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前代未聞のダンジョンメーカー  作者: 黛ちまた
第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

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039.初めまして僕レンレン

 ギルドの奥に作ったダンジョンと浅瀬を繋げてから一週間。毎日のようにティール様とナインさんがおかしなことになっていないかを確認してくれていた。

 結果、問題なし、とティール様が言ったので、これから沖と繋げる。


 ご機嫌なパフィは、さっきからしっぽをブンブン振ってる。今日の夕飯、魚料理にした方が良さそう……。


「問題ない事は分かっていましたが、念の為安全確認をしておりました。さ、繋げてきます!」


 そう言ってティール様とラズロさんがロープで作ったはしごを使って底に降りる。なんでラズロさんなのかと言うと、立候補したんだって、ラズロさん。そんなに魚が……?

 沖と繋げるだけあって、この層は深いし、広い。浅瀬の層と同じ広さで作ったのに、深さがある分大きい。

 奥には小舟が用意されていて、ラズロさんが小舟に乗り、ティール様は更にその奥に進む。

 どきどきする。

 僕がこの前見せてもらった海と繋がるんだって。

 魚も楽しみだったけど、あの海がまた見られるのかと思ったら、そっちのほうが楽しみになった。


 ティール様は振り向いてこちらに向かって手を振る。振り返していたらラズロさんが小舟から下りてティール様の頭を叩いた。早くやれ、って事かな。

 ラズロさんが小舟に乗り直すと、ティール様は術符を貼ったようで、小走りで小舟に乗り込む。

 前回は浅瀬だった所為か、ざわーっといった感じで海の水が入って来た。今回もそうなのかと思ったら、術符から吹き出すようにして水が溢れてきて、みるみるうちに小舟が水の上に浮いた。

 暗くて良く見えない。空を作ってなかったことを思い出して、あの時の空、浅瀬と同じ空となるように念じる。

 端から端に向けて、風が吹くようにダンジョンの土色をした天井が空色に変わっていく。高さは変わらない筈なのに天井が高くなったように見えるのは、透き通って見える色の所為だと思う。


 あらかじめ小舟に乗せておいた櫂を使ってラズロさんがこちらに向かって小舟を漕ぐ。

 何匹もの魚の群れが小舟の下を通り、急に向きを変えて泳いでいく。

 漕ぐのを止めたラズロさんが、海の中を泳ぐ魚めがけて網を振る。

 何度か繰り返した結果、網に魚が入ったもののたった一匹で、ラズロさんは悔しそうだ。ティール様はラズロさんに何か言って、櫂で叩かれていた。

 ラズロさんは網をティール様に渡し、櫂を握りしめると再び漕ぎ始めた。

 戻って来たラズロさんはがっかりした顔で言う。


「いやー、動きが早くて捕まえられんかったわ」


『当たり前だろう、愚か者』


 まったく、と言ったかと思うと、パフィの──マグロのしっぽがぐるぐると回る。

 海面が震えて、水飛沫と一緒に魚が一斉に飛び出して空中で止まった。……と思ったらこっちに向かって飛んできて、足元に落ちた。

 ぴちぴちと跳ねる魚をラズロさんがいやっほぅー! と興奮した声を出しながら拾っては袋に詰めていく。

 ギルド職員さんは呆気に取られて、口をぽかんと開けた。魔女の力、凄いもんね。初めて見た時は僕も驚いて、感動したなぁ……。


 それにしても、こんなにすぐに魚を手に入れるとは思わなかったから、帰りにザックさんの所にお邪魔したいなぁ。

 魚料理のレシピ、教えて欲しいです。




 ザックさんに魚料理を教えてもらいたいと言ったら、どうせならこれを持ち込んで食べさせてもらおう、とラズロさんが言い出した。

 既に他の料理だって準備してるんだろうから、それは迷惑だと止めたんだけど、ラズロさんとパフィ、ナインさんの勢いが強くて駄目だった……。


 宵鍋に到着し、魚を見せたところ、ザックさんが笑顔になった。

 あ、そうか。北の国から仕入れられないから、魚料理を作りたくても作れないんだと、ザックさんの笑顔を見て気付く。


 待ってる間、肉料理を頼む。

 フルールにはさっそくいつものが届いて、夢中で食べ始めた。毎晩秘密の部屋で食べてる筈なんだけど。


 前にラズロさんがやってくれた魚介祭は、魚を焼いただけだったけど、ザックさんはどんな料理にしてくれるんだろう?

 時間がないからやっぱり焼くのかな?


