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笑顔の破壊力が物理的な破壊力!ー世界最優の兵器は、少女の笑顔でしたー  作者: ぽこむらとりゆ


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笑顔の破壊力 lv.80

 すると、ゴウカにいる魔人が、騒がしく話し始めた。


 私は、ルルの声がした方に目を向ける。


 「何でルルがここに……」



 目を、合わせてしまった……皆が言っていたのはこれか。



 完全にルルの声だった。


「何がですか?」


 ルルの声。


「何ガデスカ?」


 知らない声。


 目の前の魔人の見た目は、14歳くらいの女の子。


 ルルの見た目の歳と変わらない。


「何ガデスカ?」


 私の言葉と、この魔人の言葉が丁度噛み合ってしまった。大切な人の声に聞こえる魔人の能力。


 ここまで似ているとは。


「う……動け……な……」


 私は体を動かそうと足掻くが、バッチリと魔人と目を合わせてしまっている。


 体がビクともしない。


 動けない……恐怖が押し寄せる。この状況に気付いている人は……いない。


 魔物と魔人で溢れたゴウカは視界が悪い。魔人が無意味に話す言葉がうるさい。


 何でこんな時に……。


 目の前で魔人が口を開ける。


 ゴオオオオッという音が聞こえ、暗い闇が私を狙う。


「ルル、オルレア……ごめんね」



 その時、



「ご主人様!」


 ルルの声だ。また、魔人が私を呼んでいるのか。


「ご主人様!」


 違う、本物のルルがここに来た。


 来てしまった……。


 来させてしまった……。


 ルルは、私の前に立ちはだかった。


 すると、私とルル以外のものが辺りから消えた。場所は変わらず、ゴウカの砂漠。


「ふっふっふー! もう、ルルは消える事が確定いたしましたので、最後のワガママでご主人様とのお時間を頂きました!」


 嬉しそうに悲しそうに笑ったルルを見て、ルルの覚悟が伝わってきた。


「何で? まだルルは何もしていないんだから、確定じゃないでしょ? 早く戻ってよ!」


 私は焦っていた。


 ルルがいなくなってしまうのが怖くて、強く言ってしまった。


 そんな私の気持ちが伝わったのか、


「答えはノーです! ルルが引き下がってしまうと、ご主人様が、あの気持ち悪い口から放たれる黒魔法で、命を落としてしまいます! そんなの見過ごせませんよ!」


 ルルは、両手でバツを作り、いつものように悪口を混ぜながら、軽い口調で話す。


「私は何とか出来たよ、何とか……出来るんだよ……」


 嘘だ。どうにも出来なかった。


 誰にも見つけてもらえず、1人で死ぬ寸前だった。


「ルル、消えるなんてだめだよ。ずっと一緒にいるって言ったよね? 私なら大丈夫だから、早く……」


 私は言葉が出なかった。


 こんなに胸が苦しいのは初めてで、こんなに怖いと思ったのも初めてだった。


 ルルは、こちらを振り向き、いつものように無邪気な笑顔を見せ、言った。


「ご主人様、強がりはダメですよ? ルルにはご主人様のピンチを察知する、ルルセンサーがあるのですから! 誤魔化しはききません!」


 そういうと、ニッと笑って続けた。


「初めてご主人様にお会いした時、ご主人様はこの世界に来られたばかりで、ご両親の痕跡が消えてしまったお家をご覧になり、怒りと悲しみが入り混じったお顔をされていました。そのお顔を見て、ルルがこのお方を笑わせようと心に決めました!」


表情は笑っているが、目には涙が滲んでいる。


「ルルは幸せでした。ご主人様と毎日一緒にいられて……一緒にお茶をして、笑い合って、大切な仲間も出来ました!」


 いつもの明るい声……太陽のような女の子。


「もっと一緒にいたかったです! ずっと一緒にいたかったです! 泣かないで、笑ってください! ルルはご主人様の笑顔が大好きなんですから!」


 ルルは、泣きながら私の顔を見て笑った。


「ルル……嫌だよ。どこにも行かないで!」


 涙が止まらない。


「ルルも同じ気持ちなんですよ? でも、ルルはご主人様のお世話係です! ご主人様に何かあれば、ルルが助けるんです!」


 ルルはそう言うと、私に背中を向け、


「ご主人様は、これから長い時を仲間達と共に過ごすのでしょう。ルルはご一緒出来ませんが、もしも何百年、何千年先の未来に、ご主人様がお空に帰る日が来たら、またお会いしましょう! その時、ご主人様のお話を沢山聞かせてください!」


 と言うと、ゴウカの風景が元に戻った。


「ご主人様、大好きです! 絶対に幸せになってくださいね!」


 最後にこちらを振り向き、満面の笑みを見せたルルが、手の平を魔人に向け、『神力』を放った。


 そうか……ルルは神の子だから。


 ドッカーーーーーーン!!


