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第210話 この大陸での目標が一つできました

「子爵相当と聞きましたので、貴族としてご挨拶を。パラジウム王国貴族、ライリール・ドライ・サーバルと言います。辺境伯当主をさせてもらってます。お見知りおきを。ですが今は冒険者ギルドに用があり来ています。ご用があるなら、まずは私との面会の予約を入れてもらわないと困ります。では」


 僕が前に出しているナイフの紋章を見て、固まっています。


「お姉さん、それで、ダンジョンの方はどうでしたか?」


「ひゃい! し、新ダンジョン発見を確認しました! 辺境伯様!」


「新ダンジョン発見だと! 本当か!」


 おお、今度は奥からギルドマスターさんかな? お姉さんの声に反応して立ち上がってこちらに来ます。


「ギ、ギルドマスター。は、はい。これをご覧下さい」


 やっぱりギルドマスターさんです。こちらに来て、お姉さんの前の魔道具を覗き込み、目が見開き――。


「そんな貴様が辺境伯だと! あり得ん! ナイフも偽物だ! 構わん、この小僧を捕らえ、キツく問いただせばすぐに回復魔法を盗んだと白状する筈だ! 行け!」


「「はっ!(はっ!)」」


 あれ? 信じなかったのですね、でも冒険者ギルド内で武器を抜くのは駄目ですよ!


「ここは冒険者ギルド内ですよ! 武器を抜きましたね! 捕まえてあげます! ぐるぐるー、ほいっと!」


 剣を振り上げ、僕を取り囲もうと動いていましたが、一気に魔力を抜いて、気絶させてあげました。


「よいしょっと、はい、起きなさい! 命令ですよ!」


 素早く4人に奴隷の魔道具を嵌め、少しだけ魔力を戻して命令しました。


「ううっ」


「起きて立ち上がり、武器をしまいなさい! それから逃げる事も暴れることも禁止です!」


 のろのろと四人は立ち上がり抜いた剣を鞘にしまって大人しく立っています。


「では、衛兵を呼んでもらいますので、武器や、魔道具を外して床に置いて下さい」


「見事なものだな、流石Sランクと言ったところか、私には動きも見えなかったぞ。おい、そこの司祭だったか、貴様も命令してこの冒険者ギルドで騒動を犯したのだ、大人しく待っていろ、すぐに衛兵を呼んでやるからな」


「ま、待て! どういう事だ、なぜ教会騎士がこんなに簡単に」


「そうだ、おじさん達に聞くのですが、回復魔法は教会の人間しか使っちゃ駄目なのですか? 僕みたいに自分で覚えた人も罰せられるの? 僕が教えて何人も使える方もいますよ?」


「いや、それは教会で高い金を出し回復を受けてもらうために、教会以外の回復魔法を使えるものは捕らえて仲間にするか、殺してきた。だから教会以外の回復術士がいないのだ」


「なんだと! それじゃあ金のために回復魔法を独占しているというのか!」


「こ、こら! 何を喋っておるのだ! 教会を発足してからの最大の秘密を!」


「回復魔法を習得した者は、教会で生きるか、教会を出て死かを選ばされ、俺達は生きる方を選んだ」


 なるほどですね、これは教会を上の方をやっつけて、回復魔法を広めた方が良いかも知れませんね。


(そうじゃな、昔は普通に冒険者にも回復魔法が使える者がおったはずじゃ)


(この大陸の教国もやっつけた方が良いわね、色々と楽しみながらの旅も良いけど、一つ目標があると良いわよライ)


(うん。それやっちゃいましょう)


「くっ、これはまずい事に、司教様に報せねば!」


 あっ、司祭さん、慌てて逃げようとしても駄目ですよ。ぐるぐる~、ほいっと!


 バタンと走りかけたまま気絶して、顔から勢いよく転けちゃちました。


「逃がしませんよ。よいしょ、はい司祭さんも起きて下さいね」


 司祭さんにも奴隷の魔道具を嵌めた後、すぐに駆け付けてくれた衛兵さんが司祭さんと最初の四人を連れて行きました。


 もちろん、嘘なんか付かないで正直に悪さを喋るように命令もしておきました。


「ご苦労だったな、それより忘れかけていたが、新ダンジョンだ。場所は?」


「目の前の広場ですよ。あっ、もしよければ、冒険者ギルドの中に入口を繋げましょうか?」


「どういう事だ?」


「実はですね、新ダンジョンは――」


 広場のダンジョン入口の近くにもう一つ入口があって、それは地中に埋まっている事。


 一階層がタイラントカウで、薬草と栗。


 二階層がポイズンビーで、蜂蜜とキノコ。


 三階層がロックバイパーで、ニンニク。


「――なので、土魔法でギルド内に繋げる事が可能です」


「なんと······地下に入口があったなら、見つかるはずがない、食材系で、魔物もそれなら駆け出しの者でも依頼を出せる。それにギルド内に出入り口を繋げてもらえれば、管理もやりやすくて良いじゃないか。そうだな裏の訓練場の端にでも繋げてもらえるか?」


「ライ、報酬の話もしなさいね。あなたがタダ働きなんてしたら駄目よ」


「おう、その通りだ。大金貨で良いか? ダンジョン発見の報酬は黒貨十枚。一度には渡す事ができないが、ギルドカードに登録しておく。どこのギルドでも引き出せるようにな」


「はい。じゃあその場所から繋げてしまいますね」


 ギルドマスターは僕達をその場所まで案内した後、確認のため新しいダンジョンカードを持ち、本当に新ダンジョンなのか確認するそうです。


「ではやっちゃいますよ、ぐるぐる~」


 訓練場の端にしゃがみこみ、地面に手をついて、土いじりの開始です

 今日もお読み頂きありがとうございます。


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