化け物鳥の正体
「気になるのは……クリスのことだ」
私もそれは気になっていた。
どう見ても劣悪なこの環境でアムリアの息子……クリスがまともに育てられてるとは思えなかった。
「クリス? あの図体がでかいだけの弱虫かい? 問題ないとは思うぜ? アムリアは猫には厳しいが鳥は溺愛してるし」
「だからといって息子にも優しいとは限らない……なにかクリスについて知りませんか?」
「うん? よくわからんが……あいつはママーとかにゃんこちゃーんとかしか喋らんしなぁ……あと一つなんか喋れたような……忘れたけど」
「そんな!」
五歳から七歳の子供が二つしか言葉を喋れないなんて異常だ! これは鳥がどうとかというレベルの話じゃなくなってきた。
アムリアと刃物鳥。
この二つの危険からクリスを救わなければ……ニャームズも同じ気持ちのようだ。
肉きゅうに戦闘用グローブを嵌めている。
「今すぐなんとかしなくちゃいけない」
「いくのか?」
「ああ。ニャトソン。君は僕の後ろにいたまえ」
いくしかないか……私たちは狂暴な鳥たちのいる部屋に侵入した。
「……お前らが死んだらわるいけど喰うぜ?」
カラスがニヤリとした。
……
静かだ。
そして暗い。
たくさんの気配を感じる。
大、中、小、の檻。
どれも鍵はかかっておらず臭い。
私が鼻を塞いだときだった。
「来たぜ!」
「クエッ!」
「キュピルル!」
鳩やオウム、それに見たこともないような鳥たちが襲いかかってきた。
「セイッ! ……そいやっ!」
お見事! ニャームズは一瞬で襲いかかってきた鳥たちを気絶させた。
年老いてなお強い。
これがニャームズである。
鳥たちの猛攻は続くが束になろうとニャームズの敵ではなかった。
「……諦めたらどうだ? クリスに会わせてくれ」
「フシュシュ……クリス? やつを知ってるのか? ちょうどいい! クリス!」
「ちゅーん?」
一際大きな檻から少年が出てきた。
彼がクリスか。
「我々はニャンコーポール! 君を助けにきた!」
「離れろ! ニャトソン!」
「うわっとぉ!」
「にゃんこちゃーん!」
ザクッ! ザクッ!
クリスの両手には包丁が握られ、振り下ろされたそれが床に刺さった。
「なにごとだいっ!? ……あら? 猫じゃないか」
予想はしていたが……アムリアまで登場か。
もちろん包丁を握っている。
刃物の好きな親子だ!
「クリス! やっちまいな!」
「にゃんこちゃーん! ママー!」
「クリス……彼が化け物鳥の正体だ……ニャトソン」
「なにぃ!?」
クリスは口に刃物を咥え、両手に包丁。
足の指にもナイフを挟んでいる。
確かに全身刃物だが……
「アムリアは任せた!」
「ええっ!?」
「猫めっ! 鳥たちの餌になれぇ!」
なってたまるか! 私だってキャットファイトの経験は浅くない。
助走をつけてアムリアの顔面にミケット・キックを直撃させた。
「……あう」
鼻血を吹き出しながら倒れるアムリア。
包丁はにぎりしめられたまま。
……なんておばちゃんだ。
「ねこ……ちゃ……うっ……」
あちらも決着がついたようだ。
クリスは眠るように気絶した
「ニャトソン。いますぐ人間の警察に電話だ」
「……いいだろう。あとで説明をきかせてもらうよ?」
人間なのにクリスが化け物鳥……。
よくわかにゃん。
なぜクリスは鳥の檻から出てきたのだろうか?
窓の方をみた。
カラスが残念そうな顔をしている。




