表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前代未聞のダンジョンメーカー  作者: 黛ちまた
第二章 マレビト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/77

025.魔女と魔女

一話がどんどん長くなってまして、すみません(汗)

 ナインさんの記憶に関する検査は、今の所問題ないと言うことになったみたい。

 絶対と言い切れないのが何とも言えない気持ちになるけど、当の本人のナインさんが気にしていないんだから、良いのかな、って。


「思い出してから、何年も経つ。だから、平気」


 ナインさんは全然気にしてないみたい。


「アシュリー、ダンジョンメーカーのスキル、使うの禁止されてる?」


「禁止してはいないよ」と、ノエルさんが否定した。僕も頷く。


「使い方が分からないんです。でも、このままでも良いかな、って思ってます」


 どう使ったら良いのかも分からないけど、どんな使い方があるのか、思い付かないし。

 使えなくても他のスキルで十分快適な生活を送れているから、必要も感じないんだけどね。


 ナインさんがノエルさんを見る。


「教えたら、ノエルさん、怒る?」


 困った顔をするノエルさんと、ノエルさんをまっすぐに見返すナインさん。


「うーん……使い方が決まらない事には、許可しづらいのが正直な所なんだよね」


「アシュリー、魔力少ない。作れても、四つの層が限界と思う」


「四つも層を作れるんですか?」


 自分で思っていたよりも多くてびっくりした。


「ナインはアシュリーにスキルを使わせたいの?」


 ノエルさんの質問にナインさんが頷いた。

 どうして使わせたいんだろう?


「ダンジョン、作った人間の好きなように出来る。もっと動物をテイムして、そこで育てたり出来る」


 ノエルさんは難しい顔をする。


「スキルで作ったダンジョンの特性とか、つまり何が可能なのかが知りたい。知らない事には危険度も分からない」


 オイオイ、とラズロさんが止めに入る。


「アシュリーにそのスキルを使わせない為に保護したんじゃねぇのか?」


 ノエルさんは頷いた。


「それは勿論だよ。でも、このスキルに関しては情報が少な過ぎるんだ。ナインの前世であるクロウリーの使用方法が極端な方向だった為に危険視されているけれど、別の利用方法があるのではないかとはずっと言われてきた」


 チッ、とラズロさんが舌打ちする。


「これだから研究馬鹿は嫌いなんだよ。そう言ってこれまでだって散々痛い目にあってきたのは、オレたちのような普通の人間だ。これで何かあった時、アシュリーに責任押し付けて、何かしようとしたら絶対に許さねえぞ?」


 いつものラズロさんからは想像もつかない低い声、強い口調にびっくりして、何も言えないでいると、ノエルさんも強い口調で言い返した。


「そんなのは分かってる。ただ、今のままじゃ、アシュリーはずっとここに閉じ込められたままになるんだよ?

アシュリーは何も悪くないし、悪い事に使う筈がないって分かってるのに!」


「ノエル、おまえ……」


「ナインの事だってそうだ。皆、危険視ばかりする。この二人が何をしたの? 何もしてない。何かしてからじゃ遅いと言って閉じ込めて、その方が二人の心を傷付けて、むしろ危険な方向に向かわせる可能性だってある。

