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リリーvs巨大ゴーレム3

 今度は奇妙な音と共に、巨大ゴーレムの前に異質の鉱石で出来た地面より闇の霧を纏った門が現れた。

 なんだ、あの奇っ怪な門は? 

 奇っ怪な闇の霧を纏う門に警戒しつつ、賢者の魔法で飛翔魔法と重力制御魔法を組み合わせる。

 これらの魔法を組み合わせ、空間に足場を作る魔法を更に組合わせる。

 この混合魔法なら、空中で素早く走り抜け足場が有ることで全ての力を効率よく食らわせる事ができる。



「巨大ゴーレム、食らいなさい! 花楓院流・役枝・(タミ)の型」



 俺は飛翔し、魔法制御で重力の力と、空間に足場を作り出し自身の脚力も合わせ数多の雷光の如く一閃の連撃を手刀で行い――巨大なゴーレムを閃光が包み込む。



 シッ――――。ィ――――。ィ――――。ィ――――。ィ――――。ィ――――。……



「蒼天を飛翔する幼女のトキメキ!」



 巨大ゴーレムは無数の連撃に耐えきれず、一際巨大な胴部分と頭を残し全てを切り刻まれ地面に平伏せた。

 しかし、辛うじて巨大な胴部分が残り黒く輝きだした。



「まさか、自爆?」



 俺は直ぐ様スノー達の所に戻り、二枚目の防壁を展開する。



「【【グレートダブルシールド】】」



 【システム エクストラダブルシールドが展開されました】



 巨大ゴーレムの刻まれた部位が超回復されていき両手両足が再生し始めた。

 自爆ではないようだ。



「巨大なゴーレムが再生するなんて、妖精の村を襲ったキメラと同じなの?」



 更に、奇妙な闇の霧を纏う門が開かれ、そこからスケルトンナイトが押し出されるように数百体現れた。

 ならば――



「数で攻めてくるなら、こちらも二刀流よ」



 俺が行動を起こしかけた次の瞬間、巨大なゴーレムの目が光だした。

 そして、目から凝縮された光が俺をめがけ無数に放たれる。

 俺は、瞬時にその光を避け続ける。



 ギュイーン! ピカッ! ドゴォォォォォォ! ピカッ! ドゴォォォォォォ!


