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ゲーマー幼女 ~訳あって攻撃力に全振りする~  作者:
第二回イベント『バトルロイヤル』編
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「び~すとふぁんぐの仲間を助けてほしいんだ」

* * *


「お父……さん?」


 私から少し離れた所に、シンギと名乗っているお父さんがニヤニヤと笑っていた。

 そして隣にはもう一人、カズという名前のプレイヤーもいる。以前に見た事がある顔だった。

 お父さんを初めて見つけた時に、一緒に付き添っていた人だ。ゼノさんと、カズさん。この三人は仲良しさんなんだね!


「なぁ、ウチのメンバーがどんどん脱落してるみたいなんだが、それってお前らの仕業だろ?」

「ピュ~♪ ピュ~♪」


 口笛を吹いて誤魔化してみる。


「誤魔化すなって。別にいいんだよ。これはゲームなんだから、油断したり対処できなかった奴が悪ぃ。ま、俺達の親子喧嘩にクランメンバー全員で挑んで来るとは思わなかったけどな」


 お父さんは笑っていた。全然怒ってないみたい。

 けど、なんだか怪しいよぉ……


「だから俺も、び~すとふぁんぐってクランが俺達を襲っているって情報をチャットで伝えた。今頃、お前の仲間達は襲われてるんじゃねぇか?」


 あわわ、だとしたらピンチだよ! ここまではうまくいってたけど、お父さんのクランは私達よりも断然メンバーが多い。数人倒したってまだまだ安心はできないんだ。

 ……そんなの、作戦会議の時にわかっていた事だけど。

 その時だった。私のチャットから通知音が鳴り出した。


小狐丸:現在Tエリアにて地下ダン二名に追われてます。応援お願いします!


瑞穂:地下ダンの奴に見つかった。相性が悪いから救援来れない? Fエリアにいる!


ルリ:こっちも追われてる。蜥蜴がすでにやられた。


 ドクンと心臓が跳ね上がる。みんなからの救援要請だ! 助けに行かないと!


「チコちゃん、私に掴まって!」

「え? あ、はい!」


 状況についてこれなくてホケ~っとしているチコちゃんを正気に戻す。

 そしてチコちゃんが私にしがみ付いてから、スキルを使用した!


【沙南がスキルを使用した。ソニックムーブ+1】


「へっ! 行かせるかよ!!」


 私が動いた瞬間にお父さんもまた地面を蹴って、音速で動く私に武器を振り下ろしていた。

 的確に私を狙った一撃に、思わず軌道を変えて緊急回避を行う。するとバランスを崩して地面にひっくり返りそうになってしまった。


「へへっ! ナメんなよ? ソニックムーブの動きくらい対処できるぜ」


 そう得意気な顔で私達に歩み寄って来る。


沙南:ごめん、今お父さんと遭遇して通してもらえない!


 すばやくチャットにそう書き込んでから、どうすべきかを考える。そして一つの案を思いついた。


「チコちゃん。お願いがあるんだけど……」

「なんなのですか?」

「私の代わりに、び~すとふぁんぐの仲間を助けてほしいんだ」


 ダメでもともと、そう頼んでみる。


「わかったのです」


 なんの面識もないみんなを助けてほしいだなんて、都合が良すぎるお願いなのはわかってる。けど、ここはチコちゃんに頼るしか……


「っていいの!? そんなあっさりと!?」

「へ? だって沙南先輩の仲間なんですよね? だったら助けないと」


 唖然としてしまった。この子は本当に素直すぎて、逆に不安になってくるくらいだ。


「それに、このイベントが終わったら私もクランに入れてもらえるのですよね? だったら私にとってももう仲間なのです!」


 えへへ、と屈託のない笑みを浮かべるチコちゃんが天使に思えた。


「ありがとう。それじゃあ私の後ろからFエリアに向かってくれる? そこで仲間が戦ってるはずだから」

「了~解! なのです!」


 そうしてパタパタと走り出す。

 お父さんは私と決着を付けたがっている。だから私がここに残ればいいんだ。

 っというか、チコちゃんの行く手まで妨害しようとするなら私がそれを全力で止めてみせる!


「シンギさん、行かせていいんですか? スキル使います?」

「いや、行かせておけ。別に一人くらいどうって事ねぇだろ。お前は沙南が逃げないようにだけ気を付けろよ」

「うぃっす!」


 なんだか小声で相談している。

 とにかく、私はここでお父さんを倒すしかないんだ!


「お父さん、それじゃあ始めよっか」

「だな! 決着を付けようぜ!!」


 そう言って私は拳を、お父さんは剣を構えるのだった。

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