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のほほん見聞録  作者: ヒロっぴ
市営バス時代
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長い夜







これはある意味都市伝説と化している話だが、先生と呼ばれる職業や公務員など、普段抑圧されている人ほど呑むと弾ける。というような話を聞いたことはないだろうか。



赤ちゃんプレイや、マゾプレイなど、社会的立場のある人ほどはまる。そんな噂を聞いたことがあると思う。




そこまで極端ではないにしても、市バスの職員も地方公務員であり、乗客は単なる客ではなく、市民という事になる。



その為、民間のバス会社では問題にならないような些細な苦情も多く、その分ストレスも溜まりがちだった。




その為か、飲み会では脱ぐ人も多かった。



そのうちの一人、Mさんという先輩がいた。



彼はなぜか、カラオケで『長い夜』がかかると、もれなく全裸になっていた。




自分で歌えば歌いながら脱ぐし、他の人が歌えば、歌に会わせて躍りなから脱ぐ。




あるときなど、職場外の若い女の子が数人参加してカラオケボックスに行ったことがあった。




さすがに脱がないだろうと思っていたし、Mさんのクセを知っている同僚たちも『長い夜』は選曲しなかった。




しかし、それを知らない若い女の子が『長い夜』を好きらしく、『誰か歌って!』と、入れてしまった。




するとMさんは、何の躊躇もなくいつも通りの流れで脱いで行くと、あろうことか脱いだパンツを女の子に投げた。



当然、『キャーッ!』という悲鳴が上がり、カラオケボックスはパニック状態に陥った。




……ある時、シラフの先輩に、



『家族と一緒だったら脱がないですよね?』




と聞いたことがある。




『まさか、脱ぐわけないだろ!』



とMさんは言ったあと、少し考えてから、




『でも、脱いじゃうかな……』




と言って笑った。




 慰安旅行や、仲間内での飲み会など、知っている人間しかいないときは、みんなあえて『長い夜』を選曲するし、それによって盛り上がりもしていたからいいのだが、慰安旅行の宴会でさんざん盛り上がったあと、街に繰り出して二次会をしたことがあった。



普段はカラオケボックスなど貸しきり出来るところに行くのだが、その時はフィリピンパブに行くことになった。




当然貸しきりではないので、一般のお客さんもいる。




暗黙の了解で、Mさんはもとより、職場の人間は誰も『長い夜』を選曲しない。




一般のお客さんが歌うのは仕方ないが、選曲される可能性は、そこまで高くない。




平和なうちに二時間ほど経過した時、俺は腹の調子が悪くなって、トイレに入った。




個室に入って用を足していると、『長い夜』のイントロが聞こえてきた。



まさかと思っていたが、曲が進行するにつれて、店内から悲鳴が聞こえてきた。



どうやら大騒ぎになっているようだ。




俺は曲が終わり、店内が静かになった頃にトイレから出ると、店内に戻った。



席に戻るとMさんが俺の隣に来た。



『○○~(俺の名前)、怒られちまったよ……』




と小声で言って、先輩がシュンとしていた。




『我慢出来なかったんですか?』




苦笑いしながらそう聞くと、Mさんは『おう……』と言って小さくなっていた(笑)






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