表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲーマー幼女 ~訳あって攻撃力に全振りする~  作者:
第二回イベント『バトルロイヤル』編
103/147

「もう次は喰らわん!」

【GMナーユがスキルを使用した。ソニックムーブ+5】


 全力で地面を蹴る。戦闘機が加速するその上をさらに走る感覚で、ぐんとスピードを乗せていく。

 音速の壁を突き抜けて、私は両手の短剣を振るった!


 ――キイィィン!


 金属音が一つ響く。どうやら左手の攻撃を防がれてしまったらしい。


【ハルシオンに1万5000のダメージ】


「ぐぅ……だが、わかったぞ。もう次は喰らわん!」


 ニヤリと嬉しそうに笑う彼を流石だと思った。

 一度見せた動きに即座に対応してくるあたり、やはりトップクランのマスターだと言える。

 ……でも、そんな事を含めて私は逃げずにここへ残ったんだよ。必ずこの人を越えてみせる!


「流石ですね。ですが、次もうまく防げるでしょうか」

「くくっ、やってみればいい」


 では遠慮なく。

 私はいつものように、両方の短剣を目の前で構えて腰を落とす。


「ソニックムーブ改・残視ざんし!」


 そして全力で地を蹴る!

 目に映る一瞬の彼は動かない。それどころか私の動きすら捉えきれていない。

 斬っ! と横を通過する際に連撃を入れて初めて彼は反応を示した。


【ハルシオンに1万5000のダメージ】

【ハルシオンに1万5000のダメージ】


「がはっ!? な、何ぃ!? バカな!?」


 恐らく彼には私の姿は止まって見えていたと思う。それもそのはず。『残視』は私の残像を見せる技だから。

 構えた格好と出来るだけ同じ状態で動く事により、その場に残像を残す。これによって私の姿を一瞬でも見誤れば、繰り出す斬撃には反応できない!


「ぬぅ、今のは残像……か? もう覚えたぞ。もう次は喰らわん!」


 だろうね。あなたは簡単に倒せるほど甘くない。そんな事はわかってる。

 だから、出し惜しみ無しで行くよ!


「ソニックムーブ改・飛燕ひえん!」


 ギュンと跳び上がると、彼の頭を飛び越えて後方の壁に足を付ける。そのまま一気に背中目がけて急降下を開始した。

 その動きは高い所から狙撃する弾丸の如し!

 地面に突き刺さる勢いで刃を振るう!


【ハルシオンに1万5000のダメージ】

【ハルシオンに1万5000のダメージ】


「ちぃっ! また別の動きだとぉ!?」


 空中からの奇襲に彼は困惑している。だけどこれで驚くのはまだまだ早いよ。

 瞬時に次の技に切り替える!


「ソニックムーブ改・舞龍ぶりゅう


 音速を越えたスピードで左右に動きながら迫っていく。

 その動きはまるで、ドラゴンが体をうねらせながら突っ込んでいくように見えるはず!


「ぐっ!? 右か、左か!?」


 左右のどちらを通過するか、それを惑わすのがこの技の目論見だ。

 相手は見極めて防御をするか、回避をするか、はたまた思い切って攻撃を仕掛けるかの選択を強いられる。だけどその判断が遅れた時点でもうすでに手遅れとなる。

 判断が遅れると言う事は体が動かないと言う事。迷いを生み出すのもこの技の狙いなのだから。

 だけどそんなのんびりと考える暇なんて与えない。私のスピードについてこれなければ容赦なく切り刻むだけだよ!

 斬っ! と私の刃は確実にヒットしていく。


【ハルシオンに1万5000のダメージ】

【ハルシオンに1万5000のダメージ】


 ハルシオンさんのHPは約20万。あとどれだけ当てればHPを0にできる?

 いや、考えるのは止めて、全ては自分の繰り出す動きに集中する!


「ソニックムーブ改・御雷みかづち!」


 地を蹴り直進した瞬間に、90度直角に方向を変える。そしてまた急激な方向へと向きを変える。その動きは地面に落ちるまで不規則な軌道を描く稲妻の如し!

 前後左右どこから突き刺さるかわからない、電光石火の一撃をイメージして作り上げた。


【ハルシオンに1万5000のダメージ】


 私の攻撃が確実に彼のHPを奪っていく。

 だけど、正直に言うとこの技はまだ未完成だ。あまりのスピードに私自身が制御できていない。

 不規則に動く稲妻を連想させる技だけど、簡単に言えばランダムで動き続けているだけ。当然、私が考えて動いている訳じゃない。

 というか、このスピードを維持しながら考える余裕なんて全く無い。とにかく止まらずに動き続けるだけなんだ。

 視界に一瞬、彼の姿が映り込んだ。私は反射的に武器を振るう!


【ハルシオンに1万5000のダメージ】


 適当に動き続けて、その際にこの刃が届く範囲まで接近したら腕を振るう。それが未完成でもある『御雷』の現状だ。

 だけどそれ故に動きは読まれにくい。なぜなら私の意思とは関係無くランダムに動き続けているから。


【ハルシオンに1万5000のダメージ】


 また一発当てた! いける! このまま押し切れる!

 あと一秒、ソニックムーブを追加で使用する。ランダムに動き続けて、壁にぶつかりそうになりながらも、堪えて、堪えて、堪えて、チャンスを待って……

 目の端に彼が映った時、私は反射的に短剣を振りかざした。


「そこかぁーー!!」


 予想外にも、ハルシオンさんが私に向かって剣を正確に振るってきた。

 止まる事はできない。私は突き抜けるように突撃をして刃を振り抜いた!

 斬っ! と鈍い音が耳に残り、私は衝動的に足を止めた。


 ――ガクリ。


 体が揺れて、私は地面に倒れ込んでしまった。

 けれど、彼もまた同じように倒れ込むのを、私は目の端に捉えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