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ゲーマー幼女 ~訳あって攻撃力に全振りする~  作者:
第三回イベント『勝ち抜きトーナメント』編
113/147

「このブロックで注意しなければいけないプレイヤーって誰でしょうか?」

『これより決勝ブロックの班分けを開始します。抽選しだい転送を行いますので、参加プレイヤーの皆様はおとなしくお待ちください』


 そうアナウンスが流れだした。


「沙南、転送されたらすぐに場所を教えて。観客も見たい試合の場所にすぐに転送できるようになってるから」

「わかった。すぐに連絡するからね」


 するとすぐに私の体が光に包まれる。そうして目の前が真っ白になると、一瞬のうちに別の場所へと飛ばされていた。

 体育館くらいの広い部屋の中に、様々なプレイヤーが待機をしていた。

 それでも転送されてくるプレイヤーは後を絶たず、どんどんと増えていく。

 ……決勝ブロックって何人だっけか? よく覚えていないけど、とりあえず周りを見渡してみる。

 すると看板に、『決勝第3ブロック』と書かれていた。

 私はすぐにチャットでメッセージを書き込んだ。


沙南:決勝第3ブロックって書いてあるよ。


ルリ:了解。マッハで向かう!


GMナーユ:沙南さんも第三なんですか? 私もですよ。


 すぐに返信メッセージが書き込まれる。ルリちゃんったら、そんなに急がなくてもいいのにぃ~……

 って、ナーユちゃんと同じブロック!?

 周りを再び凝視すると、本当にナーユちゃんを発見した。


「ナーユちゃ~ん」


 なんだかこういう場所で知り合いを見つけるとすごく安心する気持ちになる。

 私は思わずナーユちゃんの腰にしがみ付いていた。


「沙南さんと同じブロックになっちゃいましたね」


 ナーユちゃんがそう言いながら、頭を撫でてくれた。

 ふわ~。ナーユちゃんの優しいナデナデ好き~。


「っは! ナーユちゃんと戦わなくちゃいけないんだ!」


 ナデナデにうっとりしてる場合じゃないよっ!

 そんな時だった。


「げっ! 一番やりたくねぇ奴が同じブロックかよ」


 声のする方を見ると、そこには苦笑いを浮かべるお父さんがいた。


「お父~さ~ん!!」


 抱き着こうと腕を広げて飛び掛かると……

 ゲシッ!

 足を私の額に押し当ててブロックされてしまった。


「おい沙南、ゲームの中じゃお父さんって呼ぶなっつってんだろ! 俺には俺のキャラがあんだよ!!」


 そしてこめかみに拳を当ててグリグリと回される。


「ご、ごべんなざい……」


 とりあえずナーユちゃんの腕の中に退避!


「ところでシンギさん。このブロックで注意しなければいけないプレイヤーって誰でしょうか?」


 ナーユちゃんがグリグリされた所をさすりながら、そんな事を聞いていた。


「最初に言ったが、一番ヤベェのはお前ら二人」

「あ、あはは……」

「他に真っ先に目につくのはあそこの熊だな。モフモフ日和のクランマスター。モフモフ師匠だ。レベルは1120。愛らしい恰好してるがかなり強いぜ」


 モフモフ日和ってバトルロイヤルの時に協力してくれたクランだ。後で挨拶に行かないと。


「あそこにいんのはフラムベルクのマスター、レベル1080のくぅだな。いつもイベントランキング二位に付けてくる実力派で、最近は神化の検証をかなりやってるって話だから、今回もガチで優勝を狙ってきてるな」


 こっちもバトルロイヤルの時に協力してくれたクランだよ。会うのは初めてだけど……


「他には……あの眼帯してんのが黒猫海賊団のクランマスター、黒猫だな。このクランも毎回イベントで十位以内に入り込んでくるから要注意だ。あそこにいんのはワイルドウルフ最強と言われるオロチだ。下手なクランマスターよりも断然強いって噂だぜ?」


 ふえ~。凄い人がいっぱいだよぉ。

 まぁ、決勝ブロックに勝ち上がってくるくらいだから凄い人しかいないんだろうけどね。


「ところでさ、狐ちゃんと烏さんと蜥蜴さんはどうなったのかな?」

「あの三人は予選ブロックで負けてしまったようですね。恐らくここの応援に来てると思いますよ?」


 そんな話をしている時だった。


『皆様お待たせしました。これより決勝ブロックのトーナメントの抽選を始めます。設置されている画面に注目してください!』


 アナウンスが流れて、みんなの視線が巨大なモニターに集まる。そこには未だ名前が書き込まれていないトーナメント表が映っていた。


「えっと、決勝ブロックって何人だっけ?」

「32人ですよ沙南さん」

「そっか。32人って事は……16回勝てば優勝?」

「いえ、五回ですね……」


 てへへ。計算のケアレスミスしちゃった。


「沙南、お前もう少し勉強頑張った方がいいぞ。算数のテストとか何点取ってんだよ……」


 お父さんが本気で心配そうな目で見つめてくる。


「頑張ってるよ! お父さんは早く家に戻ってお母さんの手伝いしてあげて!!」

「それを言うなよ。今手続きしてんだから……。ってかお父さんって呼ぶな!」


『それで抽選を開始します!』


 するとトーナメント表にズラリと名前が浮かび上がった。

 あまりにも唐突で自分の名前がどこなのかまるでわからない。


「わ、私の名前どこ!? ナーユちゃんとはいつ当たるの!? お父さんとは!?」

「いやだからお父さんって呼ぶなって!」


『それでは早速始めましょう! 決勝ブロック第一回戦。沙南選手 VS オロチ選手です』


 えぇ~!! 私の名前一番初めの所に書いてあるの!? 唐突すぎて心の準備が~……

 そんな私の気持ちなんて知る由もなく、外からの歓声が一際大きくなるのが聞こえてくるのだった。

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