僕の魔法の力だってそうだ。どんな力も使う者の心次第なんだよ。正しく導くのが、大人のすべき事だ」


 ラズロさんは息を吐くと、「悪かった」と言った。


「……ノエルさん」


 ナインさんがノエルさんのローブを掴んで引っ張る。


「平気。ノエルさん達、ちゃんと考えてくれてる、知ってる」


 ナインさんの頭を、ノエルさんが撫でる。


 ノエルさんは、僕を村から王都に連れて来た事、そんな風に思ってくれていたんだな。


「ありがとうございます、ノエルさん」


「アシュリー」


 ノエルさんの赤い目が、いつもと違って不安そうというか、泣きそうと言うか。

 上手く言えないんだけど、なんだか嬉しいのに、涙が出てきそうだった。


「村を出る事になって、家族と離れ離れになった事は寂しいですけど、良い事もありました。だから、大丈夫です」


 僕の名前を呼んだノエルさんに、抱き締められた。


「守るから、アシュリーが好きな場所に暮らせるように、好きな場所に行けるように、絶対に方法を見つけ出すからね」


「ナイン、手伝う。クロウリーの記憶、アシュリーの役に立つ」


「ありがとうございます」


 村に帰りたいからじゃなくて、僕の事をそこまで考えてくれている人が存在する事が嬉しくて、泣いてしまった。







 思っていた以上に、ラズロさんにも、ノエルさんにも、考えてもらっている事を知って、驚いている。

 僕がこのスキルを持っているのは、二人の所為じゃないのに、それなのに、あんな風に僕を守ろうとしてくれてることとか、僕の将来の事を考えてくれてると知って、申し訳ない気持ちもあるけど、嬉しいなって思ってしまう。

 そんな風に考えてくれるのは、家族だけだと思っていたから。

 毎日楽しく過ごせたら良いなって思ってたけど、このスキルをみんなの為に使えたらな、って考えるようになった。

 それと、悪いことには使わないって決意した。元々そんなつもりなかったけど、絶対に悪いことには使わないぞ、って言う強い決意が僕の中に出来た。


「帰ったぞー」


 ラズロさんが買い出しから戻って来たみたいだ。荷物が多いと、まず入り口で声をかけてくれる。

 荷物を運ぶのを手伝おうと、食堂の入り口まで迎えに行くと、たくさんの荷物がラズロさんの周りにあった。


「おかえりなさい」


 また、キャベツみたいに一つのものがたくさんだったりするのかな?


「おぅ、アシュリー、今日は良いもんがあるぞ」


「良いもの?」


 にやりと笑ったラズロさんが取り出したのは、小さな瓶だった。蓋を開けて中を見せてくれる。

 金色のとろりとしたものが見える。瓶たっぷりの蜂蜜!


「蜂蜜!」


「そうだ」


「すごい! こんなに!」


 蜂蜜は村でもたまに食べることが出来たけど、みんなで分けるから直ぐになくなってしまう。

 パンにかけて食べたりも美味しいし、ミルクに入れても美味しい。


「何に使うか悩むな」


「蜂蜜と粒マスタードのソースを作って、肉にからめて食べるの、僕、大好きなんです」


「なんだそれ、絶対美味い奴だろ」


 ラズロさんの場合は、粒マスタードに反応した気がする。


「蜂蜜もなー、養蜂でも出来りゃあ定期的に手に入るんだろうが」


 ようほう?

 初めて聞く言葉。


「王都じゃ花が少ねえからな、養蜂は難しいだろうしな。蜂は警戒心も強いし刺されたら危ねぇし」


 言葉の感じからして、蜂を育てる、とか、そんな意味かな? 蜂って、育てられるものなのかな?

 蜂の巣を山で見つけると、刺されないように準備して、巣を手に入れてくる。刺されると危ないからって、みんな凄い厳重な格好をして取りに行ってたな。

 刺されてしまった人の為の薬とか、魔女と作って待ったのを思い出す。

 蜜を取り出した後の巣は、溶かしてろうそくにしたりもした。油と混ぜると、冷えて固まると丁度良い感じに固まって、使いやすくなるし、蜂の巣はとても便利なんだよね。


「アシュリーのテイムって、蜂にも使えんのか?」


「えっ?」


 蜂をテイム?!