 エールの入った器がラズロさんとパフィ、ティール様の前に置かれる。僕とナインさんの前にはジュース。


「じゃあ、乾杯だ」


 いつもなら大きな声で乾杯をするラズロさんも、周りの雰囲気に合わせて小さく言った。

 みんな頷いて、器をちょっとだけ持ち上げる。


 店内にはあまりお客さんがいない。

 あんなににぎわっていたのに。


「大丈夫だ、時間はかかってもこの国は立ち直る」


「そうです」


 ティール様とラズロさんの言葉に、僕も頷いた。

 あんなに殿下や、ノエルさんたち、リンさんたち、みんなみんな頑張ってるんだから、大丈夫。

 分かってるけど、少し悲しくなってしまう。前を知っているから余計に。


「さ、美味いもんを食って、元気だそうぜ。腹が減ってたら力が出ねぇ、踏ん張りがきかねぇからな」


 テーブルに並べられた料理が皿に取り分けられていく。


 いつもと変わらずに美味しいザックさんの料理。

 お客さんが来なくても作られては、残って、捨てられただろう料理。

 他の店だってそう。店を開かないと生きていけない。でも客は少ない。食べてもらえない料理を作るのは辛いだろうって思う。


「食って食って食いまくれ。店の料理が売り切れるぐらいにな」


 ラズロさんが魚を渡したときのザックさんの笑顔には、素材を買うお金がかからなかったこともあったのかも知れない。

 そう思ってラズロさんを見ると、少しだけ困った顔になって、大きな手が伸びてきて僕の頭を撫でてくれた。


「……はい、たくさん食べます」


「そうだ、たらふく食えよ」


 みんな無言で黙々と食べていたら、ティール様が嬉しそうに喋り始めた。


「この料理は大好きです。一度油で揚げた後に根菜と酢漬けにする事で日持ちがしますし、夏の暑さでも料理が劣化することを極力防ぐ。その上身体にも良い、実に素晴らしい料理です。更にここのは美味です!」


