住み込みの仕事を探そう
バイトをしながら次の仕事を探すと言っても、1つ問題があった。
タクシーの仕事をしていた三ヶ月で滞っていた光熱費や家賃を払うと、生活費は警備会社のバイトで支払われる日給(三連勤だから三日分を最終日に貰う)でまかなっていたが、この後どのような仕事につこうが、ここのような日払いの仕事でない限りは、最初の給料日までの生活費が無いという現実だ。
勿論、その間家賃や光熱費も滞る。
だとしたら、住み込みの仕事がいいのではないかと考えた。
当時、テレビでは連日東日本大震災の惨状が伝えられてくる。
生活費さえ困窮している状況では、とてもボランティアには行けない。
しかし、仕事ならどうか。
瓦礫撤去等の仕事も人手が足りていないと聞く。
どうせなら日給の高いところと思い、住み込みの仕事で検索したら、福島の原発周辺の仕事があったので、登録した。
しかし、様々な手続きや書類の提出など、現場でもまだまだ相当混乱しているらしく、中々連絡が来ず、問い合わせても埒が明かなかった。
すぐにでも行くつもりでいたが、いつ来るのか分からない連絡をただ待ってもいられないので、平行して他の仕事も探した。
今まで住み込みの仕事というのは考えたことが無かったが、探してみると結構色々ある。
中でも大手自動車メーカーの期間従業員というのが目を引いた。
初めに面接に言ったのが、ト○タの期間従業員だった。
一口で期間従業員と言っても、メーカーが直接募集しているものと、派遣会社が募集しているものとがあることを後から知ったが、この時俺が応募したのは、後者の派遣会社が募集しているものだった。
その募集広告は、いかにもメーカーが直接募集しているかのような内容だったので、ただ単に派遣会社は斡旋しているだけだと思っていた。
面接では、ト○タは中々採用基準が厳しく、受かるかどうか分からないので、平行して派遣登録もして仕事をしませんか?というような内容だった。
その時点では意味を理解しかねていると、『いつから来れますか?』と聞かれたので、あ、ここはト○タに斡旋する気がないなと思い、断って帰ってきた。
もしここで登録してト○タの派遣従業員になれたとしても、直接雇用とは待遇も給料も全く違う事を後から知ったので、この時断っていて良かったと思うのだった。
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