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笑顔の破壊力が物理的な破壊力!ー世界最優の兵器は、少女の笑顔でしたー  作者: ぽこむらとりゆ


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笑顔の破壊力 lv.3

 次に開いたページには、異世界へ行くと、どれほどの恩恵が与えられるのかが書かれていた。


【[思話(しわ)]で話したい三人を本に書き込む。フルネームでなくても、本人がその人が誰かを理解していたら、どう書いても良い。尚、名前を書いた日から効力が発生する】


 さっき見たやつだ。


 世界と世界を繋げるのってタブーなイメージだけど、それができるほど強い権力がある人が作った本なのかもしれない。


 本当に神様なのかも。


「これは、今書いた方が良いよね。書き忘れて思話(しわ)が使えなくなったら、死ぬまで後悔しそう」

 

 私は名前を書き込む欄があったページを開き、テーブルに置いてあった、ボールペンを手に取り、一人目に『お父さん』二人目に『お母さん』と書いた。


 それを見て父は


「本当にフルネームじゃなくて良いのか? 漠然とした名前だとその思話(しわ)が繋がらないんじゃないか?」


 と不安そうに私を見た。


「説明欄に、どんな書き方をしても良いって書いてるんだから大丈夫よ。もしこれでダメだったら、この本の作者を生涯をかけて探し出して、責任を取らせれば良いわ」


 いつもの穏やかな母とは思えないくらい、悪い顔をして母は言った。


「この本が普通じゃないのはわかるし、ちゃんとルールが書いてあるのに、嘘でしたはありえないと思うんだよね」


 私はなぜか、この本に書かれている事は全て事実だと確信していた。理由は自分でもわからない。


 残りの一つには『神様』と書いた。


「いるのかわからないけど、こんな力をこの世界で私に与えた神様には文句言いたい。他に書く人もいないし、一年後に思話(しわ)が繋がればラッキーかなって」

 

 両親から何かを聞かれる前に、言い訳をした。


 父は「ハハハッ」と笑って


「れいるにそんなにかわいい所があったなんてな。神様か、良いんじゃないか」


 と嬉しそうに言った。


 母は隣でニコニコしている。


 二人とも、私が幼い子供みたいに見えていそう……あんまり突っ込まれないのなら良いが。


「えっと続きは……特別な眼鏡の説明が書いてあるんだけど、これって第六の世界にしか無かったよね?」


 続きを読み進めると、第六の世界の特典である、『特別仕様の眼鏡』の説明が書かれていた。


 この本は、第六の世界を選ぶ前提で作られているのかもしれない。転移詐欺だ。それでも行くけれど。


「本当ね、お父さんと見ていた時はこんなページ無かったわよ。でも、不思議な本だからあまり驚かないわね」


 母はにこやかに言った。


 第六の世界を選んだから、新たにページが増えたのか。


 普通に考えて作者(おそらく神様)も特定の世界に誘導するメリットも無いだろうし、考えすぎなのかもしれない。


 ここで父が口を開いた。


「他の世界の特典は、公爵位・不老不死・チート能力のような、イメージがしやすいものだったもんな。眼鏡だけ異質の特典だから書いてあるんじゃないか? そもそも眼鏡が特典って書いてある時点で、この本はれいるのために書かれたものだと改めて思わされるな」


 また嬉しそうに……。


 今までは、一ページずつしっかり見て考えていたけれど、先のページも見てみる。


 何故、始めから全部読まなかったのだろう。


 こんな怪しげな本、まず全部見てから考えないとおかしい。


 両親が先に全部読んでいたから、安心しきっていたのか。


 説明がつかない現象があると、すごくモヤモヤする。


 眼鏡の説明が書かれているページを飛ばし、後のページをパラパラとめくってみる。


 この先は、第六の世界の特典【住み慣れた家】に関する説明と【異世界へ行くにあたっての注意点】が書かれていた。


「第六の世界の説明しかない。二人が見た時も他の世界の説明はなかった?」


 私が両親に問いかけると、


「父さん達が見た時は、十ページもなくて、六つの世界の説明と思話(しわ)で話したい人を書くのがメインのようだった。なぜかページが増えているな。だが、父さんも母さんも安心できるから、細かい説明があるのはありがたい。」


 そう言うと、父は母と目を合わせた。


 二人とも順応が早すぎる。


「とりあえず眼鏡の説明から見ていこう」


 私は本をめくり、眼鏡のことが書いてあるページに戻した。


【特別仕様の眼鏡】


 眼鏡には色々な便利機能がついているらしい。


・ズーム機能(望遠鏡のように遠くを見る事ができる)


・文字の翻訳(ほんやく)(異世界語の読み書きができるようになる)


・十六年間で読んだ本全てを眼鏡を通して読む事ができる。


・異世界の生き物が(まと)う色が認識できるようになり、その色により、人ならどんな人なのか等がわかるようになる。(使うのにはコツがいる)


 ズーム機能使う事あるのか。という疑問はあるけれど、文字の翻訳(ほんやく)は素直に嬉しい。今まで読んだ本を読み返せると言う事は、小説の他に読んだ、専門書や漫画、図鑑も読み返せる事になる。