「テイム? 可能じゃないかな」


 休憩に来たノエルさんに、蜂はテイム出来るのかを質問してみた。軽い反応にちょっと期待してしまう。


「あまり聞いた事がないけど、理論的には可能だと思うよ」


 そう言って、ノエルさんは蜂蜜の入ったミルクを飲む。ナインさんもノエルさんの横で、夢中になって蜂蜜入りミルクを飲んでる。

 クリフさんはいつも通りコーヒーを飲んでる。


「だが、この近辺は花が少ない。それにミツバチは集団で生活する。一匹だけテイムしても無駄だろう」


「それに、人が刺されたら危ないからね、難しいんじゃないかな」


 あからさまにラズロさんががっくりしてる。


「アシュリーが肩を落とすなら分かるけど、なんでそんなにラズロが凹んでいるのか、分からないんだけど?」


 怪訝な顔でノエルさんとクリフさんがラズロさんを見るから、思わず笑ってしまった。


「蜂蜜と粒マスタードのソースがとっても気に入ったみたいなんです」


「なにかな、それ? 僕、食べてない気がする」


 ノエルさんの目が光ったような気がする。ナインさんの目は期待からなのか、きらきらしてる。


「夜に出す予定なんです。蜂蜜の量にも限りがあるので、昼には出せないから」


「なるほど。絶対来るから取っておいてね」




 夜は昼と違って利用する人の人数が少ない。

 蜂蜜と粒マスタードを混ぜたものを、あとは焼き色だけつければ良いぐらいまで焼いた肉にかける。

 肉の脂と蜂蜜の甘い匂いと、粒マスタードの酸味が混じった、なんとも言えない良い匂いがする。


「良い匂い……」


「おいしそう」


「腹を刺激する匂いだな」


 ノエルさん、ナインさん、クリフさんは、蜂蜜マスタードのソースの匂いを気に入ってくれたみたいだった。


 カウンターの席に座った三人に、料理ののった皿を渡す。

 蜂蜜をちょっと入れて作ったパンと、鶏肉の蜂蜜マスタードソースがけ、キャベツの酢漬け、タマネギのスープを出す。


 三人ともぺろりと平らげてしまった。

 キレイに食べてもらえて、作った僕としても、とっても嬉しい。


「はぁ……今日の料理も美味しかった」


「アシュリーの料理は本当に美味いな」


 褒められすぎてちょっと恥ずかしいけど、嬉しい。


「そう言えば、アシュリーのいた村では、蜂蜜は食べる事以外に使われていた?」


「蜜を絞った後の巣でろうそくや、油を固形化させるのに使ったりはしました。あ、蜂蜜ではないんですけど、時折女王蜂がいる巣が手に入ったりすると、魔女が薬を作っていました」


「薬……?」


 頷く。


「とっても効果があるんです。耳鳴りが良くなった、って言ってた人もいたし、身体の重いのが取れたって言う人もいたし、気持ちが軽くなったって言う人もいて……なんだか良く分からないんですけど、普通の薬では良くならなかった人に、魔女はあげてましたよ」


