表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のほほん見聞録  作者: ヒロっぴ
長距離トラック時代
45/136

三つ目の信号






当時は今のような1万分の1の地図もなく、当然ナビなども無かったので、大型トラックで行き先の住所を頼りに貸し切り便を走るのは中々大変だった。


荷物を積んだ時点で配達先に電話をかけ、大型車が入れるかどうかの確認をする。



もし入らなかったら近くの支店で四トン車に積み替え依頼をしなければならず、そうすると運賃の一部を譲らなければならないので、何回切り返そうが入るなら無理矢理にでも大型車を入れた方が給料は良くなる。




また住所だけを頼りに走っていくので地図に乗っているような大きな会社だとたどり着けるが、そうでないと近くまで行って地元の人に聞きながら走ることになる。




ある時、東北の畑が広がる田舎町にある小さな工場に配達することになった。



住所を頼りに近くまでは来たが、その住所も何丁目何番地とかの表記ではなかったので、中々たどり着かない。




トラックを止めて、道を歩いている人に聞くと、さすが田舎町。



工場の名前を告げるとすぐに場所は分かったようで、教えてくれる。




『この道を北に真っ直ぐ行って、三つ目の信号を右に曲がると、じきに見えてくるよ。』




と言うようなことを方言で伝えてくれた。





その人によれば、すぐ近くだということだった。




そして北に向かって走ること10分。

信号二つは越えたが、三つ目が中々見えてこない。




『え?あの人信号三つ目って言ったよな?すぐ近くって言ってたから、三つ目の交差点の間違いか?』




段々不安になる。




信号もなく渋滞もない道なので、10分も走ればかなりの距離だ。




それから20分。




まだ三つ目の信号が表れない。




『もしかして信号見過ごしたのか?』





そう思っていると、三つ目の信号があった。




半信半疑で右折する。




近くだと言われたのにこれだけ走ると、さすがに間違ってると思っていた。





『また誰かに聞かなきゃ……』





すると、目指す工場が見えてきたのだ。






田舎の人の『近く』って……


恐るべし!



.



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ふふふ、地方では隣家がキロ単位だったりしますものねぇ。 よく突っ切りましたねぇ、私なら途中で聞いちゃうかも。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