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「ギャオオオオオオオン!!」

【魔物の群れを倒した】


「いや~、なんとか倒せてよかったね♪」

「いやよくねぇよ! お前ら半分くらいおしゃべりしてたろ!?」


 な、なんの事かなー? わかんないなー?


「さぁ、また魔物が増える前に先に進もうじゃないか」


 ハルシオンさんがみんなを誘導して歩き始めた。

 むぅ~……私が隊長なのにぃ……

 まぁいいや。くぅちゃんとお話でもしようかな。

 私はくぅちゃんに手招きをして近くに呼んだ。


「どうかした?」

「くぅちゃん、さっきハルシオンさんといい雰囲気だったよね?」

「なっ!?」


 私が先頭のハルシオンさんに聞こえないように伝えると、くぅちゃんは顔を真っ赤にして口をパクパクさせた。


「そそそそんな事ないわよ! ななな何を勘違いしているのかしら!?」


 めちゃくちゃ動揺してる。

 隣で黒猫ちゃんも微笑みを浮かべていた。


「いやいや別に気にする事ないよぉ。だって戦いを通して絆が深まるのは冒険のお約束だもんね! 私もね、最初はルリちゃんに嫌われていたんだけど、パーティーを組んでからすぐに仲良しになったんだよ? だからくぅちゃんも恥ずかしがる事なんてないよ~」

「そ、そうなのかしら……?」


 くぅちゃんは両手の人差し指をツンツンと合わせながらモジモジしている。


「そうだよ! あとはくぅちゃんが素直になれば、きっとうまくいくよ!」

「で、でも私、ずっとアイツとケンカしてるし……」

「大丈夫だよ。ハルシオンさん優しそうだもん。きっとすぐにお友達になれるよ!」


 私がそう言うと、隣でやり取りを聞いているだけだった黒猫ちゃんが勢いよく私を見て首を傾げた。


「ちょっと待ってください沙南さん。今なんて言いました?」

「え? だから、すぐお友達になれるって――」

「『友達』なのですか?」

「うん。『友達』でしょ? え、違うの?」


 すると黒猫ちゃんも、くぅちゃんさえも大きなため息を吐いた。

 あ、あれ?


「はぁ~……まぁ、沙南さんにはまだ恋愛は早すぎですわね」

「……そうね。なんかドキマギしてアホくさくなってきたわ……」


 え? え? どゆ事!? 私なにか変だった!?

 二人は私を置いて先に進もうとする。私は意味もわからず、そんな二人を追いかけるのだった。

 そんな事もふまえながらダンジョンを踏破とうはして、私たちはついにボスの部屋までたどり着いた!


「それじゃあみんな、準備はいいな? 行くぞ!」


 ハルシオンさんが大きな扉に手を乗せる。


「気を付けなさいよ? って、別にアンタの事を心配してるわけじゃないんだからねっ!」


 ちゃっかりくぅちゃんはハルシオンさんに寄り添っていた。

 うん。もう二人はしっかりと仲良しさんだね!

 そして扉を開けて中へと入る。そこは巨大な空間だった。

 校庭のグラウンドどころか、下手すると野球場よりも広いかもしれない。そんな空間の奥で、ギラりと赤い瞳が輝いた。


「ギャオオオオオオオン!!」


 邪悪な咆哮と共に現れたのは巨大な漆黒のドラゴンだ。

 禍々しい二本の角を伸ばし、鋭い牙が剥き出しとなり、血走った瞳は絶望感を与えられそうになる。

 ……正直、お顔がめちゃくちゃ怖い……


【ヘルカオスドラゴンが現れた】


「おお!? なかなかいいネーミングじゃねぇか」

「シンパシー感じてる場合じゃなくってよ!」


 アビスさんがしきりに頷き、それに対して黒猫ちゃんがツッコミを入れる。


「さて、狩りの時間だモフ。ハルシオン、行っていいモフか?」

「速攻で決めよう、と言いたいところだが、まずは相手の出方を見させてほしい。このメンツなら多少相手のペースに乗っても大丈夫だろう」


 モフモフさんもハルシオンさんも、冷静にお話をしている。

 みんな凄いよぉ。こんな凶悪な顔をしたドラゴンさんに睨まれても平然としてる。

 ここにいるみんなはトップクランのマスターさんで、私なんかよりも激しい戦いを乗り越えてきたんだよね。そんなみんなが今は味方で、私を助けてくれるんだ!!

