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127.破天荒娘=師匠

更新遅れました。すみません

 皆さんこんにちは。一度すれ違えば、誰もが振り返る美少女大賢者こと、ティルラ・イスティルです。

 そんなわたしは今、身体をぐるぐる巻きにされて、木に吊るされていました。



「むぐむぐむぐむぐぅっーー!!」



 さながらミノムシ状態です。目と鼻以外全てを蔦で巻き巻きされてしまい、喋る事はおろか、身動き一つ取れません。


「また何か言ってるぞ、あの変態不審者」


「変態の戯言だろう。気にする必要はない。それより会議を進めよう」


 その下では、エルフ族の方達が集まり、わたしに対する処遇を話し合っている所でした。


「――なのー! だから何度も言ってるの! リリを信じて欲しいの!!」


「相手は魔法使いだ。もしかしたらうちの可愛い妹を洗脳しているかもしれない」


「洗脳なんかされてないの、それよりお姉ちゃん離して欲しいの!」


「……やだ」

「なんでなの!?」


 リリアナちゃんが、姉の膝の上に座って会議に参加していました。やっぱり重度のシスコンですね、あの人。



「ふむむー……」



 今わたしにかけられている容疑は「誘拐」と「略奪」です。


 未遂で終わったと認識されている誘拐はまだしも、エルフ族が崇める大樹の一部を取りに来たというのは大変罪が重いらしく(リリアナ姉談)、この会議の決定次第では、わたしの命はないとの事です。


 ちなみに男性陣は少し離れた所に。どうやら女の侵入者には女性陣が、男の侵入者には男性陣が対応するそうです。リリアナちゃんに教えてもらいました。


「――みんな、違うの! だいけんじゃさんは大樹の枝がほしくてリリに聞いてきただけなの」


  わたしが「むぐむぐ」と唸っている間も、エルフ会議は続きます。

 リリアナちゃんの姉は、彼女の身体をくるりと反転させると、向かい合わせの状態になって言います。


「リリ。お姉ちゃんに正直に話してごらん。お姉ちゃんが来る前、何かされてなかった?」


「? 頭を触られただけなの。別に他には何もされてないの」


 あっ、それは火に油を注ぐような行為ですよ、リリアナちゃん……。


「…………よーし、みんな聞いたかー! 妹から言質とったぞー。あの侵入者は大樹の枝を奪うついでに、妹の貞操を狙ったんだ」


 彼女がそう言うと周りから次々に声が上がります。


「最低」

「なんて奴だ」

「許せん」

「やはり殺すべきだ」


「は? 身体目当てって事? まじ最悪」


「人間って、エルフ族の事をなんだと思ってるの? 美男美女の集まりとか?」


 いや待って下さい、確かにエルフ族は美形揃いですけど……でも……! わたしはロリコンじゃないんです!! 必死に反論するも口を塞がれている為、その声は彼女達の元には届きません。


「それはワタシも思いました! 時々里を出て人の集落に行きますが、フードで耳を隠していてもみんなジロジロと見てきますし」


 そう発言したのは、とてもスタイルのいい人間で言うところの20代後半、妖女のような見た目の女性です。まぁ、かなり顔がいいですからね。目立ってしまうのも納得です。


 そして童顔寄りのふくよかな胸をしている女性が、吊られているわたしの方を見て言います。


「う〜ん、でも〜この侵入者さん可愛いし〜。あたし的にはありかも〜」


 たすけてリベア。師匠食べられちゃいます。


「いや普通になしでしょ。人間だよ? 人間ってブサイクばっかりじゃん。特に貴族? の下の方。この間、森に迷い込んでたからちょっと親切にして道を教えてやったら僕の妻にしてやろうだって。まじキモかったー」


「は? 何そいつ。知らない所であたしの彼女に手を出そうとしたって事? 今そいつどこにいる? 燃やしてくるから」


「道案内してる時に、イリーナの事を指差して「おっぱいデカいな、あいつも僕の妾にしてやる」とか言い出したから、もう私が燃やしてハゲにしてやった。毛根死滅したねありゃ。そのあと覚えてろよーとか言って尻尾巻いて逃げてった。確かケビス子爵って名乗ってた」


 う、うーん? 何か変な会話が聞こえてきたような気がしますが聞こえなかったことにしましょう。というかケビス子爵ってあいつですよね。リベアとぶつかって難癖つけてきた奴。ざまーみろです。


「あ、それなら私もあるかな。実は前に……」


 それを皮切りに、会議は変な方向へ。エルフ族の人達はわたしの事など忘れて、人間への不満を口々に言い合います。


「……ダメだなこれ。誰かヴィクターさんを呼んできてくれ」


 その様子に見かねた男性陣達がどこかへ。


 暫くすると杖をついた老女エルフが彼らと共にやってきました。


 彼らの話を聞くに、どうやらこの方は里の長老様のようです。


「まったく、しょうがない子達だねぇ。あんた達は会議一つまともに出来ないのかい」


 彼女は持っていた杖でトンと地面を叩きます。するとわたしを拘束していた蔦が解けて、わたしは空中から真っ逆さまに放り出されました。


「ぐえっ!」


 そんなに高くなかったので大丈夫でしたが、お尻からいったので結構痛かったです。


「あんた、名前は?」


 お尻をさするわたしに、ヴィクターと名乗った長老様が問いかけてきます。


「ティルラ。大賢者ティルラ・イスティルです」


「大賢者……イスティル……そうかい、あんたがあの破天荒娘の弟子かい」

「へ?」


 なんだか嫌な予感がしつつ、尋ねないわけにもいきません。


「ヴィクター様は師匠の事を知っているんですか?」


 その問いに彼女は力強く頷きました。


「当然だろう。なんてったって少し前に、弟子の為だ、許せ。と言いながら強引に里の結界を破ってやってきて、大樹の枝を無理矢理切り取ろうとしたんだからねぇ。忘れるわけがないさ。それで、あんたはなんの用だい?」


 終わりました……師匠生前なにしてくれちゃってるんですか。本当に大賢者ですか貴方。


「あ、あぅ」


 鋭い眼光で睨みつけられ、コミュ症内向的なわたしは求められてもいない土下座謝罪をかますのでした。


「――勝手に入ってきてすみませんでした。わたしもアホ師匠と同じく大樹の枝が欲しくてきただけです。決して無理矢理奪おうだなんて思っていませんー! うちの師匠が本当に申し訳ありませんでしたー!!」


ここまで読んで頂きありがとうございます!


次回でエルフ里での素材収集は終了。次からスピードアップします。


ブックマーク、評価、感想、レビュー、紹介、リンクなど、もろもろ全て歓迎致します! 


 皆様の一手間が更新の励みになります、どうぞこれからも宜しくお願いします!!


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