 ファンタジー小説や異世界漫画も数え切れない程読んだ。


 不測の事態に備えられるかも。また読み返さないと。


 異世界の生き物が(まと)う色……か。こういう設定の本を読んだことはあっただろうか。


 悪い人間からは黒いモヤのようなのが出ている的なやつかもしれない。結構プライバシーを侵害(しんがい)する気がする。


 そう考えると、異世界あるあるの『鑑定スキル』は最悪なスキルだ。


 名前、年齢、レベル、時には性格、好きな物等が知らない人に知られる。


 恐ろしいスキル……。


 他人の色を無闇に見るのはやめておこう。


 一緒に本を見ていた両親は、眼鏡の機能について話し合っている。


「結構使えそうな機能がついてて良かったよ。眼鏡本体は向こうに行ってから貰えるのかな。上手く活用できるよう頑張るね」


 私は今かけている眼鏡を触りながら言った。


「次は、住み慣れた家の説明だね。この家が異世界にあるってことだと思うけど……」


 本の続きに目を通すと、


【住み慣れた家】の事が書かれているページには、特筆するような事はなく、異世界に、今住んでいる家、思い入れのある場所等を可能な限り用意できるという事と、食料が一年間自動的に冷蔵庫に補充される、という事、最低限の調理器具は用意がされている。


 という、私以外、誰得(だれとく)な内容が書かれている。


「ずっと違和感があるんだけど、至れり尽くせりにも程がない? 作者は私に異世界で何かしてほしいのかな? ここまでする理由ないよね」


 不安になった私に父が、


「父さんもここまで読んで、すごい待遇だなと思った所だった。父さんはれいるの親だからかもしれないが、作者への感謝が大きいな」


 と言うと、


「お母さんもれいるの安全が一番だから、感謝が先に来ちゃった。でも、れいるのために用意された本からして、作者に何か意図(いと)があるのは確かかもね」


 母は、父と私の意見に同意した。


「異世界に行った後の事を今考えても答えは出ないよね。次の異世界の注意点を確認しよう」


 私は注意点が書かれた箇所を指差した。


【異世界へ行くにあたっての注意点】


 異世界の注意点はただ一つ。『魔物がいる』ということだけだった。私が行く異世界で私が暮らす事になるであろう国には大きな街が五つあるらしく、その中の一つが魔物だらけなのだそうだ。今は結界でその街を覆っていて、魔物が出てくる事はないらしい。


 それなら、魔物がいない国に送ってくれたら良いのに。


「魔物がいない国には行けないのかしら?」


 母が(あご)に人差し指を当てている。


「そうだよな。なぜわざわざ危ない国にかわいい娘を行かさないといけないんだ」


 父は腕組みをしながら頷いた。


 考えることはみんな同じか……私は緩みそうになる頬を引き締める。


「まあ、魔物は結界から出られないようだし問題なさそうだよね」


 少し不安だったが私は自分に言い聞かせた。


 父も母も不安そうにしているが、異世界行きを反対されたくない。


「自分で異世界に行く日を決められる珍しいパターンだから、これを有効活用しないとね。異世界に持っていける物とかの記載(きさい)が全く無いけど、手に持ってる物を持っていける可能性もあるし、ちゃんと準備しないと」


 わざと大きめの声で話した。


「お母さんも準備を手伝うわ。抜かりなく準備して、れいるに良い生活をしてほしいからね」


 母は腕まくりをしている。


「そういえば、何でお父さんはこの本を開いて異世界に行けるっていうのが本当だと思ったの?」


 気になっていた事を父に聞いてみた。


「あーそれは」


と頭をかきながら、


「まず、本が軽すぎる時点で普通じゃないのはわかったんだが、本を開くと『異世界に行く方法』って書いてあるんだぞ。表紙にタイトルが無いのも気になったが、普通、そんな胡散臭(うさんくさ)いタイトルは使えないだろう。もし実際に販売しだすと批判が殺到するだろうからな」


 と父が言うと、



「絵本なら普通にありそうなタイトルだけどね」


 母が父に返した。


 確かに絵本ならありそうだ。


 父はそれだけで信じたのか。


 悪い人に利用されるのではと、少し父が心配になった。


「知らない店員が来た時点で怪しいもんね」


 私は伸びをした。


 なんだか現実味がない……。


「出発は、れいるの覚悟が決まったらで良いから、ゆっくり考えて、家族で準備をしていこうね」


 母は、また目に涙を浮かべながら言った。


「今思えば、こんなに長い時間、顔を見合わせて話したのは初めてだな。れいるの新たな一面も沢山見れたのが父さんは嬉しい」


 心なしか、父の目も(うる)んでいるように見える。


 私は今日まで、父と母を避けていた事を思い返した。


「いつも避けてたの気付いてたよね……二人に気を遣わせたくなくて……私の力が危険なのも自覚してるし、言い訳にしかならないけど、今まで本当にごめんなさい」


 私は二人に向かって頭を下げた。


 「気にするな!」


 と言って父は私の頭をガシガシと撫でて、母はまた私を抱きしめてくれた。


 私は、嬉しくて思わず笑ってしまった。


 ハッと我に返り両親を見ると、二人は嬉しそうに笑い返してくれた。


 この日は異世界に行く事を決め、両親との壁がなくなった、私の人生においての特別な日になった。


 混乱したり、泣いたり、笑ったりで疲れたのか、いつもよりぐっすり眠った。


少しでも続きが気になった方は評価・ブックマークお願いします!次回、やっと異世界に行くはずです!

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― 新着の感想 ―
Xの「読みに行く」企画からきました 眼鏡の能力のとんでもない使い方を思いついてしまったんですが黙って続きを読みますね(^ω^ )
Xから来ました。 珍しい設定で最初はネタ枠なのかなって思ったのですが、力を持ったことによるその苦悩が書かれていたのと、両親の愛情が描かれていて....三話を読み終わる頃には引き込まれていました。 な…
なにか目論見があるはずですよね。 異世界で与えられる使命が何なのか気になる。 だって明らかに都合が良すぎるし、もふもふ以外は何らかの課題がある。 そんな世界に行って自分の能力に怯えずにただのうのうと…
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