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笑顔の破壊力が物理的な破壊力!ー世界最優の兵器は、少女の笑顔でしたー  作者: ぽこむらとりゆ


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101/113

笑顔の破壊力 lv.101

「ローズ、レアもレイル様も困っているよ。離しておあげよ」


 ヴェルデが優しい声で言った。


「ごめんね! 二人に会えたのが嬉しくてつい!」


 ローズは、私達を解放する。


「オルレア、ローズさんの隣に座りなよ」


「良いんですか……? では、お言葉に甘えさせていただきます」


 私の提案にオルレアは嬉しそうに笑い、ローズと席に着いた。


 ここでゼンが口を開いた。


「じゃあみんな揃ったね。会議を始めようか」


 早く来たつもりだったが、私達が最後のようだ。


 部屋を見回すと、アークも魔人達もダンもテーブルを囲み座っていた。


 王様は今回も同席はしないようだ。


 また、あの蓄音機のような魔道具で聞いているのだろうか。


 私は空いている席に腰掛けた。


「とりあえず、ぼく達が集められる情報は全て集めたよ。じゃあまず、サモラ王国についてだね。首謀者は国王と王妃だったよ」


 ゼンは、言葉は軽いが真剣な表情で言った。


「今回話を聞いたのは、タキ・サモラというサモラ王国の王子なんだ。王子といっても、水面下で反乱の同志を集めて王室を潰そうとしているんだけどね」


 物凄い情報が飛び出した。


 サモラ王国の王子は、両親のしている事を知っているのか、反乱を企てているらしい。


 ゼンは王子にコンタクトを取り、サモラ王国の情報を聞き出した。


「もちろんタキに聞いた後にこちらでも調べて、証拠も揃えてあるよ。ここからは胸糞悪い話になるから、心して聞いてほしい」


 ゼンによると、五人の精霊王を独占するオルカラ王国に、長い間憎しみを抱いていたサモラ王国は、オルカラ王国を落とし、精霊王も国も手に入れようとしたらしい。


 だが、オルカラ王国が『無戦協定』を結んでいる事で、直接手を出す事は出来ない。


 そこで、まず始めたのが、自国にある魔法師団の団員達の家族を人質にし、思い通りの研究をさせる事だった。


 魔法の研究の為に組織されたはずの魔法師団員達は、家族の命を守る為に、国王の命令で黒魔術の研究をする事になる。


 これが始まったのは百年以上前の話で、未だに人質は囚われたままらしい。


「百年以上前なら、五十年前の集団失踪とは関係ないんですね」


 私が聞くと、


「それとこれとは別問題だよ。まあ、集団失踪もゴウカの件に関わってはいるけどね」


 ゼンは悲しそうな顔をした。


「その集団失踪ですが、やはりサモラ王国は、生贄(いけにえ)を捧げ、沢山の命を代償に、黒魔術により魔物を生み出していました」


 ダンの声に少しの怒りが混ざる。


「そして、その魔物にオルカラ王国への攻撃命令だけを植え付け、ゴウカへ転移させて、五十年前の悲劇が起こった、という訳です」


 ここまで話すと、ダンは深呼吸し、自身を落ち着け、またいつもの笑顔に戻った。


 百年以上前から、魔法師団の人達を脅し研究させ、魔物召喚の黒魔術が完成すると、沢山の自国民を犠牲にして隣国に攻め入る。


 そんな王の下に生まれた国民達が可哀想だ。

 

「そんな……集団失踪の原因が生贄(いけにえ)だなんて……それは人……なんですよね……?」


 オルレアが顔を青くして言った。


 ローズが頷き、オルレアを抱きしめる。


「何の関係もない人達を、自分達の野望の為だけに生贄にしたって?」


 アークは俯き、怒りで体を震わせている。


「オルカラ王国を落とす為だけに、サモラ王国の宝とも言える魔法師団を、脅して利用したのだよ。僕たち精霊王がそんな事で味方につくはずがないだろうにね」


 ヴェルデが呆れたように言った。


「そんで、そのクズ共はどうすんだよ? まさか野放しにしてる訳じゃねえよな」


 ジェットが大きな声で言うと、


「当初の予定通りだよ。既にこちらからサモラ王国に部隊を送り、この件に関わった者全てを拘束しているんだ。あの『お二方(ふたかた)』には長い長い苦しみを味わってもらおう」