 ティール様は周囲の空気の流れを気にしない人で、今も興奮した様子で話してる。それをラズロさんが苦笑いを浮かべて見てる。


「蘊蓄は良いから死ぬ程食えよ」


「死ぬ程食べるのは論理上無理で……」と、話し始めたティール様の口に別の料理を放り込む。

 一瞬言葉が止まったティール様だったけど、すぐに料理を食べ終えて、これも美味ですね、と言い出したので笑ってしまった。


 気になっている事を尋ねる。


「次は薬ですか?」


 質問すると、ティール様が頷いた。

 パフィはここではテイムされた猫のフリをする。


「北の国と取り引き不可になって支障を来たすのは薬剤になります。こちらも例の如く作成していただきますが、魔法薬学の棟の近くになりますね」


 魔法薬学。話には聞いているけど、よく分からない。


「レンレンもわざわざ出て来るとは思わんが、一度捕まると面倒でなぁ」


「そうなんですよねぇ」


 二人が遠い目をする。


「おぅ、出来たぞ」


 大皿一杯に盛られた料理が、テーブルの真ん中に置かれる。

 ぐつぐつと表面が煮立ってる。


「魚の切り身と使い残した芋の上にクリームソースをかけて、パンの粉をまぶしたもんだ」


 他のテーブルから声が上がる。

 同じ料理があちこちに振る舞われているみたいだ。


「いいだろ?」


 ザックさんの言葉にラズロさんが頷く。


「美味いうちに食ってくれ。独り占めは性に合わん」


「ありがとよ」


 そう言ってザックさんは厨房に戻って行く。


 よくは見えないけど、他のテーブルにはそんなに料理が置かれてなかった。

 外に食事に来たとしても、たくさん食べられるかと言ったら、そうではないんだろうな。


 何かしたい。

 こうして自分の目で見ると、いつも通りで良いのかな、って気持ちになる。

 殿下もお忍びで都の中を見て回ったらしい。

 きっと同じ気持ちになって、何とかしなくちゃと思ったに違いない。

 僕と違って殿下は力があるから、余計にその思いが強いと思う。


「……焦るなよ」


 ラズロさんの言葉に顔を上げる。


「みんなでやってかなきゃなんないんだ。

貴族だけの力じゃなく、平民の力も使って、この国は立ち直らなくちゃいけない」


 貴族を優先して平民の自由を認めない北の国。

 平等を望んで王家を壊して、結局新しい階級によって支配される南の国。


 僕たちのいるこの国は、貴族という立場も残しつつ、平民と協力する国を目指してる。

 その為にも、上から押し付けるだけじゃなくて、僕たち平民も参加しないといけないんだって。


「力のある者だけでこの世は回ってない。オレ達のような弱い奴らの方が大多数を占めるんだ」


「力があろうとなかろうと、皆、生きていますし、考えもします。たとえ一人ひとりの力は弱く、一見非効率であっても、人は成長するものです。

皆で一緒に育っていけば良いんです」


 ティール様の言葉にラズロさんが驚いてる。


「珍しくまともな事言うじゃねぇの?!」


 得意げな顔をするティール様。


「熱でもあるんじゃないのか? もしかして海で溺れたか?」


「ラズロと一緒にいました、溺れておりませんよ」


「おまえも少しは人並みになったなぁ」


 しみじみと言うラズロさんがおかしくて笑ってしまう。

 本当に、言いたい放題だ。

 その後も二人は軽い言い合いをしていた。


『今夜、ここを離れる』


 パフィが僕にだけ聞こえる声で言った。


『アマーリアーナから少し前に知らせが来てな。

魔法使いと騎士には伝えてある。

おまえは裏庭のダンジョンに海を作り、薬草の育つダンジョンを作っておくが良い』


「すぐ戻るの?」


『さぁな』


 アマーリアーナ様。

 パフィと同じ古の魔女。


『まぁ、今回のはいつもの集まりだからな、問題はないだろう』


「でも、来るんでしょう?」


 ナインさんの前世である、クロウリーさんを殺したとされる魔女も。


『何も仕掛けてこなければ、ただの茶会だろうよ』


「気をつけてね」


 僕の言葉にしっぽを揺らした。




 その日の深夜、パフィは僕の元から離れた。







 魔法薬学の塔の近くに、ダンジョンを作った。

 作る場所、大きさ、ダンジョン内をどんな風に作りたいかが細かく書かれた紙を持ったティール様に指示されながら。

 言われた通りにダンジョンの環境を整えているけど、次から次へ指示がくるものだから、一体どれだけ書かれているのだろうかと疑問に思ってしまう。

 そんな僕の視線に気付いて、ティール様が困ったように笑う。


「すみません、本当に。指定が細かいですよね」


「いえ、こんなに色々と整えなくちゃいけないぐらい、難しい場所で薬草は育つんだなって思ったんです」


 パフィの元には色んな薬草があって、それを僕はたまにもらってた。その薬草が一体どれだけ貴重なものなのか、全然知らずに。

 だからこうして、空気が薄めだとか、木は少なめだとか、朝と夜のダンジョン内の暖かさを変えたい、と言われて初めて、北の国から仕入れる理由が分かった。


 しかも、このダンジョンでは階層を十も作る。裏庭のダンジョンと違って、魔力を使って草木を作るのではなくて、魔法薬学の人達が育てるのだそう。

 育成方法はもう知ってて、種も持っているんだって。研究の為に持っていたけど、使える日がくるなんて、と噂のレンレンさんが興奮して大変だったって、ノエルさんが呟いてた。

 ダンジョンを維持する為の魔力供給は、魔法薬学の人たちがするみたい。


「うーん、ここまで徹底する必要はないと思われるので、単純にレンレンの趣味と言うか、探究心と申しますか……まぁ、分からなくもないんですけどね。

いずれにせよ、面倒をかけてすみません」


 ティール様に謝られて、そんな事ないです、と謝っていたら、ずっとお互いに謝り続けてしまって、ラズロさんにいい加減やめとけ、って呆れられてしまった。


 一日置きに作っていって、二週間程かけて、薬草ダンジョン(ラズロさんが呼び始めて、その名前で定着した。レンレンさんはもっと別の名前が良いと言ってるみたい)は完成する。

