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深夜を彷徨く幼女? 

 俺は明日早朝から南西の大洞窟に向かう件を、シルク、スノー、アイビーに伝えて早く床についた。



        ※ ◇ ※



 次の日俺は、丑三つ時に目を覚ます。

 そして誰も起こさないよう細心の注意を払いゆっくりと掛け布団からでようとする。

 しかし、スノーが目を覚ましてしまった。

 なので、シルクとアイビーが目を覚まさない様に『眷属間テレパシー』を使用する。



『「おはよう、スノー。ごめんね、起こしちゃった」』

『「リリー様、おはようございます。うにゃん。気にしないでください。うにゃん」』

『「朝限定のデザートを、今から作ってくるね。今日は、早朝から南西の大洞窟に向かうつもりなので、明日明後日の分を考えていつもより多く用意しなくちゃ。キノットさん達にも置手紙をしてくるからちょっと忙しいかも。だからスノー、シルクとアイビーの事はお願いね」』

『「うにゃん」』



 俺は暗闇の中、忍び足で一階まで降りてきた。



「ふぅー。まるで泥棒さんみたい。クスッ!」



 俺は独りで吹きそうになり、両手で口を塞いだ。

 しかし、我慢しきれずに、



「怪盗幼女リリー参上! なんちって」



 ギシッ! 



「ひやぁー、もにゅもにゅ。危なかった……ここ板が軋んでいるのね。パンケーキ作っているときは、周りに気をつけないとね。スキルで簡単に作れるけれど、暗いから今日は踊っている余裕ないかも」



 俺は暗闇の中、甲斐甲斐しくパンケーキを作っていく。

 パンケーキを取りあえず二百皿分作った所で、キノット夫妻宛に【南西の大洞窟に行くので、帰りは明日か明後日の夕方になるかもしれません】と書置きをする。

 次に、キノットさんの家族の夕食を作っていった。



「今日のキノットさん達の夕食は、レモンちゃんが喜びそうな新鮮な果物が沢山盛り付けられたふわふわカスタードたっぷりのフルーツタルト付きよ! レモンちゃん、喜んでくれるといいな」



 昨日お風呂でレモンちゃんと遊んでいる時に、夕食で食べたいものを訊くと果物が沢山上に乗ったフルーツタルトが食べたいと言っていたのだ。

 なので、そのリクエストに応えたと言うわけだ。

 キノット夫妻宛に【今日と明日の分の夕食を作りました。キノットさん達だけの分ですので食べて下さい。小分けにしてあるので、食べる分だけ封を開ければ出来たてですので】と書いて厨房の空きテーブルの上に作った料理に皿と皿で蓋をして書置きする。


 そして念のため、新たにパンケーキを二百皿分用意した。

 パンケーキは、妖精村で多量にもらった食材と共に沢山頂いた食材皿を全部出して、一皿に十枚ずつ小分けにしているので何とかなるだろう。



「パンケーキを合計で四百皿分用意したけれど、キノットさん達大丈夫かな?」



 宿屋の食事処で初のデザート販売だったのだが、初日に僅か一時間ほどで百名以上の貴族夫人やお嬢様達が訪れてパンケーキが全て売り切れた。

 それらを勘考すると、今朝と明日の朝にどれだけの貴族夫人やお嬢様が訪れるかは不明である。

 この国にいる貴族の人数を把握しているわけではないし、夫人やお嬢様だけとは限らない。

 なので、何か有った時のことを勘考し新たにパンケーキを二百皿分用意した。

 これで先ほどのパンケーキと合わせると、六百皿分である。


 これだけあれば、流石に足りるだろう――【明後日の朝の限定分まで、余裕をもって四百皿分用意致しました。ですが、もし何かあった時の為に新たに二百皿分用意致しましたので、その二百皿分は自由にして頂いて結構です】と書置きをした。

 本当は【清々しい朝に、貴方に甘い一時を……百皿限定。お一人様、一皿限り】を変えたくはなかった――いや、貴方に甘い一時って文章……増えてるよね? って先に突っ込まれそうだが。