 ピカッ! ドゴォォォォォォ! ピカッ! ドゴォォォォォォ! ……



「その攻撃は、既に見切ったわ」



 しかし、凝縮された光の攻撃をしつつも巨大なゴーレムの胴部分が黒く輝き続けている。

 光りを避け続けると同時に、数百体のスケルトンナイトを全て倒した。

 その倒されたスケルトンナイトは、俺のアイテムボックスに自動収納される。

 異質の鉱石の地面が、倒されたスケルトンナイトを吸収しようと試みてはいるが俺のアイテムボックスに収納される方が遥かに早い。

 巨大ゴーレムは、吸収出来なかったスケルトンナイトを無視するかのように胴部分の黒い輝きが光りを増していく。

 まだ何かある? 俺は距離を取ると――



 ドクン! ドクン! ドクン! ……



 まるで、鼓動のような地響きが聞こえる。



【「リリー、大変よ! また、あのゴーレム大きくなってきたわ。それも、今度は急速に成長しているわ」】



 シルクから、【パーティー間スポット伝搬音】が入った。

 俺もシルクに『従者テレパシー』を行う。



『「うん、私でも分かる位に巨大化していっているわ。シルク、引き続きまた異変が有ったら教えてね」』

【「了解!」】



 ワールドマップで確認すると、地下三階から地下四階にいた筈のアイアンゴーレムとオーガゾンビが全て消滅してた。

 上階の魔物を吸収したか……下のスケルトンナイトは囮だったか。

 巨大ゴーレムは地響きと共に更に巨大化しだした――黒い光が終息を見せ巨大化は止まったが、恐らく既に体躯は150mを越えているだろう。

 しかも、奇っ怪な闇の霧を纏う門が大、中、と二つ現れた。


 小ぶりの門は、スケルトンナイトであった。

 なので恐らく、中位の門はアイアンゴーレムで大きい門はオーガゾンビを排出する門だろう。

 そして俺の読み通り、奇っ怪な門が開きスケルトンナイトとアイアンゴーレム、それに厄介な呪いを所持するオーガゾンビが姿を現した。

 呪いを所持するオーガゾンビは、最優先に倒さなければならない。


 何故なら、俺は平気だがシルク達にもしオーガゾンビの攻撃が触れると呪いがかかってしまうからだ。

 呪いは瞬時に解除できるが、シルク達に呪いの苦しみを味合わせたくはない。

 巨大ゴーレムは俺を強敵と認めたのか、ここにきて魔物の群れと、自ら巨大化という二つの力を出してきた。

 しかも、分厚い胴部分が更に分厚くなった……



「くっ! ……二刀で、行けるか? でも、やるしかない!」



 俺は両手を手刀の形にして、一気に飛翔し――魔法制御の重力の力を増大させ、空間に足場を作り出し、自身の脚力に更なる力を込める。

 そして加速に急激な変化を起こさせる為、【マウスLV1】を使用し数多の紫電の如く一閃の連撃を二刀の手刀で行う。

 別次元から残像と共に何度も現れる小さな紫電の如く、魔物の群れを目映い閃光が包み込む――



「花楓院流・役枝・民の型」



 キィ――――。――。キィ――――。――。キィ――――。――。キィ――――。……



 幾何学模様を描く無数の紫電が、魔物の群れを一瞬で消し去る。

 消し去ったと同時に、更に巨大化したゴーレムを紫電の球体として包み込んだ。



「紫電・時を支配する幼女の舞!」



 異常に巨大化したゴーレムの両手と両足は切り刻み破壊尽くせた。

 しかし、巨大化し過ぎた胴部分はやはり二刀の手刀を持ってしても破壊尽くせなかった。



「パーがダメなら、チョキが……」



 俺はそう言って、自身の手を見る。



「小っちゃい……」



 そこには、あまりにも可愛らしい小さな手が有るだけだった。

 そもそも、俺はグーは鈍器のように攻撃し、パーは刀のように切り裂き、チョキは槍のように貫くつもりでいた。

 しかし、ゴーレムはあまりにも巨大になりすぎた。

 それに、自身の知識ではこれが限界だ。


 アニメやゲームの知識があるとはいえ、所詮(シヨセン)古い知識であり付け焼き刃だ。

 なんせ俺は幼少の頃より()(フウ)(イン)流の当主として責務に励んだ事で――テレビやゲーム、好きな漫画や本さえも手にすることは出来なかった。

 学校で、友人が休み時間に少し見せてくれた程度である。

 これで、アニメやゲームの知識があると言っていた俺はお笑い種だっただろう。


 しかし、思いでの知識なのだ。

 友人が学校で見せてくれた物意外では、田舎の祖父母の所に行った時に放送されていたアニメだけである。

 二十代、三十代でも、そうだ。

 アレルギーが発祥し、()(フウ)(イン)流の当主の座を返上したものの、何をするにしてもアレルギーが付き纏い服用し続けていた睡眠を伴う薬等により眠気が勝り、濃厚なアニメ、ゲームライフを送る事は困難であった。


 好きなオンラインゲーム【君絆(キミキズ)】でさえ、未だにレベル2である。

 ちょっと外でレベル上げをしようとしても寝てしまい、結局デスペナルティーでレベルが下がり、キャラクターの運が悪いと考え、もう一度初めからキャラクターを作り、またそこで眠ってしまう……無限ループの出来上がりである。

 況してや、新しい知識などは皆無と言っていいだろう。


 女神サラの身体(ウツワ)の能力……いや、身体(ウツワ)の能力は恐らく1%も出し切れていないだろう。

 つまり、俺の浅はかな知識と全く実力を出し切れていない身体(ウツワ)の能力を足した者がリリー・ヴァリーなのである。

 古い知識で有るとはいえ、俺の頭に薬で思い出したことがある。

 そう、赤や青のお菓子――であるならば、俺自身が大きくなれば良い。

 俺は自信の年齢を、最高年齢の十二歳に変更する。



「美少女戦士、リリーちゃん爆誕!」



 俺が十二歳の容姿で達観すると、また巨大化したゴーレムの胴部分が奇っ怪な黒い闇を取り込んでいった。



【「リリー、また……」】



 シルクから、【パーティー間スポット伝搬音】が入った。

 俺もシルクに『従者テレパシー』を行う。



『「うん……」』 



 巨大化したゴーレムは、更に巨大化し体躯は200mを越えた。

 スケルトンナイト、アイアンゴーレム、オーガゾンビは既に倒した。

 それに、呼び寄せる為の門であろう奇妙な闇の霧を纏う門は眼前にある。

 ならば、どこから魔物の力を取り込んでいるんだ? 

