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ニャーロック・ニャームズのニャー冒険。  作者: NWニャトソン
まだらの紐。
151/203

北方ワンぞうはイタズラ好きの少年

「このニャーロック・ニャームズのニャー冒険はニャトソン先生自身をモデルとしており、私からみた彼は物語の中の彼より遥かに明晰で勇敢で……」


「やめてください! ああ! 恥ずかしい! ニャームズは実在するんです! 駄目だ! 緊張と恥ずかしさで死ぬぅ!」


「……と、このようにニャームズ先生はとても謙虚でもあり……」


「話を聞いてくだ!……あっ、力を入れすぎてオナラがでちゃった! すいません!」


……私の晴れ舞台は終始こんな感じだった。

 ワンぞう氏が私をべた褒めし、テンパりにテンパった私がおかしな言動をとり、会場が大爆笑。

 早く終わらせようと私がマイクの前に立ち、「とにかくありがとうございました!」とお辞儀をしたらマイクに狭い額をぶつけ、また爆笑……

 この日の出来事がいい思い出に変わるのは大分時間がかかった。








「やあ」


「やあ……じゃないよ。なんで出てきてくれなかったんだ?」


 一段落した私をニャームズが海岸に呼び出した。


「僕はああいうのは苦手だ」


「私だってそうだ……ん?」


 あ……れ? ここで私の脳がスパークした。

 ニャームズはあの日……『北方ワンぞう氏は僕も面識があった。いたずら好きで茶目っ気のある愛すべき犬だった』と私に言ったのだ。

 ワンぞう氏が彼と面識があるなら私をニャームズだとは思わないはずだ。


 これはおかしい。


 私はそれをニャームズに尋ねた。


「ああ……それはね……つまり」








 20××年。


「さあ! こい! チュンこいっ!」


 少年(子猫)がスズメ採りの罠をしかけ、まさにスズメがカゴに入る瞬間……少年は紐を引く……ところをオスネコに止められた。


「なんだよ!」


「またイタズラかい? そんなことより本でも読めと言っただろう?」


 少年の親が経営する小さな宿『民宿ニャーオータニ』に長期宿泊しているオスだ。


「本なんてつまらないよ」


「そんなことはない。人生(猫)で経験できることは限られている。本はその足りない経験を補ってくれる。損はない。僕のオススメを貸そうか?」


「えー……わかったよ。そのかわりまた新しい遊び教えてよ?」


「いいとも」


 少年は彼を慕っていた。


 彼にいろいろ教わり読書にもハマった。


 いずれ作家になりたいと夢見た。


 ……そして彼が宿を去る時はニャンニャンと泣いた。


「お別れだ。ワンぞう君。いつか君が立派な大人になったらまたここで会おう」


「俺は作家になる! このニューオータニだって三つ星ホテルにしてやる! 先生さよなら! またあおうね!」



 彼の名前は覚えていない。


 ニャー……


 にゃーむ……?













「……イタズラ好きな少年だったって事さ。僕はワンぞう君との約束を守れて嬉しい」


 ニャームズはそう言って焦がしタマネギを口にくわえて香りを楽しんだ。





 ……私にはにゃんのことだかわからない。











 2015年『このミステリーがネコイ!』書き下ろし。


『まだらの紐』




完。



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