 ゼンがニヤッと笑った。


 何もない場所で数百年もの時間を過ごす。


 食事も最低限のものを与えられるのだろう。


 話し相手もいない1人だけの空間ならば、考える時間は腐るほどある。反省してくれたら良いのだが……。


「そんな奴らに与えられる罰が退屈だけなんて、人質や失踪者の事を考えると生ぬるいんじゃないですか?」


 イシスはつまらなそうだ。


「退屈は退屈でも極度の退屈だからね。精神操作で1日を何倍も長く感じるようにするんだ。気が狂ったら意味が無くなるから、その前にまた精神操作をかけて正気に戻すのを繰り返すんだよ」


 ゼンはニコニコしながら言った。


 考えただけで恐ろしい。


 死よりも辛い罰は存在するのだ。


「この罰は本当に恐ろしいんだろ? でも奴らに相応しいんだろ?」


 グランがイシスに向かい言うと、イシスは満足そうに頷いた。


 すると、ダンが後ろを向き動かなくなった。


 恐らく誰かと思話(しわ)で話しているのだろう。


 数十秒程でこちらを振り向き、


「王室騎士団、副団長のケイから思話が届きました。囚われていた人々を見つけ、保護したそうです。ですが、百年以上も劣悪な環境に置かれ、衰弱しているので、大神殿で治療出来ないかとの事です」


 ダンはゼンに向かい言った。


 ゼンはニッコリと笑い、


「オルカラ王国にある神殿から神官を集めよう。大神殿には、囚われていた人達が快適に過ごせる部屋も用意しておくよ。カイデンに指揮をとらせるから、ケイにはカイデンに連絡するように言っておいてよ」


 そう言うと、ゼンは指をパチンと鳴らし消えた。カイデンの元に行ったのだろう。


 ダンはまた後ろを向き、ケイと思話を繋ぐ。


 思話を繋いでいる間、目だけが動くのを見られたくない人は、後ろを向くというのはこの世界で当たり前なのだろう。


 オルレアにも教えてあげなければ……。


 人質解放を聞き、部屋の雰囲気が明るくなった。


 ほぼ問題は解決したと言って良い。


 しばらくすると、ゼンが帰ってきた。


「サモラ王国に関してはほぼ解決したね。後は、黒の精霊王ネロがどこに行ってしまったのか、だ」


 ゼンが言うと、


「ネロ君の居場所なら知っているよ」


 ヴェルデが驚きの事実を口にした。


 『ええ!!』


 部屋にいる誰もが驚いている。


 魔人達はあまり状況が飲み込めていないようだが、リアクションはしていた。


「ヴェルデ! 今、ネロの居場所を知っていると言ったのかい? ぼくは今まで何度もネロの話を出したと思うんだけど、何で言わなかったのかな?」


 ゼンはヴェルデに笑いかけているが、その笑顔が怖い。


 確かに思い返してみると、ネロの話をした時に、ヴェルデは何かを言おうとしてやめた事があった。


 それに、ネロなら大丈夫というような発言をしていたような気もする。


 ネロが何処にいるかわかっていたからこその反応だったのだ。


「精霊王は皆、ネロ君の気配を感じられるからね。僕はネロ君が、ゴウカが無くなってしまったから、ずっといじけて一人で遊んでいるんだと思ってしまっていたよ」


 ヴェルデは変な思考をしている。


「ヴェル! 少しでも気になる事があるなら、皆と共有しないとダメでしょ! そんな大事な話ならもっと早くにしなきゃ!」


 ローズがヴェルデを叱りつけたが、全く迫力がない。


『強い女モード』で思い切り叱ってほしい。


 ローズに叱られたヴェルデは、特に気にもしていないようで、ヘラヘラしている。


「まあ、ヴェルデを責めても仕方ないし、探す手間が省けたと思えば良いかな。それで、ヴェルデ。ネロの居場所を教えてくれるかな?」


 ゼンが言うと、ヴェルデはニコニコとしながら、


「じゃあゼン、皆を外にワープさせてくれるかい?」


 とゼンにお願いをした。


 外にネロがいるのだろうか。


 外に出てネロが見つかるのならば、今までだってすぐに見つけられたはずだ。


 ゼンは不思議そうに首をかしげながらも、指をパチンと鳴らした。


 気が付くと、私達は城の外にいた。


 相変わらず浮遊感の無い、素晴らしいワープだ。


「ヴェルデ様、ネロ様の居場所とは何処なのでしょう? 見た感じ、ただ外に出ただけですが……」


 ダンがヴェルデに言うと、ヴェルデは空を見上げ、上空を指さし、


「あそこだよ」


 と言った。


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