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アークのコントロール

「それでさーあっくん。田原の所に協力できたりする?」




俺が配信を終えると、莉乃愛が部屋に入ってきて、定位置のベッドの上に座って相談があると言った。


なんでもミスコン1位だった莉乃愛は、実は毎年恒例の12月のイベントにも出るらしい。


先生の話を聞いてなかったから知らなかったらしい…。


そしてそのイベントは1年生が模擬店を出店し、莉乃愛は彩春ちゃんと茜ちゃんにお願いされて、莉乃愛との写真撮影を景品にするらしい。


更に、商店街の各お店も出店みたいなのを出して、売上1位のお店がショッピングモールに出店できる? 景品があるらしい。


ショッピングモールの出店ってそんな風にできるの…?


まぁ細かいところは莉乃愛の話だからずれてるかもしれないから、一旦置いておこう…。


そして莉乃愛は田原君にも依頼されたが、彩春ちゃんに文化祭で協力してもらったから田原君の方は協力できないと。


そこで莉乃愛が思いついたのが、アークによるOPEXイベントだということだ。



てか、田原君の家ってパン屋さんなんだ…。


将来田原君もパン屋さんになるのかな。


あの田原君がパン屋さん???




い、いけない…。人をそういう感じで見ちゃ…。




「でもさ、パン屋さんとOPEXって紐付かなくない?」


「そこはなんかこう無理やり! OPEXのアイテムみたいなパンを準備してもらうとか!」


「あーーー、シールド回復剤の形したパンとかか…」


「そうそう! わかんないけど! それで、なんか特定のパンを買ってもらった人だけ、アークのOPEX講座の参加権がもらえる的な!」


「なるほど…まぁ田原君は俺がアークなこと知ってるし、これまでも誰にも言ったりしてないみたいだしね」


「それは華蓮にもお願いして完璧なはず! というか多分ガチであいつら忘れてる!」




莉乃愛はドヤ―ッとしながら言った。


そんな都合のいい頭ある…?


あるんだろうな、俺の知らない世界だし…。




「ま、まぁ、別に1日の少しの時間、オンラインで会場と繋いでOPEX教えるのはいいよ」


「勝負したほうが盛り上がる?」




と莉乃愛が顎をつまみながら言った。




「んーどうだろ…。そもそもそんなに人来るかな…」


「まぁ何もないよりはましでしょ! 勝負ってできるの?」


「んー厳密なのは無理かな…。なんか練習場所みたいなところでやることはできるよ」


「んじゃそれも組み込もう!」


「りのあ自分の事じゃないのに一生懸命だね」


「クラスメイトだしねー! 細かいところは田原に考えさせよっと!」




莉乃愛は少し面倒くさそうな顔をしながらも、しょうがないという感じで言った。



こうやって打算とかそう言うの抜きにして、誰かに協力するって凄いな。



なんか今の時代珍しい感じもするけど、莉乃愛はこのままでいて欲しいな。


こうやって俺も巻き込まれるわけだけど、なんか莉乃愛のそんな良さを考えると協力してしまう。



莉乃愛って太陽みたいだよな…。


明るく真っ直ぐ照らされると、その真っ直ぐで暖かな光になんだか感化されてしまう。


暖かいかな…ギラギラしてるかも……。



俺がそんなことを思っていると莉乃愛は立ち上がって、




「あっくんいつもありがとね」




と言って、俺の腕にギュッと抱き着いてきた。


流石に何回かされてるから、爆発はしないけど、もう本当このムニュって感触は毒だ…。




「あ、う、うん」


「んじゃ田原に連絡してくる! あ、もちろん親にも言わないように言っとくね!」


「ありがとう…」




そういうと莉乃愛はバタバタと部屋を出ていった。


アークが出るからってそんなに一般のお客さんが増えるなんてことないような気もするけど…。


俺はそんなことを思いながら、今日は個人勢の方とのコラボ配信なので、配信の準備をした。




そして配信が終りスマホを見ると、グループメッセージが作られていた。


メンバーは、莉乃愛、華蓮さん、田原君といつもの男子二人か。




『幼馴染くんよ、まじでいいのか?』

『別にいいですよ』

『告知もしていいのか?』

『大丈夫ですよ。そんな期待しないでくださいね…』

『期待ってかやばいことならないか田原』

『俺の感覚だとそうなんだが』




え?


もしかして安請け合いしちゃった???


ネットの限られたコミュニティでのアークの知名度だと思うんだけど。


え? もしかしてやばい?


そう言えばこの前goodさんにも言われたんだった…。



実感がなくて忘れてしまっていた……。




『やっぱりまずいかも?』

『幼馴染くんよーーー! そんなこと言わないでくれー』

『こ、今回だけですよ…』

『もちろんだ! そしてまた忘れる! 親にも正体は言わない!』

『ありがとうございます』




一度許可してしまってるわけだし、これはもうしょうがない。


次回から本当に気をつけよう。


もしかしたら全然反響なんてないかもしれないし…。




どうしてもアークがそんなすごい人物だって実感ができない……。




でも、実感ができないからって不注意になっていいわけじゃない…。




俺も事務所所属しようかな…。




正直今のアークの状況を、俺の個人の判断でコントロールできる気がしないな。


今までまったりやりたいからと言う理由で事務所からの連絡は受け流していたのだが、まったりやる為に適切に扱ってもらう必要性を感じてきた。



俺はそんなことを思いながら、今までに届いた事務所からの連絡を見返しだした。

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