいのですが、何色がお好きですか?」


「この子が赤なので、ピンク色があればいいですわね」


「はい、わかりました。明日お持ちしますわ」


「あの…私も、お作りして貴女にさしあげたいです。

ですから…私にも、作り方教えていただけないでしょうか?」


「!!?」



もも、ももももももももももももちろんですぅぅぅぅぅぅ!!!!!


そんな…そんな恥じらいながら、お願いされて断れる人間おりませんわ!!

レフィリア様が、そんなお疲れのご様子でなければ今すぐにでも

お持ちしますのに!!っ、ですが、すべてレフィリア様が優先。

今は、お心の疲れを取っていただくために退室しなくては!



あぁ、興奮冷めません!!



というわけで、13種類の布で13体のぬいぐるみを

日付が変わるまでに無心で縫い上げましたとさ。見本に使えますね。

あぁ、バスケットに詰めるとすごく可愛いですね。ヘレンに褒められました!


猫の顔を作ってストラップをくっつけてヘレンにあげました。

しかし、ポプリ消えませんねぇ。まだ3掴みくらいしか使ってないわ、はぁ。

このあと、「レフィリアに余計なことを話すなと言っておけ」と

当主から、妹専属侍女に伝えられたとか。


ココットの本当の処遇については、緘口令がしかれています。


いつ解除になるのか、どうなるのかはかなり後の話ですがいずれお話します。

なので、ココットに向けてお仕事以外の話をしてはいけないんです。

しかしね、ココット…君わからないとはいえ、


君の主は、30歳をとうに越えて跡取りどころか現当主なんですけど。


ある意味“行き遅れのお兄様の結婚”ネタは

この家ではタブーに近い話なのかもしれない(笑)

しかし、あれだけ豪勢にケーキでもてなしても普段女に近寄りもしない伯爵が

誘ってもなびかない、野生児お嬢様…かなりのつわものと見た!



伯爵頑張って~(他人事)

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