「魔女と連絡する手段はある?」


「僕からは出来ないですけど、たまに使い魔がきます」


 ただ、魔女はきまぐれだから、次にいつ来るのかはわからないんだけど……。


「次に魔女から連絡が来たら、僕を呼んでもらって良いかな? 直接話がしてみたいんだ」


「うーん……」


 ノエルさんとナインさんが首を傾げる。


「アシュリー? どうかした? 何か問題が?」


「ノエルさんはカッコいいから、魔女と会ったら、大変な事になりそうだなって思って」


『その心配はない』


 パフィの声がした。


 突然魔女の声がした。

 みんなが声のした方を見ると、天井に逆さま状態のマグロがいた。

 あり得ない光景に、みんなの目がまん丸になる。

 ……たまにこう言う事をやってくるんだけど、わざとなんじゃないかな、って思う。

 初めて会う人に対してやってる事が多い気がする。

 多分だけど、どんな人物が見極める為にやってるんだと思うんだけど……やられた方は困るんじゃないかなっていつも思うんだよね……。


 すとっ、と音をさせてマグロが下りてきて、二股のしっぽを揺らした。それにもまた、みんなの視線が注がれる。

 ……うん、二股の猫とか、見たことないですよね。


「魔力の気配を感じなかった……」


 存在そのものに驚いてるのかと思ったら、ノエルさんは別の事に衝撃を受けているみたいだった。


「魔女の魔力と、魔法使いの魔力は質が違うと聞いた事があります」


 仕組みはまったく分からないんだけど、魔女がそんな事を言ってた。


『おまえがノエル、クリフ、それからナインか』


 順番に三人の顔を眺めるマグロに、三人は戸惑ってる。

 うん、なんて言うか、魔女がすみません……。


『私のいない間に、勝手にアシュリーを連れ去りおって』


「パフィ、父さん達の許可は取ったよ?」


 そう言うと、ふん、と鼻で笑われた。


『私の許可を取っておらんではないか』


「そんな事言っても、僕はパフィの弟子ではなかったし、二人はパフィの事を知らないんだから、仕方ない事だよ。それにあの時村にいなかったでしょう」


『薄情者め』


 えぇ……。


「改めて、僕はノエル・オブディアンといいます。初めまして、古の魔女とこうして会話が出来て光栄です」


 マグロがノエルさんをじっと見る。


「貴女とアシュリーの事を知らなかったとは言え、村からアシュリーを連れ出してしまった事、申し訳ありません」


 そう言ってノエルさんが頭を下げる。クリフさんまで頭を下げた。二人の間に挟まれていたナインさんまで頭を下げたのは、その場の雰囲気と言う奴だとは思うけど。


「オレはクリフォード・フォン・ジャーメイン。アシュリーに関しては言い訳のしようもない。謝罪する」


『お貴族様が頭を下げるとは、珍しい。長生きするものだ』


 ゆらゆらと揺れるマグロのしっぽからしても、ある程度機嫌は直ったみたいだ。良かった……。


『アシュリーのスキルについてはさすがの私も知らぬ事が多かったからな、当面預けておこう』


「ありがとうございます」


「感謝する」


 マグロがお座りをする。


『それで、何を知りたい?』


「女王蜂のいる巣を入手出来た際の、薬の件です」


『女王蜜の事か』


 女王蜜。そう言えば魔女がそんな単語を口にしていた事があったような?


