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笑顔の破壊力が物理的な破壊力!ー世界最優の兵器は、少女の笑顔でしたー  作者: ぽこむらとりゆ


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笑顔の破壊力 lv.75

 イシスを中心に広い範囲で爆発が起きた。


 イシスは吹き飛んでしまっただろうか……。広範囲を砂が覆っており、何も見えない。


 カキンッガキンッキンッ


「クソ虫の割には動けるじゃねえか。だが、俺と張り合えると思うなよゴミが」


 意外にも、ジェットがアークを褒める声が聞こえた。語尾に文句をつけないと話せないのだろうか。


「ジェット、君も中々やるな。だが、俺と張り合えると思うなよ」


 まさかアークがジェットの言葉を真似して、意図的に煽り返すとは驚いた。


「お前マジで死ねよ」


 ジェットが怒りを含んだ声で言った。


「それは出来ない」


 アークが答える。


 ガキンッカキンッキンッキンッカキンッ


 剣がぶつかり合う音が聞こえる。2人の実力は拮抗(きっこう)しているのか。


 何だか嫌な予感がする……。


 私は反射的に高くジャンプした。


「あれ? 何故わかったのでしょう。ボクは完璧に存在を消していたのですが」


 ガッと鋭い爪を突き立て、地中からイシスが攻撃してきた。イシスはモグラのように地中を移動できるらしい。


「存在じゃなくて気配でしょ? 構ってもらいたくてわざと間違えてるのかな。寂しいの? イシス」


 私は笑って言った。


 ドッカーーーン!


 目の前で爆発が起こる。


 イシスはまた地中に潜ったようだ。


 土が髪や服に付いていないのが不思議だ。何か魔法を使っているのだろうか。


 私は眼鏡をかけ左手で丸を作り、左目で覗く。


「イシスはどこにいるのかな」


 顔が綻ぶ。


 ……いた。


 標的をゼンとダンに変えたらしい。


「ゼン様、ダン! イシスがそちらに向かっています。地中に撃ち込むので衝撃がくるかもしれません」


 2人に警告をしてから眼鏡を外した。


「イシス、逃げたらダメでしょ」


 そう言って笑った。


 ドッカーーーン!