 ワールドマップで確認すると、そこに答えがあった。


 元々この大洞窟に存在している魔物である。

 これでは、無限に力を増し俺の嫌な予感が的中してしまう。

 早急にこのゴーレムを倒さなければ、やがて巨大化しすぎたゴーレムは大洞窟を破壊し人が住む村に来て全てを蹂躙するだろう。


 結界に守られているフォレストムーン王国でさえ、このゴーレムの強大な力で結界が破壊されれば蹂躙されるかもしれない。

 俺は、自信の二刀の手刀に力を込める。

 そして、巨大なゴーレムを少し大きくなった紫電の閃光が包み込む――



「花楓院流・役枝・民の型」



 キィ――――。ィ――――。ィ――――。ィ――――。ィ――――。ィ――――。……



「真紫電・蒼天を飛翔する少女のトキメキ!」



 しかし……やはり少し大きくなった位では、巨大過ぎる胸腹部は破壊尽くせなかった。

 もう一度自身の手を確認する――少し手足が長くなってはいるが、数メートル長くはならない。

 それ、某有名ゲームのダ○シ○だから……。しかし、手はないと言えば嘘になる。

 アニメで見たあの技を使えば――超電磁ではないが、竜巻はおこせる。

 しかし、反射される。それに、俺にはあの超電磁的な動きは出来ない。


 絶対に――いや、確実に眼を回してしまう自信がある。

 そう、身体(カラダ)自体を回転させ手首も同時に回転……いや、手首無理だから。

 なので、この案は却下。

 こんな時は、スノーとアイビーの力を借りる――俺はスノーとアイビーの元に行き、二匹の耳を一匹ずつハムハムする。



「はぁー……最近リリーの行動に、慣れてきた私に腹立ってきたわ。でしょ、リリー?」

「ハムハム。にゃに? シィリュキュ?」



 スノーのフカフカな背中に頬ずりして、アイビーのフカフサの背中にも頬ずりをする。

 そして、スノーの可愛いお鼻とアイビーの可愛いお鼻に、チュ、チュ。



「クゥゥゥゥゥゥー! モフモフ、ハッピィー・フェスティバール」



 俺の心からの雄叫びと共に、希望の光が降りてきた。

 実は、先ほどスノーとアイビーのモフモフを堪能中に調べたのだが、専用神武具で双槍の神槍ゲイボルグと神槍ドゥヴシェフが使用不可だった。

 初め使用不可とは表示が無く、空欄だった。

 しかし、使用しようと試みた瞬間に使用不可と表示されたのだ。

 詳細説明を見ると、第二級中位管理者以上の権限が必要な究極神武具と書かれて有った。

 やはり、権限か……。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

 姫ロリ服セット        (薄紫色)          使用中●


 -【専用神武具】

    双槍 神槍ゲイボルグ                 使用不可×

        ⇖【詳細】

          第二級中位管理者以上で使用可能【究極神武具】

       神槍ドゥヴシェフ                使用不可×

        ⇖【詳細】

          第二級中位管理者以上で使用可能【究極神武具】

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――


 俺は仕方なくモフモフしながら、アイテムボックスを確認する――スノーとアイビーにフレッシュキッスをしたと同時に、良い物を見つけたのだ。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「リリー、何変顔しているのよ?」

リリー「違うよ、スノーとアイビーのお鼻にフレッシュキッスをする練習だよ」

シルク「前から思っていたのだけど、フレンチキッスではないの?」

リリー「フレンチキッスも有るけれど、幼女はフレッシュなの」

    変に拘る、リリーであった。

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