表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
笑顔の破壊力が物理的な破壊力!ー世界最優の兵器は、少女の笑顔でしたー  作者: ぽこむらとりゆ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/113

笑顔の破壊力 lv.99

「ジェットをあまりからかうなよ」


 アークが言うと、


「イシスとグランも早く席について。料理が来てしまうよ」


 とヨウリが2人に向かって言った。


 どうやら、3人の魔人は既に昨日王族と顔合わせを済ませたようだ。


 ヨウリに促され、イシスがアークの隣にすわり、グランはその隣を飛ばして座った。


 タイミング良く料理が運ばれてきた。


 王宮といえば、コース料理が一品ずつ運ばれてくるものだと思っていたが、前菜からデザートまでが、一気に目の前に並べられた。


 華やかな盛り付けに、美味しそうな香りでお腹が空いてくる。


「この世界ではまとめて料理が出てくるんだね」


 と私が言うと、


「いや、普段は1品ずつ運ばれてくるんだよ。父がレイルに順番を強制しない為の配慮だと言っていたけど、いらない気遣いだったかな?」


 ヨウリが申し訳なさそうに言った。


 王様が、私に気を遣って、コース料理をあえて一気に持ってきたらしい。


 この気遣いはやりすぎだし、不要だ。


 ヨウリが私を見つめている……王子様といえば、を詰め込んだ容姿が眩しい。


「少し大袈裟かなとは思いますが、別に嫌ではないので大丈夫です。また機会があるのなら1品ずつでお願いします」


 私が言うと、ヨウリは笑顔で頷いた。


 私は、前の世界でもコース料理は食べた事が無い。


 まとめて持ってきただけで、これはコース料理だ。


 前菜を口に運ぶ……やはり、この国の食べ物は素晴らしい。


「ヨウリさんは、レイルさんの事が好きなんですか?」


 イシスが唐突に聞いた。


「うん、好きだよ。結婚したいと思ってる」


 ヨウリが即答した。


「はああああ!? ヨウリお前、本気で言ってんのかよ! ダメに決まってんだろ!」


 ジェットが立ち上がり、大きな声で言った。


「どうして? 好きな人と結婚したいと思うのは当たり前じゃないかな?」


「そうか……確かに、何で俺はダメだと思ったんだ……?」


 ジェットがヨウリに言い負かされ座った。


 この人達は、この会話を私の前でする事を何とも思っていないようだ。


「ヨウリさんのレイルさんを見る目がちょっとアレだったので、聞いたのですが、確実に好きだとは驚きです。そんなに深い仲だったんですね」


 イシスが言った。


「確実にじゃなくて、本当になんだろ? 真剣な話の場で間違えるのはやめてほしいんだろ?」


 イシスにグランがツッコミを入れた。


「僕とレイルが会ったのは今日が初めてだよ。君達は僕の『夢見』を知っているかな? 夢の中で、世界や僕自身において重要なものが、断片的に見られる能力なんだ」


 そう言うと、ヨウリはこちらを見てニコッと笑った。


「ある時から僕は、黒髪の女の子がこちらへ笑いかけてくる夢を見るようになった。その笑顔が可愛くて頭から離れず、その子の事ばかり考えるようになってしまったんだ」


 ヨウリは私を見つめながら話す。


「そしてある日の夢で、その黒髪の……レイルが僕を指さしてウインクをしながら笑ったんだ。あの時に僕はレイルが好きだと確信した。あまりにも可愛くて今でも頭に浮かぶ」


 ヨウリは目を瞑り、記憶の中の私を見ているようだ。


「そして、本物に会えた。本当に存在した。僕は、これ以上の感動を知らないよ」


「夢の中のそれは、魔物側の視点ですよね? ヨウリ殿下はレイちゃんから攻撃を受けていたのですね」


 オルレアが言うと、


「ははは!」


 アークが笑いだした。


 ヨウリは、何が起こったのかと不思議そうな顔をしている。


「実は……」


 私は自分の能力の説明をした。


 裸眼で笑顔を向けた場所を破壊してしまう事、敵に当てるために試行錯誤した結果があのポーズになった事、感情によって威力が変わる事。


 私が話す間、食堂は静まり返り、私の声とフォークやスプーンがお皿に当たる音だけが響いた。


