方言
当時、俺がいたのは、大手運送会社の貸し切り事業部が独立したグルーブ会社だったので、社員は全国各地にちらばっていた。
それぞれの地元をベースにしながら、事あるごとに本社のある大垣(岐阜県)に立ち寄るのだ。
その日は、本社に立ち寄った仲間と近くの居酒屋に飲みに来ていた。
十人近く集まった仲間は、みんな様々な地域をベースにしている。
いいかげん酔いも回り、盛り上がっていた頃、隣の席で飲んでいた見知らぬ人達の会話が耳に入ってきた。
『…九州の方言は分からないよね~…』
それを聞いた、こちらの酔っぱらいの一人が立ち上がり、
『俺、博多やけど、分からんとですか?』
と言っておどけた。
『いえ、スイマセン。分かります。』
その人達はビックリしながら、苦笑いしていた。
するとまた、
『…でも、東北弁の方が分かりにくいよね?』
と、話の続きをしだした。
するとまたこちらの違う酔っぱらいが立ち上がり
、『おら、秋田だけんど、分かりにくいですか?』(こんな感じの秋田弁)
『す、スイマセン。大丈夫です。』
するとまた
『…俺は広島弁のほうが…』
『わし、広島やき、分かりにく~てスマンの~』
『スイマセンスイマセン、そういう意味じゃ。』
も~、おっかしくて、腹抱えて笑ってしまった。
しかし、タイミングよく話題に上がる地方の人間がいたもんだ。
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