ニャンソン
ニャンソン!……猫のダンソン!キーザキー!
どっくんフーグライ……猫のラッスンゴレライ
「鱒男と穴子の闘いについての真相についてはわかったが……ニャームズ。さすがの君でもあの夜の真相はわからないだろう?」
鱒男が笹絵に料理を食べさせ、笹絵が塩を鱒男に食べさせ『許すことにする』と言ったあの謎だ。
「それは100%は無理だね。無理だが予想ぐらいならできるよ。僕は君から話を聞いたあと、すぐに鱒男寿司に行ってゴミ箱を調べた。あっ、そうだ! 君に食べさせたいものがあったんだった。ちょっと待ってなよ」
ニャームズは冷蔵庫から袋を取り出し、中身を皿の上に乗せ、白い粉をまぶした。
ん? ……これは?
「おお! これはあの日の料理じゃないか!」
間違いない!
「ちょっと食べて見ろよ」
「いいのか!?」
あの日は二人に遠慮して食べなかったが実は物凄く食べたかった。
私はムシャムシャと『それ』を食べ始めた。
「うまい! 成猫(大人)の味だな! しかしこの粉はただの塩だろ?」
「ニャトソン……君と出会えてよかったよ。楽しかった……」
「ん? なんだ?」
何を最後の挨拶みたいなことを言い出して……
「おいニャームズ。おかしな事を言うのはよせ」
「君が食べたのはフグの卵巣だ。そして味付けの白い粉は青酸カリ……」
フグの卵巣? 青酸カリ? 聞いたことがないが珍味なのだろうか?
「ニャームズ。フグの卵巣と青酸カリとはなんだ?」
「ん。毒だよ」
「毒!?」
毒って……英語で言うところの……
「ポイズン!?」
「うん。青酸カリは猛毒でフグの卵巣に含まれているテトロドキシンという毒はそのさらに千倍の強烈な毒だと言われている。君は人間を何百人と殺せる毒をペロリ平らげたことになる」
「はあ!?」
私は言いたいこともいえず、パニックのあまり踊り出した。
「いーや! チョトマテチョトマテオニャーさん! どっくんフグってなんですのん!? どっくんフーグライ! どっくんフーグライ!」
「落ち着けよ。強い毒だから苦しまず楽に逝ける。あっ……青酸カリは胸の焼けるような激痛があるんたっけかな?」
「ポイズン!」
私はますますパニックになり、激しく踊った。
「セイサンッ! カーリヒー! テトロドーキシンッ! コッサ! セイサンッ! カーリヒー! テトロドーキシンッ! コッサ!」
鹿がいたらニーブラできそうなほど激しく踊った。
私は死ぬのか……ナタリーと仲直りできぬまま……
「……というのは冗談で、ただの糖漬けと塩だよ。さてこいつには日本酒だね。ついでだからディナーにしようよ」
「……」
私は固まったまましばらく動けなかった。
いつかこのオスをニャフンと言わせたいものだ。
「要するに博打だったんじゃないかな?」
ニャームズはキリキリに冷えた大吟醸をテーブルに置いてそう言った。




