ニャルバロッサ現る
今回からスマホ執筆です。
この事件について語るとき、ニャームズはタマネギを噛みながらいつも上機嫌でこう言った。
「あれは大変溜飲の下がる事件だった」と……
それは確かにその通りで私も事件解決の瞬間にはゾワワと鳥肌がたったものである。
ん? ……猫の鳥肌?
まぁいいだろう。とにかく痛快な事件だったのだ。
読者諸君も是非ニャームズの推理と新たな必殺技に酔いしれて欲しい。
☆
森の奥にあるニャームズの新しい住処でケーブが《新しいニャー探偵》の話を口にしようとした瞬間……突如彼は現れた。
「あぁ臭いな……負け犬と老いたニャー探偵の臭いだ
」
ダックスフントを引き連れたチョッキを着た、《二足歩行の黒猫》はニャームズとケーブを見てそういった。
ケーブは慌ててニャームズに耳打ちする……
(あぁニャームズさん。彼があなたがいない間にニャー探偵を名乗りだした黒猫です。ダックスフントは《ショカツ》といい、私と同期なのですが、そりが合わなくて……)
「ニャームズさん。私の名は《ニャルバロッサ六世》……由緒正しきイギリス猫です。あなたのような偽物の猫紳士と違って……ね」
「う~ん……このブランディのフレグランスはとても素敵だ……」
ニャームズは睨みつけるニャルバロッサを全く相手にせず、ネコネコ笑いながらアルコールを飲み続けた。
「……わざわざ挨拶に来てやったというのに無礼な猫だ……いいかい? ロートル・キャット……この町に君はもう必要ない。時代遅れのロートル・キャットにできることがあると思うな。大人しくしていろ。余計な真似をしたら僕の必殺技が火を噴くぞ」
「ははぁ……なるほど……それではどうです? ニャルバロッサ君。君もブランディを飲んでいきませんか?」
ニャームズは相変わらずネコネコしながらマイペースを崩さない。
「ふんっ! 下品なロートル・キャットはニャー語を忘れてしまわれたようだ……いきましょうショカツ。いいか? 警告はしたぞ?僕はありとあるゆる事で君を大きく上回っている。刃向かったら恥をかくだけだ」
ニャルバロッサは森へと歩き出した。
「待ってくださいよニャルバロッサさん。おいケーブ! お前は負け犬臭くて追跡しやすかったぜ? ヒヒヒッ……ニャルバロッサさん側につけよ……俺の部下としてな……」
「何だと!? ショカツ貴様……」
「ふん……これからはニャルバロッサさんの時代だ。お前がそうしたように俺もニャー探偵について甘い汁吸わせてもらうぜ……おいニャームズさんよぉ! ニャルバロッサさんには勝てないぜ? ニャルバロッサさんはなんと二歳半で二足歩行をマスターしたんだ。アンタなんかメじゃねぇよ。カッハッハァ!!」
「なんと無礼な……私はただこの町の平和の為に……
全力を……」
「わかっていますよケーブ」
憎々しげにニャルバロッサとショカツの後ろ姿を見つめるケーブの肩に優しく肉球を置いた。
「しかしニャームズさん……あの二匹はあんまりです……」
「心配はいらないよケーブ。彼は二歳半で二足歩行をマスターしたようだが、僕は二歳の誕生日の前には歩けていましたよ。それに……」
「それに?」
ニャームズはパイプをくわえた。
「彼には借りを返さなくてはいけません」
「借り? ニャームズさんは彼と面識があるので?」
「ありませんがあるのです。しかしニャルバロッサ六世ね……クックックッ……」
「?」
ニャームズは笑い、ケーブはポカンとし、私は彼らに一切ふれられなかったので少し傷ついた。




