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二頁目・白兎の月 十一日

メナドが必死に書きました。

 白兎の月・十一日。今日は踏破済みの迷宮の後追い調査。ある一室にて魔法迷彩で隠蔽された隠し通路を発見。前に来た連中は何をしていたのだろうか。


 まあ、私らの分を残しておいてくれたという事にしよう。


 杖の調子は抜群にいい。私の魔力を程よく調整してくれている感じだ。要となる木材に、相当の魔力が宿っていなければこうはならないだろう。セルマには感謝しきりだ。


 地下ではグールの群れを見つけた。マナも淀んでいたし、暗いしで奴らのいい溜まり場になっていたのだろう。彼らには杖の慣らし運転に付き合ってもらった。


 これまでは炎の矢を一発投げて終わりだったが、今度からそれを分割して放てる様になった。もちろん、大きいのが一発必要な時もちゃんと今まで通りぶっ放せる。魔力の節約にも一役買ってくれるいい杖だ。


 まずいことになった。セルマが、おそらくスクロールから発動したであろう魔法を受けて倒れた。すぐに転移石で馬車に戻って寝かせたが一向に起きない。


 顔は赤く、ひどい熱だ。発汗も相当にある。今後同じ様な事態に対処できる様にするため、容体の変化を書き記す。


 十分経過。未だ起きない。汗を拭いても拭いてもどんどん溢れる様に出てくる。明らかに異常だ。街まではあとどれくらいだろう。馬車が遅く感じて、もどかしい。


 四十分経過。依然として熱が引かない。手の先まで熱い。弱っているセルマの手が、こんなに小さく感じるとは思わなかった。


 いや違う。物理的に小さい。以前私の手と比べてみたが、その時より明らかにふた回りほど小さい。よく見れば、ローブもだんだんサイズが合わなくなってきている。これは一体なんだというのだろう。

二ページ目です。

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