ケモミミなスノーと葵を引き連れて、皆で大浴場に行こう
と言って、俺達は日課になりつつある朝風呂に入りに行くことにした。
大浴場の入口に入ると、葵が
「主様……素晴らしいですの。これほどまでに大きな施設を創造されたなんて……」
「葵、褒めてくれてありがとっ。でも、よく私が作ったってわかったわね?」
「勿論ですの。だって、この施設事態がもう既に異空間の狭間に作られているので、人ではまず作ることは不可能でしょうし」
「……やっぱり?」
「はい。それに、仄かに主様の薫りがしていますの」
いや、そんなに鼻をスンスンさせてもお風呂と温泉の匂いしかしないから。
それに今後のこともあるし、葵には今言っておいた方がいいかな?
「ねえ、葵? 私は主様ではなくて、リリーって呼んでほしいな。皆にも、そう言っているし。それにね、寝ている時は人型禁止よ?」
だって、中身を知らない端から見れば幼女と幼女が戯れているしか見えないと思うけれど、実際はおっさんが幼気な美少女と戯れている事になるんだからね。
それに、以前の俺でもここまで小さな幼女に欲情はしないから……。いや、ホントに。
それに、可愛いモフモフ姿だったら良いけれど……葵様、本当に勘弁してください。
「えっ? ……お名前は、承知致しました。ですが……」
「ダメ! もう、一緒に寝ないよ?」
「それは、絶対に嫌ですの」
「なら、そういう事ね」
「リリー様は、いけずですの」
いや、俺は別に意地悪は言っていないよ? 本当に。
「ユグもそう思います」
「ユグちゃん、ありがと」
それにしても……脱衣所で服を脱いで改めて確認できたが、人型のスノーと葵はやはり耳と尻尾だけがモフモフで他は普通の女の子の裸と一緒であった。
スノーと葵のお尻の付け根にある尻尾が気になったが……俺が見ていると、スノーは首を傾げていただけであったが、葵が
「リリー様、もしかして尻尾気になります?」
と言ってお尻と尻尾を俺にくっつけて来そうだったので、中学生美少女の様な俺より大きなスノーに隠れて回避した。
「スノー、ごめんね」
「リリー様、スノーは気にしていません。うにゃん」
ここで、急にスノーの容姿と語尾が釣り合っていないのではないか? と言う考えが俺の中で木霊した。
確かに、幼虎の容姿であれば「うにゃん」の語尾はなんとなく頷ける。
しかし、今のこの美少女姿のスノーには合わない気がするのだ。
俺は勘考しながら、大浴場に入っていった。
俺がいつものように、スノーとアイビーと葵を洗おうとすると
「リリー様、人型になればスノー自身で洗えますので、いつも洗って頂いてありがとうございます。うにゃん」
と言った。スノーと葵は人型になっているので、自身でそれぞれ洗えるようだ。
「そうよね」
と言ったものの、俺は少しスノー達を洗えない事に寂しさを感じアイビーを呼ぶ。
「アイビーこっちこんね」
「ワン」
『はい』
アイビーが、嬉しそうに尻尾を振って来るので俺の心が癒やされる。
シルクは俺がアイビーを洗いだすと、いつも俺の側に来て洗い方を見ている。
そして、「ふうーん。そこは、そうして洗うのね。ふむふむ。そこは優しく……」と言って呟いている。
以前アイビーを洗っていたと言っていたけれど、どんな洗い方をしていたのだろう?
