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笑顔の破壊力が物理的な破壊力!ー世界最優の兵器は、少女の笑顔でしたー  作者: ぽこむらとりゆ


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笑顔の破壊力 lv.95

「誤解を解きたかったんだ……あと、ヨウリの事はあまり真剣に考えないでくれ……と言いたい所だが、ヨウリの名誉の為に言っておく、あいつは本当に誰にでも告白するような奴じゃない……すごく……良い奴だ……」


 アークは、唇から血が出てしまうのではないかと思うほどに噛み締めている。


「そうなんだ……」


 ヨウリに言われた事を思い出した。


「私、初めて告白された。何だか変な感じ」


 私が言うと、


「レイちゃんに結婚はまだ早いですよ。レイちゃんはまだ16歳ではないですか。そして、これからも16歳なんですよ? もう少し大人になってから考えましょう」


 オルレアが必死に私を説得している。


「ははは」


 私はその様子がおかしくてつい笑ってしまった。


「恋愛とか結婚とか私には難しいよ。ヨウリ様がどれだけ良い人だとしても、今はまだ何も考えられないかな」


 せっかく大切な友達が出来たばかりなのに、恋愛にまで頭がまわらない。


 恋愛小説や漫画を読んで、幸せそうな2人に心が和んでも、実際に体験してみたいと思った事は無かった。


 私は笑顔が引き金になり、周囲を破壊してしまう恐ろしい能力を持って生まれたのだ。


 そんな私が、誰かと生涯を共にするなどありえない。


 私の神力を受け止められる人なんて……。


「……今は? 今はって言ったか? ちょっと待ってくれレイル! 君を好きなのはヨウリだけじゃ……」


 ……いた。


 でも、大切な友達であり、仲間であるアークと恋愛なんて考えられない。


 アークは焦ったように何かを言っているが、考え事をしていたせいで何も聞こえなかった。


「オルレアの言う通り、私にはまだ早いんだよ。それよりも王宮を案内してくれるんでしょ?」


 私が言うと、


 アークは嬉しそうに笑い、


「そうだな! この話は終わりだ! うーん、王宮で2番目にレイルが好きそうな所は……」


 と考え始めた。


 するとオルレアが、


「庭園なんてどうでしょう? 色とりどりの花々が年中咲き誇っているんですよ」


 と言って目を輝かせた。


 オルレア自身が行きたいのだろう。


「いいね。私もこの世界に来て植物が好きになったし、王宮の庭園は凄そうだから見てみたいな」


 私が答えると、


「じゃあ案内は俺がする。王宮は広いから迷わないように、俺から絶対離れるなよ」


 そう言ってアークは、先頭で歩き出した。


 王宮は物凄く広い。アークが言うように、1人で歩くと確実に道に迷ってしまうだろう。


 アークもオルレアも、王宮内がどうなっているのか熟知しているようだ。


 貴族であるアーク、聖女であるオルレア。


 本当にすごい人達と行動を共にしている。


 庭園か……。小説や漫画の中でも、恋愛ものに出てくるイメージがある。


 実際、『王宮』といえば『庭園』という程に、ファンタジー小説の中で王宮と庭園はセットである場合が多い。


 それはヒロインが可憐な女性で、だいたい相手が王子様だからだ。


 私がチラッとオルレアを見ると、オルレアもこちらを見ており、目が合うと笑ってくれた。


 私も笑い返す。


 オルレアは何をしていても絵になる。こういう子がヒロインに相応しい。


「オルレアは恋愛したいとか思った事ある?」


 と私が聞くと、


「いいえ! ありません。私もまだ16歳ですから」


 オルレアは16歳を強調した。


 確かに、実際に生きている年数と年齢が違うこの世界でオルレアは16歳だ。


「私は『聖女の塔』で暮らしているので、王宮内には詳しいんですよ。庭園にはよく行くのですが、庭園の花達もレイちゃんのお庭の植物達同様、いつも幸せそうなので庭園に行くと私も幸せな気持ちになるんです」