 怖いと思われてしまっただろうか……。


 この話に1番に反応したのはジェットだった。


「あの時、俺らを笑いながら攻撃してきてたのはそういう事だったのかよ! 楽しんでやってると思ってたじゃねえか!」


 少し安心したように言うジェットに、


「……ごめん、楽しんでたんだ。撃つのってすごく楽しくて……」


 と言うと、ジェットは驚いたような表情をして、


「まあ……俺も戦うのは楽しかったからな。これでおあいこだ」


 と言って笑った。


「僕が見ていたのは敵の視点だったんだね。でも、本当にあの笑顔に見つめられている間、僕は誰よりも幸せを感じていたと思う」


 ヨウリは嬉しそうだ。


 それを聞いたイシスが、


「確かに、敵側で見ると挑発されている気がして、ものすごくムカッときますが、その姿が可愛らしいですね」


 と顎に手を当てながら言うと、


「『が』じゃなくて、『は』なんだろ? グランもレイルが笑って攻撃してくるのが怖かったんだろ? 理由がわかって安心したんだろ?」


 とグランは今まで怖かった事を告白し、ホッとしたような顔をして、食事を再開した。


 グランの周りには、私達の数倍の量の食事が用意されている。1つ飛ばして座ったのは、料理を置く場所を確保するためだったらしい。


「俺だって、レイルの攻撃を受けた事がある。可愛すぎて鼻血を出して倒れた……」


 アークがブツブツと独り言を言っている。


 ヨウリは、アークを慰めるように肩をポンポンと軽く叩く。


「レイルの敵になると、あの可愛らしい姿がずっと見られるのか、羨ましいな」


 ヨウリが言うと、アークが小さく頷いた。


「この場に大神官様とルルさんがいたら、大騒ぎになっていそうですよね」


 オルレアは笑顔で言った。


 あの2人が、この場をかき回す姿が目に浮かぶ。


「そうだね。ちょっと見たかったな」


 私はオルレアに笑顔を返した。


 まとめて持ってこられた料理は、少し多いかと思ったが、食べてみると意外と軽いものもあり、順調に食べ進める事ができた。


 魔人達もほとんど食べ終わっている。


「魔人でも料理を食べられるんだな。魔力石しか食べれないものだと思ってた」


 隣で食事を楽しむイシスを見て、アークが言った。


「ボク達にも、自分が何を食べられるのかは謎りません。ですが、魔力石が食べられるのなら、食事をとれてもおかしくありませんよね」


 イシスが淡々と答える。


 確かに、魔力石を口から食べていたのだから、他を食べられても不思議では無い。


「イシス、また間違え方が雑になってるんだろ? グランは美味しいものが食べられて嬉しいんだろ?」


 グランは凄い勢いで食べ進め、最後のデザートを飲み込んだ。


「まあそうか……ルルも食べてた事を考えると何もおかしくないのか」


 アークは納得したようだ。


「アーク様この後2人でお散歩でもいかがですか。私オススメのお散歩コースがあるのですが一緒に歩いてみませんか。最近お散歩されていますか私は毎日夕食終わりにしているのですがご一緒にどうですか」


 突然、ユウニが呟きだした。


 皆が食事を終えるタイミングを見計らい、アークを散歩に誘おうとしているらしい。


 オルレアはその様子をニコニコと眺めている。


 アークにはまだ聞こえていないらしく、デザートを食べている。


「お散歩でもどうですかお散歩でもどうですかお散歩でもどうですかお散歩でもどうですか」


 ユウニがアークを見つめ、ボソボソと同じ言葉を繰り返している。


 それに気付いたアークが、ユウニを見た。


「どうしたんだユウニ。デザートが欲しいのか? 別にあげても良いが、あと少ししか無いぞ」


 アークは、自身が食べている途中のデザートをユウニに差し出した。


「アーク様が口をつけられたデザート……なんて罪な人なのでしょう。私の心をもてあそぶ気なのでしょうか。それでも私はアーク様が口をつけられたデザートを……」


 ユウニはブツブツと呟いた後に、


「な、何を差し出されているのですか。まだ婚約もしていませんのに、そんな間接的にキッ……キッ……」


 そこまで言ってユウニは力尽き、机に突っ伏した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