執筆
「いつかは私も本に関わる仕事がしたい……猫なのにおかしいですよね?」
「そんなことはありません。希望はありますよ。猫の世界にもニャーランド誌という本がありましてね」
「まぁ! 本当ですの!? ニャームズさんはもしかしてその雑誌と関わりがおありで?」
「えと……はい」
この数日。私は彼女と夜のデートを重ねていた。
まぁただの1日の調査報告なのだが。
しかしニャームズでいつづけるのは疲れる……
勢いで言ってしまったがニャームズはニャーランドと関わりがあるのだろうか?
「本当ですか!? さすがニャームズさん。きっとニャームズさんは美しい文章をお書きになるのでしょうね? あっ! もしかして連載もお持ちで?」
「ええ……まぁ……駄文ですが」
「やっぱり! あぁ……ニャームズさんは私の理想的な雄猫です」
「……」
虚しい……彼女のニャームズに対する憧れはどんどん強くなる……私は彼女のニャームズのイメージを壊さぬ為、嘘をつき付ける……。
私ニャトソンが彼女に愛されることはないのだ……
ニャンとなく……ニャンとな~くだが、私はその夜、小説を書いていた。
いや……小説というか作文だ。
ニャームズと出会い、初めて冒険をしたあの事件について。
「にゃんにゃかな……」
彼女に好かれたくて……嘘をまことにすべく小説を書く……私はこんなにも女々しいオスだったのか。
「ている……と……」
キリのいいところまで書き終えたところで猛烈に恥ずかしくなってきた。
「消してしまおう……あっ!?」
肉きゅうが滑った! 私は誤って送信ボタンを押してしまった。
行き先はもちろん……
「よりによってニャームズに!」
私の電話帳にはニャームズしか登録してないので当たり前なのだが。
「どうしよう……どうしよう……ひゃっ!」
五分ほど部屋をグルグル歩いていたらスニャホが鳴った。
「も……もしもし?」
『やぁニャトソン。読ませてもらったよ。なんだい? これは? ずいぶんエンタメ性の高い文章だね。僕と君の最初の冒険の話だ』
「うぅ……」
恥ずかしすぎる! きっとニャームズは電話の向こうでニヤニヤしてるに違いない!
『君が文章をねぇ……どういう風の吹き回しかはわからないけどこちらで預かろう。悪いようにはしないよ。それでだね? 西岡氏の本のことだが写真というのは……』
「すまん! ニャームズ!」
恥ずかしさに耐えかねて私は電話を切り、スニャホの電源を落とした。
しばらくはニャームズとは話しをしたくない。