 オルレアは本当に植物が好きなのだ。


 緑の精霊王であるヴェルデの子供だ。当たり前といえば当たり前なのかもしれない。


「オルレアが近くにいてくれて花達も嬉しいだろうね。オルレアがそこまで言うって事は、王宮はさすがに設備や手入れが行き届いてるんだね」


 私が言うと、


「そうなんですよ! レイちゃんのお家のお庭は一定の気候を保っていて、植物達に最適な環境なので、ほとんど管理が要りませんよね? ですが王宮の庭園はそうでは無いので、庭師の方々が毎日管理されているんです」


 オルレアが庭園について語りだした。


「実は庭師、というのはエルフの方々がされているんですよ。エルフは人間と違い、自然と共に生きているので、花達の少しの変化にも気付けるそうなんです」


 話が止まらない。


「もちろん気候を一定に保つため、魔道具で光魔法を庭園全体にかけています。これは、お父様とサンチにいらっしゃる光の精霊王、ランプ様監修の元に作られた魔道具でして……」


「レイル、着いたぞ!」


 オルレアの話を聞いているうちに庭園に着いたらしい。


 花の良い香りがする。


 庭園の方に目を向けると、均等に色とりどりの花が植えられており、その種類の多さにも驚かされた。


「きれい……」


 私が呟くと、オルレアはニコッと笑い、私の手を取り、庭園の中に入っていく。


「王宮の庭園は、オルカラ王国一の規模を誇っていて、年に数回一般開放もされているんですよ。国民全員に、とは流石に難しいので、抽選で選ばれた方のみになりますが」


 オルレアは私の手を引き、庭園を歩きながら言った。


 庭園に咲く花は、薔薇やコスモス、紫陽花(アジサイ)やジギタリス等、図鑑で見た事のあるものが沢山あったが、所々に見た事のない花が咲いている。


 この世界特有の花なのだろう。


「俺は、王宮に来ても庭園に立ち寄る事は殆ど無いが、たまに来ると良いものだよな。空気が綺麗で心が洗われる」


 アークが言った。


 確かに、この世界の植物は、空気を綺麗にする作用が強いように感じる。


 深呼吸をするだけで、ものすごくリラックスできる。


「やっぱり自然は良いよね。私もすごく安らぐよ。庭師さん達は……」


 と言いながら、私は庭園にいるという、庭師を探したがどこにもいない。


 そういえば、王宮内を歩いている間、ヨウリとユウニ以外の人に会っていない。


 王宮で働いているはずの人々と、一切会わないなどあり得るのだろうか。


 庭園の中を歩きながら、辺りを見回す。


 やはり、誰もいない。


「ねえ、王宮っていつもこんなに静かなの? 王宮に来てもいつもすぐ部屋に篭ってたからあまりわからないんだけど、ここで働いている人達はどこにいるんだろう」


 私は疑問を口にした。


 オルレアとアークも立ち止まり、辺りを見回す。


「確かに、静かですね。皆さんどこかに集まっているのでしょうか」


 オルレアが言うと、


「そういえば、ヨウリも最近忙しいって言ってたよな。ゴウカの件で、王宮の人間もいつもと違う仕事をさせられてる可能性はあるな」


 アークは、何か心当たりがありそうな言い方をした。


 ゴウカの件で……考えたところで検討もつかない。


「逆に言うと、今王宮は貸切状態って事だよね。ちょっと気が楽かも」


 私はまだ、人が沢山いる所に行くのは勇気がいる。


 この世界に来て、少人数だと割と平気という事がわかった。


「では、この機会に回れる所は回ってしまいましょう」


 オルレアが言うと、


「レイルを連れて行きたい所があるんだが、絶対に人がいるんだよな。静かに回りたいならそこは飛ばすか」


 アークは少し残念そうだ。


 庭園はオルレアが来たかった場所だ。


 次はアークが行きたい場所にしても良いかもしれない。


「いいよ。アークが言うなら変な人がいる訳じゃないだろうし、連れて行ってよ」


 私は笑顔でアークに言った。


「オルレアもいいか?」


 アークがオルレアに聞いた。


「レイちゃんが行くのなら、私も行きます」


 オルレアが答えると、アークは嬉しそうに笑い、


「ありがとう。じゃあ、少し歩くが着いてきてくれ」


 と言って歩き出した。

 

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