前へ目次 次へ 23/61 スイレン 画像はフリー素材を使用しています。 風にさらわれて 瑞々しいスイレンは揺れ 水面のわたしは おぼろげなさざなみだ。 そして瞳にうつる そのすがただって おぼろげな影法師なのだ。 人は行き過ぎるばかりだ。 わたしは本当からとりのこされ、 握った手のぬくもりも、 交わした言葉の喜びも、 いつも一歩おくれてくる。 なのに残った余韻などは、 そうと呼ぶにはあまりに僅かだ。 それでも、それでも せっかちなものが一つだけある。 ときどきなにかから流されたように、 また、いまこの一瞬にも みせつけるように舞う、 いろあせ、くたびれている うっすらと蒼白い花びら。 5月投稿分。