 これだけ余裕すぎると言ってもよいほど、パンケーキを作り出したのには理由がある。

 一つ目は、俺のように断り切れなかった場合――もう一つは、俺の料理には何故か中毒性が有るからである。

 それに俺が作ったデザートなのに、そのデザートでキノットさん達に迷惑をかけられないしね。

 料理を全て作り終え、裏口から大浴場に怪盗幼女リリーとして忍び足で行く……。


 そして、素早く着ぐるみセットをアイテムボックスの洋服専用修復ボックスに収納。

 実は、慌てて暗闇の中を降りてきたので着替えるのを忘れていたのだ。

 誰とも遭遇しなくて良かったと、胸を撫で下ろした。

 俺は独り大浴場の中に入り、身体(カラダ)を綺麗に洗ったあと外の温泉に浸かった。



「ふぁー……極楽極楽」



 広い温泉に入ると、やはり泳ぎたくなる。これは誰もが一度は考えるだろう。

 しかも、今は誰もいない大温泉である。濁り湯に浸かり顔を沈める……



「ぷっふぁー。濁ってたら何も見えないの……」



 次に濁ってない温泉に浸かり、仰向けでプカプカする。

 まだ、キノットさん達意外は誰にも知られていない大浴場である。

 幼女が温泉で背泳ぎしようが、誰も注意する者はいない。

 なので、好き放題温泉を満喫できるのだ。

 そして、徐に自身の下側を向く……



「小っちゃい……」



 そこにはあまりにも小さな、二つの山……もとい、丘……もとい、地平線……それ言い過ぎ、が見えるだけだった。

 今度は湯船で下を向き息を止め、お尻をプカプカ浮かべる。

 そして、平泳ぎをして後ろ側をみる。



「お尻の方が、お山に見えるわ……」



 しかし、そこで立ち上がり、



「でも、ちっぱいはジャスティス! 正義なのぉー!」



 そう言って、右人差し指を天に向けサ○デーナ○ト○ィーバー のような決めポーズを取った。

 意味不明である。しかし、人は時に意味不明な行動をおこす。

 特に厨二病を患っている者や妄想男子、幼児に多い……持論である。

 そして今現在、その全てに当てはまる中身はおっさんで容姿が幼女のリリーであった。



「ふんす!」



 俺は、自身の鼻から息を吐き出しその決めポーズに満足した。

 しかし、今更だが気づいたことがあった。

 確か、年齢を十二歳にまで変更する事が可能である。



「十二歳になれば、少しは大きくなるわ」



 そう言って、年齢を操作しクリックするように変身ポーズを取ろうとするが――独り、温泉でバカな事をして遊んでいた事もあり、結構時間が経っていた。

 なので、年齢を変更せずにそのまま温泉から『眷属間テレパシー』でスノーに連絡をすることにした。



『「スノー、明後日の分までのパンケーキと、キノットさん達の夕食も用意出来たよ」』

『「リリー様、お疲れ様です。うにゃん」』

『「キノットさん達宛に、置手紙もしてきたからこれで問題なしよ。それでね、皆そろそろ起きたかな? と思って……」』

『「アイビーは起きましたが、シルクがまだ寝ています。うにゃん」』

『「じゃあ……今私、大浴場に居るからシルクに起きるか聞いてアイビーと一緒に大浴場においで」』

『「うにゃん」』



 眷属間テレパシーを終えて、温泉にゆっくり浸かる。

 やはり、気分が良い。

 パンケーキを甲斐甲斐しく作ったが、作った疲れも癒やされるようだ。

 ……まあ、スキルで簡単に作れるので肉体的には疲れないのだけれどね。

 これも恐らく、様々なものに宿る微精霊達のおかげだろう。



「いつも身近で癒やしてくれている精霊さん、ありがとっ」



 俺がそう言葉にすると、まるでその言葉に反応するように温泉の湯気にキラキラとした金色の光が宿る。

 まるで、アニメ○の谷の○ウ○カで見たオー○の群れの黄金の触手と対話しているシーンみたいに幻想的だった。

 幻想的な金色の光が止むと、スノーとまだ寝ているシルクを上に乗せたアイビーが大温泉に入って来た。



