9 大隊隊計
短いですが、とりあえず更新します。
『複立21年度懲罰大隊隊計』
1/四半期(4~6月)
○懲罰新兵受け入れ、教育開始……教育隊銀輪指導官の教授計画指導
○77式歩兵銀輪車導入……配備予定の第一中隊、および各中隊下士官以上に新装備普及教育の実施
2/四半期(7~9月)
○陸軍第2懲罰大隊(第一中隊、砲兵中隊)・海軍第5陸戦隊合同訓練……訓練地域銀輪機動路偵察
3/四半期(10~12月)
○第2懲罰大隊検閲(長距離機動訓練)……各中隊の行進経路の選定
○勤労農村農業支援(混成1コ中隊)……農村地域への往復経路選定および偵察
4/四半期(1~3月)
特になし
全般
○各中隊訓練における銀輪機動訓練計画の細部指導
○駐屯地域周辺および各種訓練地域の機動を前提とした地誌調査
「まあ、ざっとこんなものか……」
大隊隊計明示を受け、博人は特に自分にかかわる訓練と自分の役割を大まかにリストアップし、グッと背伸びをして息をついた。
とりあえず当面の仕事は、77式の導入に伴う普及教育になるだろう。自分の所属中隊が大きくかかわっているうえに、大隊の下士官以上がすべて対象となっている。教授計画を作るのは大変だな。
新兵教育も含めて各中隊の訓練計画指導については、それぞれの指導官が計画もってきてからでいいだろう。内容について細部意見していくだけでいい。
残るは地誌調査だが……これはどちらかといえば情報課の仕事だと思う。まあ、実際に道路を走って見なければわからないこともあるわけで、そこを実際に走って偵察するのが銀輪指導官だ。有益な情報をあげられるように頑張ろう。
それにしても、陸軍最新鋭装備である77式歩兵銀輪車がもう配備されることには驚いた。量産が始まったのは知っていたが、こんなに早く、ましてや旧式装備を回されがちな懲罰大隊に1コ中隊分が配備されるとは思っても見なかった。副大隊長のコネもあるんだろうなぁ。
「とはいえ、俺、試作機しか乗ったことないんだよな。後で研究室に問い合わせて、参考資料送ってもらうか。……って、参考資料っていえば、俺この演習場や周辺地域の資料も不足してるよな」
昨日着隊したばかりで当然なのだが、博人にはこの周辺の土地勘がほとんどない。地域はおろか、駐屯している演習場の細部地形には詳しくない。今後、各中隊の指導をするうえでこれは必要な情報だ。
それどころか、この部隊の銀輪車の保有状況や管理状況についてもまだ掌握しきれていない。
一応、前任者の訓練指導簿や管理簿をみたが、情報だけで現物の確認はまだできていない。
午後の課業時間はまだ残っている。
(とりあえず、各課と各中隊、各部署に直接確認取るところから始めるか)
博人は椅子から立ち上がると、作戦・訓練課事務室をあとにしたのだった。
次回より、稲葉軍曹が大隊付銀輪指導官の本領発揮!?
…………過度な期待は禁物です。