 終わる頃には、パフィ、帰って来るのかな。




 ギルドに作った海に多くの人たちが出入りするようになって、デボラさんの店が再開したんだって。

 北の国から魚が入らなくなって、このままじゃ店を畳むしかないって、らしくない様子で言ってたとラズロさんから聞いてたから、ほっとした。


 海で魚を獲るのに使う網が必要になって、その網を海で働く男の人の家族が作ってると言う話も聞いた。

 網に使われるのは麻や木綿の糸だったり、藁だったり。普段なら捨ててしまうような糸を縒り集めて作る。なんだか楽しそう。

 働く場所が出来て、働く人が増えて、また少し王都が活気を取り戻してきてるんだって、ラズロさんたちの話を通して知って、嬉しくなる。


 僕も買い出しに行きたいんだけど、食堂を利用する人が増えたのもあって仕込みに忙しくて、城から出られない。

 あと、何があるか分からないから、一人で出かけては駄目だとパフィに言われてる。


 薬草ダンジョンを作り終えたら、裏庭のダンジョンの第二層を夏に変えたい。

 夏のあの暑さの中でも香辛料になる木は育つらしいとナインさんから教えてもらった。

 それから、香辛料も色々あるんだと初めて知った。

 目移りしてしまうけど、使い勝手が良さそうなものをまずは育ててみることにした。

 その為の種を買ってもらえることになったのだけど、なんだか申し訳ない気持ちになってしまう。

 高いんじゃないかなぁ……。


「アシュリー、心配ない」


 隣で香辛料の本を読んでいたナインさんが言った。


「一度育つ、後はダンジョンの魔力、育ててくれる」


 ……あ、そうか。

 第一の春の階層ではずっとスオウの花が咲いてる。ダンジョン内の魔力を使って。


「ダンジョンの魔力で最初から作れたら便利ですけど、そんなことは出来るんでしょうか?」


 ナインさんは首を横に振る。


「無理。一度でも触れないと、再現出来ない。

実がなるようなもの、もっと難しい。

種から苗、苗から幼木、成木、花、実、一連の流れ必要」


「そう簡単にはいかないんですね」


 とは言っても、一度育てられたなら次からはダンジョンが育ててくれると言うのだし、それはとてもとても、凄いことなのだから、頑張ろう、うん。


「僕も、一緒に育てる」


 うん、とナインさんが力強く頷いた。


「ありがとうございます、ナインさん」


「アシュリーのごはん、もっと美味しくなる、とっても幸せ」


 ここに来たばっかりの時はあんなに痩せていたナインさんだけど、今はそんなの分からないぐらいになった。

 僕の作る料理を美味しいと言って食べてくれる。

 ちょっとノエルさんっぽくなってきたな、って思うけど、美味しいものを食べると幸せになるのは同感です。







 薬草ダンジョンの五階層目をティール様に指示されながら作っていたら、噂のレンレン様に会った。

 笑顔で、目の前に立った瞬間に両手を掴まれてぶんぶんと上下に振られた。


「わーっ! 君が噂のアシュリーなんだね! 初めまして僕レンレン! 僕の事も噂で聞いていると思うけど、全くのデマだから気にしないでね! 僕は純粋に魔法薬学を愛する至って真面目で探究心旺盛な青年なだけだから! それでアシュリーは魔法薬学を知ってるかな?! 知らなかったら是非この後説明させて欲しいんだけどどうかな?!」


 ……凄い。

 息継ぎ、何処でしてるんだろう……。


「いえ、大丈夫です」


 とりあえず僕はやる事が沢山あるし、レンレン様もやる事沢山ある立場だろうし。


「魔法薬学の素晴らしさを知っておいた方が人生に輝きが増すよ?! 絶対に損をする! 断言する! むしろ人として不完全と言ってもいいくらいなんだよ?!」

「ティール様、次の指示をもらえますか?」


 レンレン様は自分のペースに強引に巻き込んでいく人なんだね。

 答えても答えなくても変わらないだろうし、ダンジョンを作るのに両手が使えなくても平気だから、進めてしまおう。


「あ、あぁ……ハイ」


 ティール様は僕とレンレン様の顔を見比べた後、ぎこちなく頷いた。

 安心して下さい、僕もレンレン様への態度、よくないとは分かっているんです。


 ティール様の指示通りに階層内の環境を変える。空気が冷えたのを感じたレンレン様がダンジョン内を見渡して、引き続き興奮した様子で話す。


「凄いね、アシュリー! 君のその能力はまさに、魔法薬学の為のものと言って過言じゃないと思うよ! 魔法薬学はね」

『五月蝿いな』


 ぽん、と弾ける音をさせて目の前にマグロ──の姿をしたパフィが現れた。

 レンレン様の口には大きな紙みたいなものが貼られていて、それを剥がそうとレンレン様は必死だ。


「おかえり、パフィ」


『戻ったぞ。それにしてもまだ完成しておらんとは、おまえは本当に愚鈍だな』


 呆れ顔の黒猫。

 ……素朴な疑問なんだけど、魔女の会合には元の姿で行ったんだよね?


「だいぶ慣れてはきたんだけどね」


「薬草ダンジョンはレンレンの指定が無駄に細かい為、アシュリーには手間をかけさせてしまっている上に、階層が十に及ぶ為時間がかかっているんです。申し訳ありません」


 申し訳なさそうに謝るティール様。その指定をしたレンレン様はまだ紙を剥がせなくてもがいてる。

 ちら、とパフィはレンレン様を見る。


『まぁ、薬草はそういうものだから仕方ないが。こちらを早く済ませて裏庭のダンジョンの構築に力を注がねばならん』


 会合でアマーリアーナ様に何か言われたりしたのかな?


『香辛料をとっとと作らせ、アシュリーの料理の幅を広げねばならんからな。その為の本も探してきた』


 あぁ、うん。

 パフィはそういう人だった。


 マグロを抱き上げて頭を撫でる。


『なんだ、突然』


「おかえり、パフィ」


『さっきも言ったろう』


「もう一度言いたくなったんだ」


 ふん、と鼻で笑いながら、嬉しそうに見えた。


 良かった、パフィが無事に戻って来て。


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