『何の為に欲する?』


 クリフさんとノエルさんが目を合わせ、頷いた。


「実は、我が国の第一王子の病気を治す為の物を、ずっと探しているんです」


『第二王子もいるだろう? 何を案ずる事がある』


 言いながらマグロのしっぽが揺れてるから、魔女は答えを知ってるんだろうと思う。


「第二王子は武力派です。彼が王位を継げば、隣国との戦争は避けられない」


『他国にも名の知れたノエル・オブディアンとジャーメイン家の跡取りがいれば、周辺諸国の制圧も容易いと言われているが、肝心の二人にその気がないとはな?』


 ノエルさんの表情が曇る。


「僕は、力を人を傷付ける事に使いたくありません」


「オレの力も、そんな事の為に使いたくない」


『それで聡明と名高い第一王子を担ぎ上げたいと』


「あの方がどのような治世を敷かれるかは分かりません。ですが、僕は第二王子よりも、第一王子に王位を継いでいただきたいんです」


 突然マグロが僕を見た。


『少しは話の出来る奴のようだ。おまえ達ならアシュリーを預けるに足るようだ』


「ありがとうございます」


 ノエルさんが頭を下げる。


『そうは待たせぬつもりでいるが、少し待て』


 はい、とノエルさんとクリフさんが返事をした途端、マグロがごろんと横になった。

 ……あ、魔女は抜けたみたい。


 魔女がいなくなった後、ノエルさんが大きく息を吐いた。クリフさんは眉間に皺を寄せていて、頭が痛い、と顔が物語っていた。

 疲れているように見えるので、チャイを淹れて出したら、少し落ち着いてきた……かな。


 何となく、だけど、魔女が──パフィが僕の思っていたのとちょっと違うんだろうな、って思う。


「大丈夫ですか?」


「アシュリーの言う魔女が、まさか古の魔女なんて……」


 そう言えばさっきも古の魔女、って言ってた。

 魔女のことをそう呼ぶのかとも思ったけど、どうもそれも違いそう。


「魔女って色々いるんですか?」


「アシュリーはパシュパフィッツェ様しか知らないから、仕方ないのかな」


 魔女の名前を知ってるなんて、ノエルさんは本当に物知りだなぁ。


「本来はパシュパフィッツェ様のような古の魔女だけを言うんだけど、人数も少ないし、今では魔女とは別の人たちを指す事が多いんだよ」


 ノエルさんが魔女について説明してくれた。


 世襲でも、スキルでもなくその力を受け継ぎ続けるのが古の魔女で、世界に五人いるんだって。その内の一人がパシュパフィッツェ──パフィらしい。

 膨大な魔力を持ち、人のことわりである寿命という概念を超越した存在、ってノエルさんは言う。

 うん、確かにパフィはずっと年を取らない。


 古の魔女は大変きまぐれで、気が向けば人を助けもするし、その逆に滅ぼしたりもする。

 彼女達は人としての倫理、情はなく、とある国の王様がうっかり言ってしまったことに怒って、国ごと滅ぼしてしまったり、なんて事もあったらしい。

 パフィはそんな人じゃないし、正直にぴんとこないんだけど……他の古の魔女にはいるのかも。いや、きまぐれはきまぐれだし、容赦しない性格ではあるんだけど、意味もなく国を滅ぼすのは、ないと思う。

 実際にパフィの魔力の凄さを間近で見てきていたから、そんな事も可能だとは思うけど。


 そもそも、古の魔女は人と交わろうとしないから、まさか本物だとは思ってなかったみたい。

 あと、ノエルさんが勘違いしたのは、魔女と呼ばれる存在が他にもいるから。

 古の魔女に憧れて、魔法やら魔法薬学やらを駆使し、知識を蓄積して、いずれは古の魔女になろうとする人達を呆れ半分、尊敬半分に"魔女"と呼ぶんだって。

 知識もあるし、スキルとして魔法も魔法薬学も持っているのもあって、尊敬されるべき面も持ち合わせているからみたい。

 だから、僕の話を聞いていても、古の魔女には結びつかなかったよ、と力なくノエルさんは笑った。

 僕としてはノエルさんが言う方の魔女を知らなかったから、びっくりした。


「パフィ──パシュパフィッツェだって分かったのはどうしてですか?」


「使い魔の存在だよ」


 マグロのこと?


「古の魔女と契約した使い魔と、アシュリー達のテイムは根本的に原理が異なるんだけど……そもそもどういう事をすれば使い魔に出来るのかも、僕たちは知らないんだけどね……。

アシュリーはテイムした動物と意識や感覚の共有は出来ないでしょう?」


 頷く。

 テイムはテイムで、一つになることじゃない。


「自分以外の存在の肉体を、一時的にでも奪うと言うのはとてつもない事なんだよ……」


 そこからノエルさんがしてくれた説明は、あまりに難しくて、全然頭に入って来なかった……もっと勉強頑張ろう、うん。


「それとね、古の魔女の使い魔はそれぞれ違っているんだ。

焦熱の魔女 ダリアの使い魔は真っ赤な羽根に、七色の尾を持つ鳥。

予言の魔女 ヴィヴィアンナの使い魔は純白の身体に角を持つ馬。

氷花の魔女 キルヒシュタフの使い魔は白銀の狼。

秩序の魔女 アマーリアーナの使い魔は白と黒の大蛇。

混沌の魔女 パシュパフィッツェの使い魔は二股の黒猫。

だから、ひと目で分かったよ……」


「そうなんですね。それにしても、他の魔女の使い魔はなんだかみんな凄そうですね。パフィのだけ小さい」


 ノエルさんの顔色が悪くなる。


「アシュリー……パシュパフィッツェ様にそんな事言ったりしないでね?」


「パフィは、大変愛くるしくて私にぴったりだ、ってよく言ってたから、大丈夫ですよ」


 パフィを怒らせないで、って言う意味でノエルさんは言ってるんだろうけど、いくらパフィがきまぐれでも、そんなことで怒ったりはしないですよ、ノエルさん。


 大蛇が使い魔って、どんな感じなんだろう?

 マグロはよく、パフィの膝の上で寝てたけど、大蛇も同じように頭をアマーリアーナ様の膝にのせたりするのかな?


「最近ちょっと、日々の刺激が強いなって思うんだ」


「……そうだな」


 ノエルさんとクリフさんが遠い目をして言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