「スノー、皆を連れて来てくれてありがとっ」

「うにゃん」 

「アイビー、おはよう」

「ワン、ワオーン」

『リリー様、お早うございます』


「シルクは、寝てるの?」

「アイビーが起こした後に、またアイビーの上で寝たみたいです。うにゃん」



 スノーが、シルクの行動を教えてくれた。

 俺が苦笑いしていると、アイビーがシルクを乗せたまま無言でシャワーの水の出るボタンを徐に押す。



「ぶっはー! 冷たい! ちょ、ちょっと何するのよ! 溺れるでしょ」

「ワン! ワオーン」

『シルク! 目が覚めた?』


「ねえ、ちょっと! アイビー、最近私の扱い酷くない? ねえ、酷くない?」



 俺は思わず吹き出して笑うと、シルクが俺の頭をポカポカ叩いて来た。



「リリー笑ってないで、アイビーを叱ってよ!」



 俺は、シルクとアイビーの仲の良さを知っているので、和んで笑顔を向けていたのだ。

 しかし、今回はシルクがかなり怒っていたのでシルクの機嫌をとってあげた。

 禁断の、お風呂でお菓子という方法で……まあ、可愛いアイビーは叱らなかったけれどね。

 俺はスノーとアイビーを洗って、二匹ともアワモコ天使にして綺麗になった二匹を堪能する。



「アワモコ天使、スノーとアイビー爆誕よ! うふ、ふふふ」



 俺達は外の温泉と大浴場を満喫し、皆で談笑して楽しんだ。

 大浴場の脱衣所に出ると、備え付けのドライヤーで二匹の毛並みをフワフワにする。

 そして、二匹に顔を埋めて、



「はうー、ふわふわー。ふにゃー、たまらんばい。クゥゥゥゥゥゥ! モフモフ、ハッピィー・フェスティバール!」



 俺は裸のまま一通り、スノーとアイビーのシャンプーの薫りがする一際フワフワな毛並みを楽しんだ。

 すると、俺の中でモフモフの女神が舞い降りて名案が思い浮かぶ。



「シルク、諦めないで」

「リリー、唐突に何よ?」

「シルクは、知見する事で見た目がエルフのように進化するのよね」

「うん、そうよ」

「なので、今は小さく主張していても希望は捨てないでね」

「だから、何がよ?」

「私とシルク、ちっぱい同盟は永遠に不滅よ」

「五月蠅いわね! っていうかリリー? いつまでも、同盟でいたくないわよ。私は、進化したら、卒業するの」



 そう言って、ポカポカ叩いてくるシルクであった。

 そのあと俺は、身体(カラダ)を綺麗に拭いてからシュミーロの愛情セットボックスに手を入れて別の服を取り出す――

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字をご報告下さる皆様方も、本当に感謝致します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

シルク「ねえ、リリー? 何気に最後またお風呂回で閉めようとしてなかった?」

リリー「気のせいだよ? それに、毎日お風呂は入るものでしょ?」

シルク「確かにそうだけれど、私はそんなことを訊きたいんじゃないの」

リリー「じゃあー、どうしたの?」

シルク「お風呂で、私の美しさが表現されてないじゃない? なんで?」

リリー「それはね、シルクの事を詳しく語っちゃうと、ピィ――――で18×に

    なっちゃうの。それに、15×も保険として入れているだけなので

    詳しくは表現できないのよ」

シルク「リリーの言っているピィの後が非常に気になるけれど……私、こんなにも

    可愛いい美少女なのに?」

リリー「でもね、OVAになればもしかしたら……」

シルク「ちょっと待ってよ、それって全国で私のあれれもない……もにゅもにゅ」

リリー「シルク、それ以上話すことは禁則事項よ」

    よく考えてみたら、シルクのちっぱいが見えていたら自身のちっぱいも

    ……少し恥ずかしくなったリリーであった。

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