俺は普通に、アイビーを泡モコにして優しく洗っているだけなのだが……
「ですよね?」
と言って、ユグドラシルは姿を現した。
「ユグちゃんは、身体洗わないの?」
「精霊は肉体を持って現れているのではないので汚れる心配はないのです。ですが、ユグ位の魔力があれば魔力で肉体を形成し具現化する事で洗うことも可能ですよ」
「魔力を消費してまでしなくていいよ。ユグちゃんはそのままで綺麗だったらそれでいいし」
「リリー様も、肉体が常に浄化されているので洗う必要はないのですが?」
「ああー……何となく、洗いたいのよ。自身で洗うと、自動で浄化されて綺麗になるより身体が綺麗になったって実感できるしね」
「ユグは肉体がないので分かりませんが、リリー様の心情が伝わってきますので理解できます」
「でしょ?」
「はい」
そう言って俺は、アイビーを念入りに泡モコにして洗ってあげた。
自身の身体も洗い終えると、皆で外の温泉に入ることにした。
葵が外の温泉を見て、
「ここまで立派で大きな露天風呂は、私初めてですの」
と言った。俺は葵が褒めてくれた事が嬉しくて
「葵、褒めてくれてありがと」
と言って、温泉のいつもの定位置に向かう。
葵は俺と同じように背が低いので、シルクとアイビーと一緒に温泉の浅瀬に行くようだ。
少し寂しさを感じていると、津波注意報が発生した。
後ろを振り返ると、いつもは浅瀬にいる筈のスノーが奥に来てくれるようだ。
スノーの綺麗な肌に、形の良いあれが揺れている。
可愛い虎の、ケモミミと尻尾がまたその美しい白魚のような肌に似合っている。
あれか! 津波注意報の原因は……C? いや、Dだなあの揺れ方は。
「リリー様、ユグの方が少し大きいですよ? でも、リリー様は小降りで可愛いです」
「ユグちゃん? こんな時は心情読まないでね……」
俺はユグちゃんの変な気遣いに、頬を染めているとスノーが側に来た。
「スノー、こっちに来てくれたんだ。ありがとっ」
「リリー様のお陰で、スノーの能力が向上しました。うにゃん。なので、いつでも人型になれます。うにゃん。リリー様がお望みでしたら、温泉でも側におりますので。うにゃん」
「スノー、感謝するわ。でもね、少し気になるのだけど……」
「はい? うにゃん」
「スノーの語尾ね、人型の時は無くすか変更できないかな?」
「この語尾は、サラ様のお願いで付けるようになりました。うにゃん。ですが、癖になってしまったのでどうしても付けてしまうのです。うにゃん」
「そうなんだ……じゃあ、うにゃんのうを小さくできないかな?」
「うにゃん?」
「こうよ、ぅにゃん。そして、仕草はこうするの。こうすると、スノー凄く可愛いから」
「ぅにゃん? こうでしょうか? ぅにゃん」
「うんうん。凄く可愛いわ」
スノーは人型でも、葵みたいに表情がコロコロと変わらないので、ぅにゃんでにゃんを強調するのなら、猫のような手を人型で示して小首を傾けると、無表情でも表情があるように見えて可愛いのだ。
俺は湯船の縁に座って、スノーの語尾と仕草の指導を行っていると、シルクがアイビーの上に乗り、アイビーと葵が犬かきをしてこちらにやって来た。
「リリー、スノー様に何変なこと教えているのよ? って言うか、それ私にもこの前教えていたでしょ?」
「うん」
俺は、アイビーと葵を湯船から出して縁に座らせた。
「アイビーはできないと思うから、アイビーは私の膝の上ね」
「ワン」
『はい』
「他の皆は……どう? スノーの練習何だけれど、ぅにゃんの語尾と仕草してみる?」
俺がそう言うと、葵とシルクが俺の右側に来て
「リリー様、私も練習致しますの」
「仕方がないわね。私もしてあげるわ」
と言った。そして、ユグちゃんも姿を現した。
「リリー様、ユグも参加します」
「あれ? ユグちゃん魔力安定したの?」
「シルク様、心配して頂きありがとうございます」
「よかったわね」
と言って、スノーの語尾と仕草の練習を皆でした。
「スノー、慣れてきたわね」
「リリー様の、お陰ですぅにゃん」
人型のスノーの語尾と仕草が良い感じになったので、今度は皆でスノーダンスの練習を……と密かに笑みを浮かべるリリーであった。
だって皆で踊ると、最近の踊って歌えるアイドルグループみたいで可愛いしね。
俺達は皆で温泉で談笑し楽しんだ後、脱衣休憩所にやってきた。
自身の髪や身体を拭いて髪をドライヤーで乾かした後、下着を着る。
そして、
「アイビー、乾かすよー。おいで」
「ワン」
『はい』
と言ってドライヤーをかけてあげると、アイビーの毛並みがまた格別に気持ちが良くなっていた。