 大丈夫。どんどん勇気が湧いてくる! もう怯まない!!


【ヘルカオスドラゴンがスキルを使用した。我を傷つけることなど不可能だ】


 するとドラゴンさんの体が薄く輝きだした。


「結界モフか!? 沙南たんが攻撃する前に壊した方がいいモフね」


 まずはみんな、ボスの行動を見守る。攻撃パターンは大事だしね。


【ヘルカオスドラゴンが特技を使用した。地獄の炎で骨も残さん】


 口から灼熱の炎を噴き出し、私たちに攻撃を仕掛けてきた。


「ふっ。さっそく来たようだな!」


 ハルシオンさんが防御スキルを重ね掛けして、その盾で炎を受け止める。


【ハルシオンに8万5690のダメージ】


「くっ!? なかなかのダメージだが、受けきれないほどじゃない!」


【ハルシオンがアイテムを使用した。回復薬】


「みんな! もしも俺がダメージを受けたらアイテムで回復をしてくれ! 順番に使えばリキャストタイムでアイテムが使えなくなる事もない!」


 みんなが頷き、そして反撃のムードがやってきた!


「私、攻撃してもいいの?」

「お待ちなさいな。わたくしを忘れてもらっては困りますわ!」


【黒猫が大技を使用した。絶技、竜神の舞】


 すると、その場にいたみんなが虹色に輝いた。

 魔法剣士の絶技。それは周囲にいる仲間のステータスアップだ。確か、全ステータスが2倍になるはず!


「さらに、わたくしの課金装備『呪令扇』によってステータスアップの効果が上昇しますわ!」


 そういえば勝ち抜きトーナメントの時にも使っていたよね。凄い! 頼りになる!!


「よし、行くモフよ! ただ僕が先に攻撃をしてあのバリアをぶっ壊すから、沙南たんはその後に攻撃するモフ!」

「了~解!」


 モフモフさんがボスに向かって駆け出していく。

 私もその後に続いて追いかけた。


「出し惜しみ無しでいくモフよ!!」


【モフモフ師匠が大技を使用した。絶技、爆雷斬】


 漆黒のドラゴンさんに飛び掛かったモフモフさんが、その爪を振りかざし渾身の一撃を叩き込む!

 すると、その体を覆う光が砕け、粉々になって飛び散った!


「沙南たん、くぅたん、今モフ!!」


【沙南がスキルを使用した。力溜め】

【沙南がスキルを使用した。ベルセルク】

【沙南がスキルを使用した。クリティカルチャージ】

【沙南がスキルを使用した。コンボプラス】

【沙南がスキルを使用した。気功術】


「うりゃあああああ!!」


 私もモフモフさんに続いて飛び掛かった!


【くぅが特技を使用した。リモコンアロー】

【沙南が大技を使用した。絶技、獣神咆哮牙】


 くぅちゃんがあの操作できる矢でタイミングを合わせてくれるはず。だから私はただ、全力で攻撃を当てるだけでいいんだ!!

 仲間を信じる! みんなを信じる! もう私たちは立派なパーティーなんだ!!

 そして今、私の本気にくぅちゃんの一撃が合わさった!


【沙南のアビリティが発動。コンボコネクト+2コンボ】

【沙南のアビリティが発動。先手必勝+1】

【沙南のアビリティが発動。HPMaxチャージ】

【沙南のアビリティが発動。状態異常打撲付与】

【沙南のアビリティが発動。ドラゴンキラー】

【沙南のアビリティが発動。デュアルアタック】

【沙南のアビリティが発動。スキルブースト】

【沙南のアビリティが発動。マルチブースト】

【沙南のアビリティが発動。アビリティブースト】

【沙南のアビリティが発動。無効貫通】


 スキルを五つ使っているからスキルブーストの攻撃力は2.5倍!

 マルチブーストは仲間が六人で3倍!

 アビリティブーストは八つ発動で4倍!

 これらのアビリティ取得で私の攻撃力は大きく上がった。

 これが私の、全力全開フルパワー!!


【ヘルカオスドラゴンに87億2549万3146のダメージ】


 思っていた以上のダメージを与える事ができて、ちょっと頬が緩んでしまう。

 そんな攻撃を受け、ドラゴンさんの巨体は揺れて悲痛な咆哮が響き渡るのだった。

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