 物凄い音と衝撃に身構える。


 やはり、ルルは私よりも強かった。


 私の動きを止めている魔人がいる一帯が消えたと同時に……ルルも消えた。


「……ルル? ねえ、ルル!」


 ……私のせいだ。


 もしも、笑えていたら、今、私が笑えていたら、ルルが消える事はなかった。


「レイル! 今凄い爆発が……」


 アークがこちらに駆け寄ってきた。


 ルルが着ていた戦闘服と靴に腰袋、それと、ルルが持っていた小さな旗が2つ落ちている。


 私は、それらを綺麗に畳んで、腰袋にしまった。


「ルルが来たのか……レイルを守って消えたんだな」


 アークは状況を理解したようだ。


「レイルに何かあったんだよな……俺が助けるって言ったのに……ごめん……ごめんレイル……ルル……」


 アークが泣いている。


 アークは、ルルにいつもからかわれていた。もうそんな光景も見られない。


「私が、油断しちゃったんだ。ルルの声で話しかけられて、魔人と目を合わせた。動けなくて、声も掻き消されて、1人じゃどうしようもなくて……」


 流れる涙を止めようと、必死に歯を食いしばる。


「レイルのせいじゃない。大切な人の声は、誰にとっても特別なんだ。それを罠として利用する奴らが悪い」


 泣いていたアークの表情に、怒りが浮かび上がる。


「もううんざりだ。俺の大切な人達を傷つけるこいつらに! なんでこんな奴らがここにいるんだ……何で……」


 アークは拳を地面に打ち付ける。


 その声は皆にも届いているようで、


「どうしたんだい? アーク、そっちが大変ならダンを送るよ」


 ゼンが、こちらの異様な空気を察して声をかけてくれた。


 アークは深呼吸をして、両手で頬をパンッと叩き、


「いえ、大丈夫です! 俺は勇者ですよ。ここは任せてください」


 冷静な声で、力強く言った。


「さすが勇者様だ。少し変わった空気を感じたから、何かあったのかと思ったけど、ぼくの勘違いのようだね。そっちにはレイルちゃんもいるようだし、そこ一帯は2人に任せるよ」


 ゼンが言うと、


「レイル、笑えるか?」


 アークがこちらを向いて聞いてきた。


 私はルルの言葉を思い出す。


『泣かないで、笑ってください! ルルはご主人様の笑顔が大好きなんですから!』

 

 泣きながら笑うルルが、私に残した言葉。


「ルルが言ってくれたんだ。私の笑顔が大好きだって」


 そう言って私は、魔物と魔人の群れを指さし、笑顔を向けた。


 ルルが私を守ってくれた。


 私が落ち込んで立ち止まってどうする。ルルは絶対にそんな事を望まない。沢山敵を倒したら、カッコいいと褒めてくれる。


 ドッカーーーーーーーーーン!!!!


 大爆発が起きた。


 一発で数百体が吹き飛ぶ。


 あんなに騒がしかった魔人も静かになり、変な空気が漂う。


「今の威力、今までで1番じゃなかったか?」


 アークは顔を引きつらせて言った。


「ああ? 何だ今の。敵の攻撃か? てめえら大丈夫かよ。どこかにクソやべえバケモンがいるぞ、警戒しろ!」


 ジェットが叫ぶと、


「いやいや、ジェットさん。あの人の仕事ですよ、レイルさんが大爆発を起こしたんですよ」


 イシスが大きな声で返事をする。


「仕事じゃなくて、仕業(しわざ)なんだろ? レイルという人間にしては、ものすごい威力だったんだろ? どういうことなんだろ?」


 グランがツッコミを入れる。


 今の威力は、楽しいや嬉しい等の感情からではない、ルルを想う気持ちからのものだ。


 自身の撃ちたいという感情よりも、人を思いやる心から撃つ神力は、とてつもない力を発揮するらしい。


 さっきのルルが放った神力も……。

 

 私は、眼鏡をかけ、また涙が出そうになるのを堪えた。


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― 新着の感想 ―
えええええ! そんな…ルルさんが… ふっふっふーで嫌な予感がしたんですよ!悲し過ぎです! 復活!エリクサー的なやつで! 妖精王の7つのアレを集めて復活期待です!!
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