「はうー! アイビー、ふわふわーで気持ちいい! モフモフ、ハッピィー・フェスティバール!」
俺が下着姿で燥いでいると、
「キャー! 下着姿のリリー様の燥いでいる姿、可愛いですの」
と言って、葵も一緒になって燥いでいた。
アイビーには上質なミルクを与え、他の皆はフルーツ牛乳を飲み寛いだ。
俺はいつものように、シュミーロの愛情セットボックスに手を入れ新たな服を取り出しす――
青い花が目の前に現れ、その薫りを楽しむと青い花が辺り一面に咲き誇る。
その青い花から、幻想的な青い蝶が現れ俺の髪にそっと止まると髪の色が美しい水色に変化する。
そして、青い花が風に舞いそっと俺の手に触れると、水色の髪が似合うロリメイド服を纏った俺が現れた。
妄想演出タイム終了。
ロリメイド服を着る序でに、俺は髪の色を黒髪から水色の髪に変更した。
これは、なかなか良い感じだ。
綺麗な青いロリメイド服に、綺麗な水色の髪がよく映える。
そして、この服も身体に力が漲る。
拳ではなく、剣を極めた者の風格を感じる。
職にも剣神があるが、この服を着ると更に能力が上がる気がするな。
もしかしたら、この服同様に職の能力を更に向上させる服があるかもしれない。
今度色々と職を変更して、ファッションショーでもしようかな。
まあ、それはさておき。
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ロリメイド服セット (青・白色) 使用中●
- <専用神武具>
片手剣 聖剣エクスカリバー
- <専用神武具>
盾 アイギスの盾
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今日はロリメイド服セット(青・白色)だ。
鮮やかな蒼色を基調とした白いフリルが沢山付いたミニスカート。
白を基調とした美しい透け感が有るレースとフリルが付いたエプロン。
白いフリルの付いたカチューシャの横には小さな蒼いリボン。
胸元は白のフリル付きブラウスに小さな白いリボン。
肩にも蒼いフリルが沢山付いているメイド服だ。
白く薄いレースが上の方に付いた白のストッキングに蒼い靴がセットになっている。
そしていつもは、この後に髪型のチェックをするのだが気になる点が一つあった。
実は、髪型が自由に変更できるようになっていたのだ。
語弊があるかもしれないので、ここで言っておこう。
服の変更後、デフォルトで髪型が変わるのだが気に入らなければいつでも自分で髪を解いてストレートに変更したりツインテールやポニーテールにもできた。
まあ、俺が現状知っている範囲の髪型だけなのだが……
異なる点というのは、髪型を自分で自由に思考操作で変更できるようになったのだ。
スパーロングストレートヘアを基本にアレンジして――ワンカール・ゆるふわパーマ・ポニーテール・ツインテール・ハーフアップ・編み込み・シニオン・ギブソンタック・ツイスト・お団子・フィッシュボーン――など様々な髪型があり、全てを上げると切りが無い。
つまり、デフォルトの髪型を自由に変更できるようになったというわけだ。
まあ、アレンジで更に手を加える場合は自分でしなければならないのだが……。
この髪型変更は、葵を召喚してから新たに加わったもののようだ。
つまり、葵の一部の機能が俺に反映しているのだろうと判断できる。
そしていつもの様に専用神武具を確認する。
ついに来た! これぞ最強の聖剣と、イージスとも言われている最強の盾だ。
この武器と盾に関してはロールプレイングゲーム好きとしては、正直見て見たいがやはり使った時のお楽しみである。
まあ、それは一先ず置いておいて……今日は、ライムお姉さんと昨日お風呂で約束していた宿の改装予定だ。
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。
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シルク「リリー、今度髪の結い方教えてよ」
リリー「あれ実はね、自動で髪を整えてくれるのよ」
シルク「いいなー。私もその機能欲しい」
リリー「うーん……この機能、よく分からないのよね。だから、色々と髪の形
を変えて解いてみるからそれで憶えるといいよ」
シルク「うん、そうね。憶えてみるね。リリー? アイビーは、どの髪型が
好みかな?」
シルクの乙女心に、笑顔で応えるリリーであった。