 イシスが地中から飛び出してきた。


「ジェットさん。ボクあれの相手嫌なんですけど。土に潜っても見つかりますし、何よりあの威力はとんでも出来ません。ほら、また足がどこかに行きましたよ」


 イシスが吹き飛んだ足に魔力石を捩じ込もうとする。


 私がイシスを指さし、神力を撃とうとすると、また黒い石が銃弾のように複数飛んで来た。


「とんでもじゃなくてどうにもなんだろ? グランも戦いたくないんだろ? ジェットも相性が悪いんだろ? イシスしか石を持っていないならイシスが戦うんだろ?」


 グランが言うと、ジェットもそれに反応して、


「俺とグランで他のクソ虫共を殺す。そっちのやべえ奴はイシス、お前が時間稼いどけ」


 ジェットは私を指さした。


「何で君は俺に勝てる前提で話してるんだよ。力の差は殆ど無いだろ。君に俺は殺せないぞ」


 アークが言った。


「黙れ」


 ジェットは相当怒っている。


 カキンッカキンッキンッキンッガッ


「もう片方の腕も変形させたほうが楽に俺を倒せるんじゃないか? まさか、片方しか変えられないのか?」


 アークは、ただ単に気になる事を質問しているだけなのだろうが、ジェットの苛立ちを募らせている。


 2人の猛攻を見ていると、余りの速さにワクワクした。


 ゼンとダンの方を見ると、先程の爆発で視界が悪く結界を張っているようだ。申し訳ない事をした。


 イシスは、足が元に戻っている。回復されてしまった。


「えーボク本当に消えちゃいますよ。ジェットさんとグランさんも手がかかっているじゃないですか。それらを殺すのを待っていられませんよ」


 イシスが無表情で不満気に言った。


「手がかかってるじゃなくて、手こずっているなんだろ? グランもすぐにこの2匹を倒せる訳じゃないんだろ? その攻撃はイシスしか対応できないんだろ?」


 グランがイシスに言う。


「そんなに話してる余裕あるのかな?」


 ゼンが指をパチンと鳴らすと、ダンがグランの後ろにワープし、透明の大きな(とげ)のついたヤスリで背中を削った。


「がああああ。これは陰湿な攻撃なんだろ? こいつにやられた所はチクチクして気持ち悪いんだろ?」


 グランは、背中を手で撫でるような素振りをしながら言った。


 削れた箇所が回復していく。やはり、神力でない攻撃で受けた傷は簡単に治るようだ。


 魔人は服を着ているが、グランの削れた服も回復した所を見ると、服も魔力か毒かで出来ているようだ。


 確かに、『核』から出現した魔人が服を着ているのはおかしい。


 よく見ると、他の2体も吹き飛んでいた服ごと再生していた。


「うわあ……」


 ゼンの不快そうな声が聞こえた。


 そちらを見ると、グランが口を大きく開け、口の中から先程の黒い球を20個ほど出し、自身の周りに浮かべている。


 こうなると、ゼンは結界にこもらざるを得ない。


 グランがまた口を大きく開けると、先程、魔人が出していたヘドロのような黒い毒を地面に流し出した。


 ダンが毒に強いといっても、全ての毒を浴びても平気というわけでは無いらしく、こちらも硬化させた毒の上に避難している。


 ゼンは魔法で足場を作り飛び移った。


 毒対毒の戦いは不毛ではないのだろうか。


 毒を打ち消す毒を使っているのなら、いつか決着が着くのかもしれない。だが、今の所、グランにダメージは無さそうだ。


「ダン、ぼくは何も出来ないから、ワープで援護しつつ応援するよ」


 ゼンが楽しそうに言った。


 毒に溢れた場所で笑えるとは……。これもゼンにとっては劇を観にきているようなものなのかもしれない。


「ワープなんてさせられると、わたくしは毒の中に落ちてしまうので遠慮しておきます」


 ダンがまた、白い毒の霧を発生させ、黒い球がジュワッと溶ける。


 そして、透明の手の平に収まる程の大きさの球を地面を覆う黒い毒の中にドボンッと投げ入れた。


 すると、シュウウウウウウッという音と共に、地面の毒が蒸発していった。


 周りには毒ガスが発生しているらしく、ゼンが慌ててワープで距離をとり、結界に入った。


 皆の戦いを観戦していると、私の左前にいるイシスが何やら動いた。


 針のようなものを投げてきたようだ。針の数はぱっと見た感じで15本。


 何の針なのか、毒でも塗られているのだろうか。知りたい。


 私は、針に向かって小さく笑った。


 パチッという音が鳴り、パラパラと針が地面に落ちる。


 私は目の前に落ちた針を観察する事にした。


 黒く細く尖った針。骨のような質感に見える。毒では無いのか……針の先端が白くなっている。この白いものが毒なのだろうか。針を触ると毒が指についてしまうかもしれない。


 そういえば、先程食べたスティック型の食料の包み紙を腰袋に入れていた。それを取り出し針の1つに巻きつけ持ち上げる。


 どうやら、先端以外は触っても大丈夫そうだ。先端の毒は魔人にも効くのだろうか。


「本当になんなんですか」


 と呟きながら、私が針を観察している間にイシスが地面に潜った。


 チャンスだ。


 実際にした事はないが、神力の修行をした時のルル特製の(まと)を思い出し、ダーツの要領で拾った針をグランに投げた。


 グランの頭に刺さる。


 グランは残った左手でそれを抜くと、


「いでででで。イシスどういう事なんだろ? グラン……に……当てる……な……ん……」


 話しながら目を閉じた。


 ごーごー、といびきをかきながら眠っている。


 どうやら、イシスの針には魔人も眠る強力な睡眠薬の様な毒が塗られていたらしい。魔人で眠るのなら、人間はひとたまりもないだろう。


「レイルちゃん……今何をしたんだ。魔人を眠らせるだなんて」


 ゼンは驚いたのか、声が震えている。顔が緩んでいる所を見ると相当嬉しいようだ。


「目の前で眠ってもらえると助かります。トドメをさしましょう」


 ダンがヤスリを剣の形に変え、振りかぶった。



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