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ゲーマー幼女 ~訳あって攻撃力に全振りする~  作者:
第三回イベント『勝ち抜きトーナメント』編
121/147

「運営……テコ入れのつもりかしら……?」

前回のモフモフ師匠戦で、12コンボと表記していますが、実際にはそこまで攻撃を当てていない事に気が付きました。

沙南は常にコンボプラスを使用しているので一発で2ヒットですが、飛来物ダメージはプレイヤーのコンボに含まれないため、六発も攻撃を当てていません。

なので、牙抉の性能を多段ヒットとして調整する事にしました。

本当に申し訳ありませんでした!

これによって、取得した称号やストーリーには全く影響ありません。

もしよろしければ、今後も応援してもらえたら幸いです。

* * *


「何よ……あの技は……」


 私は愕然となっていた。

 沙南と神化でバトルをする場合、爪薙の脅威を最小限に抑えるために接近戦を挑むべきだと考えていた。

 多分、モフモフ師匠もそう考えていたに違いない。なのに……


 ――牙抉がえつ


 この技によって組み立てていた戦術が崩れ去った。

 見たところ、相手の攻撃を喰らうと発動するタイプの技に見えたけど、はっきり言って詳細が全く分からない以上怖くて近寄りたくないという気持ちが勝っていた。

 離れれば爪薙そうなぎ。近寄れば牙抉がえつ

 しかも沙南は、バフ、デバフ、拘束が無意味となる能力を兼ね備えている。


「どうしろっていうのよ……」


 もはやため息しか出てこない。


「運営……テコ入れのつもりかしら……?」


 まず真っ先に思い浮かぶのは、これが運営の計らいだという事。

 現状で、沙南が使う『武闘家』というクラスはほとんど使われていない。その理由は至ってシンプル。防御性能が極めて低いから。

 下手をすれば、攻撃力がダントツで低い『盾士』の通常攻撃一発で戦闘不能になるレベル。

 障子に穴をあけるくらい脆い防御面のせいで、安定性が無さすぎると誰もが見限ってきた。

 それを見かねた運営は、武闘家の運用を促すために、他の神化よりも性能を高くしたんじゃないかしら?

 もしくは、ギャンブル性の高い武闘家が転身ルートを勝ち取れた暁には、それなりのおいしい神化が待っている、というスタイルなのかもしれない。

 相手を一発殴って沈めるか、逆に殴られて撃沈するか……。さぁ、先に一撃を与えるのはどっちだ? 両者が同時に攻撃を仕掛けてクロスカウンターとなる~!

 ああ~っと!? コンマ一秒早かったのは武闘家だ。とても運がいい。二分の一の戦いを制して、武闘家が転身ルートを勝ち取った~!

 という感じの戦いを想定しているのなら、あれだけ優遇された強さを秘めていても頷ける。

 まぁどちらにしても、私が出した結論は一つ。

 沙南に転身ルートで神化させてはいけない! という事。

 何がなんでも最初の戦いを制して暴走ルートに留めなくては勝機は薄い。つまりは最初からクライマックス! という事になるわね……

 問題は、沙南が武闘家を使いこなしているという事実。

 運営が武闘家をギャンブル要因と見ているかは不明だけど、少なくとも沙南は、殺るか殺られるかの二分の一で勝ちを拾っている訳じゃない。

 圧倒的な集中力と技術力で、勝利を根こそぎ奪っていくのが問題なのよね……

 一体どうすればあのチンチクリンに一撃を与える事ができるのか……


『それでは次の試合を始めたいと思います! くぅ選手 VS――』


 名前を呼ばれたのでフィールドへ移動する。その間も、私の頭の中は沙南との戦闘シミュレーションでいっぱいだった。


『それでは試合ぃぃ始めぇぇ!!』


 ここでこう攻めて、こうきたらこう返して……


『勝負ありぃぃ!! くぅ選手のぉぉ勝ぉぉ利ぃぃ!!』


 ワアアアアアアアア!!

 試合が終わって大歓声に包まれても沙南の事だけを考えていた。

 沙南はこんなぬるい相手じゃない。虫のようにピョンと跳ねて攻撃を避けるし、こっちが刃物や弓矢を構えてもイノシシのように突撃してくる。

 まさに得体の知れない未知の生物!

 どうすれば一発を当てられる? どうすれば勝てる? どうすれば……


「くぅ様、僕の次の試合なんですが、どう戦えば……」

「うるさいわね。それくらい自分で考えなさい。次は沙南との試合なのよ? 話しかけないでちょうだい!」

「そ、そんなー……」


 同じクランメンバーとはいえ、今の私には沙南との試合の方が大事なのよ。

 それに彼には悪いけど、ここを勝っても次に当たるナーユにはまず勝てない。

 このブロックで優勝できるのは私しかいない。次の準決勝で沙南に勝って、決勝では恐らく勝ち上がってくるナーユをくだす! そうしてうちのクランが天下を取り、最強だという事を証明するのよ!


『ついに決着ぅぅ!! 拮抗した良い勝負でした。勝者は~――』


 私の思った通り、彼は負けてしまったわね。けど私なら優勝できる。

 次の沙南にさえ勝てれば、あとは優勝一直線なのよ。なんとしても勝ってみせるわ!

 そうして使える時間を全て使い、私は沙南との闘いの事だけを考え続けるのだった。

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