ニャンコの超電磁砲
「んがっ?」
目を覚ますと私の体には毛布がかけられていた。
どうやら私はヘネコプターのなかで熟睡してしまったようだ。
「ずいぶん寝たね」
「ニャームズ……?なんで?」
辺りはもう薄暗い。
ええと、そうだ。
ニャームズが助けに来てくれたのだ。
「とびきりのスタードッグス・ネコーヒーをいれた。そいつを飲んで目がさえたら約束通り話をきかせてくれるね?」
「もちろんさ」
ニャームズのいれてくれたスタードッグス・ネコーヒーは複雑な……猫だか犬だかわからない……とにかくおいしいコーヒーだった。
「……それがね?大変だったんだ」
「……ふぅん」
私がミケ墓村のポチ武者伝説。
田子作の32匹虐殺逸話。
そして昨晩の二つの悲惨な事件の話をするとニャームズはアゴに肉きゅうを当てて杖を振り回しながらブツクサ『30年前となるとピタリと重なるな……』などと言いながらヘネコプターの周りをグルグルと歩き回った。
「よしっ!明日の朝にはロープウェイを修理して町のドーサツがこの村にやってくる。それまでにこの村の猫たちを呪縛から解き放ってやろう」
「……ん?どういうことだ?」
「……わからないのかい?」
ニャームズは久しぶりに馬鹿を見る目で私をみた。
この冷ややかな目に私がどれだけ傷つけられるか彼は知らないのだ。
「そもそもニャームズ。君はなぜミケ墓村へ?乗り気ではなかったじゃないか」
「それはね。夜中に突然大きな音がして行ってみたらミケ墓村に繋がるロープウェイが落ちたって言うじゃないか。僕はミケ墓村で君になにかあったに違いないと思い、ドーサツに連絡し、山を下りてヘネコプターを拾いここまでやってきたってわけさ」
「……そうだったか」
わざわざ夜の山道を戻り、ヘネコプターにのって駆けつけてくれたのか……嫌なとこもあるが、やはり彼は底抜けにニャンディーなオスである。
「それに君はなにかとトラブルに巻き込まれる体質だからね」
「おっしゃるとおり」
私は思わず叫んでしまった。
「不幸だ~!」
「……なんだ急に?」
「……なんでも」
そう叫べば何やら若い、ライトノベルを好む人間の読者を獲得できる気がしたのだ。
「それはそうと呪縛をとく……とは?」
「簡単なことさ。伝説、逸話、今回の事件を0から100まで説明して紐解いてやろうって意味だよ」
「そんなバカな!?」
馴れたはずだと思っていたがやはり驚かされる。
ニャームズはまたしても話を聞いただけで真相にたどり着いてしまったと言うのだ。
ましてや30年も謎だったポチ武者の伝説まで!
私は少しこの友猫が恐ろしくなった。
もしこの猫がなりふり構わずその頭脳を武器にしたなら……この世に敵などいなくなるのではないか?
「驚いているね?ニャトソン?しかし今回は謎なんて大げさな話じゃないんだ。ポチ武者……田子作……このワードを僕の知識のなかにある方程式に当てはめただけなんだ。ポチ武者×ミケ+田子作だ。不幸なことにこの村は30年もその方程式を知らず怯えていたこととなる」
簡単に言ってくれる。
「一応裏付けしないとな……インターネッコは繋がらないし……いや、こんなときこそフィールドワークだな!僕たちは機械に頼りすぎている!この村には資料館はあるかな?」
「多分」
確か、それらしき建物があったような……しかし私は村猫から警戒されているから中に入れてもらえないだろうとニャームズに言った。
「そうかい?でもいいさ。そろそろ日が暮れるしね」
「日が暮れるとどうだって言うんだ?」
「資料館に忍び込めばいい。ドーサツが来るまでまってられないよ。鍵?関係ないね。数字鍵だろうがぐるりだろうが僕にかかればね」
「……私もいくのか?」
「もちろん!君は真相にいち早くたどり着きたくないのか!?」
「あ~……」
別に私はそんな慌てなくてもいいのになー。
面倒だなー。
やれやれなどと思いつつも結局彼について行ってしまうのだろう。
私はまた「不幸だ~」と叫びたくなった。
まったくこのオスはいつもクールなくせに時に猪突猛進だ。
とあるニャンコのレールガンだな。
222222文字目指してます。




