「それじゃあヘルカオスドラゴンを討伐するためのメンバーを発表するね」
「それじゃあヘルカオスドラゴンを討伐するためのメンバーを発表するね」
私がそう言うと、みんなは同時に頷いた。
パーティーを組む時の最大人数は六人。私を含めてあと五人を決める事ができる。
「まずはナーユちゃん」
「はい!」
「次にルリちゃん」
「うん」
「そして狐ちゃん」
「お任せください!」
「盾士は必須だから、チコちゃん」
「了解なのです!」
「最後にシルヴィアちゃん」
「なるほど。そうきましたか」
このメンバーなら、理論上ヘルカオスドラゴンに勝てる!
「ぬぅ。拙者たちは選ばれなかったか……」
「なんとも歯がゆい……」
蜥蜴さんと烏さんが残念そうにしていた。
「ねぇ沙南。私たちにも何か手伝えることはないの!? こんな時に何もできないなんて、そんなの辛すぎなんだけど」
瑞穂ちゃんもそう言ってくれた。
「やってほしい事……あるにはあるけど……」
「あるの!? なによ、遠慮せずに言ってちょうだい」
三人が私の指示を待っている。けど私はあまり気乗りはしなかった。なぜならそれはかなり危険な行為だから……
「えっとね、さっきナーユちゃんが言った通り、すぐに運営さんがログインをしてくるはずなんだ。正直、私たちがプニちゃんを説得するか、運営さんがプニちゃんを見つけるかの勝負になると思う。だからね、運営さんがログインしてきた時に、出来る限り時間を稼いでほしいんだ……」
そうお願いしてみる。すると――
「なーるほど。お安い御用よ!」
そう簡単に引き受けてしまった。
「えぇ、いいの!? いや、自分で言っておいてなんだけど、これってかなり危険だからね!? 運営さんの仕事を妨害する行為だから、下手したら本当にアカウント凍結させられちゃうんだよ!?」
すると瑞穂ちゃんたちはキョトンとした顔になってしまった。
「別に構わないけど? そうなったらまた新しくアカウントを作ればいいじゃない?」
えぇ~……。そんな簡単に……
「心配しなくても大丈夫ですよ主殿。妨害だと思われないように間違った情報を混ぜるだけです」
「まぁ、もし本当にアカウントを作り直した時は、またこのクランに入れてもらいたい。その時はレベル1の状態ですがね」
烏さんと蜥蜴さんもまったく困る様子もなく、むしろためらいなんて微塵も感じていないようだった。
「三人ともありがとう! できるだけ急ぐから無理しないでね」
そうしてダンジョンに乗り込もうとみんなの様子を見ると、シルヴィアちゃんがアイテムを周りに散乱させて何かをしようとしていた。
「シルヴィアちゃん、何してるの?」
「ヘルカオスドラゴンって確か、魔法攻撃が多かった気がします。チコリっちは魔法防御が若干苦手らしいので」
そういえば炎を吹いたり爆発したりしてたっけ。シルヴィアちゃんもメンバーの事を考えてくれて助かるよ。
「これを素材にして、合成すれば……できました!」
なんと手持ちのアイテムだけで装備を作り出しちゃった。さすがシルヴィアちゃん!
「チコリっち、これどうですか? 多分、今装備している物よりは上質だと思うんですが……」
プレゼントで受け渡して、それをチコちゃんが装備をしてステータスを確認する。
「おお!? DEFはほぼそのままで、REGが大きく上がったのです! ありがとうなのです!」
「いえいえ、ヘルカオスドラゴンの攻撃は強力ですからね。お互いに頑張りましょう~」
準備が整ったところで、私たちはダンジョンへの転送装置の前に佇んだ。目指すは地下二階。ボスの部屋手前のヘルカオスドラゴン。
私は気持ちを落ち着かせながら、転送装置を起動させるのだった。




