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閑話【中里彩春視点】彩春と茜

「菅谷先輩オッケーだってー!」




茜がそう言いながらクラスに戻っていった。




「まーじー! 最高じゃん!」


「まじでそんなにガチでやるんー?」




と、男子がダルそうに聞いてきた。




「当たり前でしょ! 手抜いたら許らないからね!」




と私が言うと、




「いや、でもそこそこ無難にやっとけばいいんじゃ…」


「いいのかな! 私と茜を敵に回すということは…?」




と私が言うと、クラスの女子は皆うんうんと頷いている。


運良く同じクラスになった私と茜は、言ってしまえばこのクラスのカースト最上位だ。


むしろ1年全体でも最上位かもしれない。




「ぐ…お前等怖すぎだろ…」


「えー、別に怖いこととかしないのにねぇ」


「そうそう!」




私も茜も1年の中ではかなりモテる部類に入ってる。


菅谷さんやお姉ちゃんほどじゃないけど…。





入学早々お姉ちゃんが西の中里だというと、何もせずに一気にカースト最上位になった。


私と茜は、これ幸いとクラスの雰囲気を作り出した。



まず、お姉ちゃんが中学時代に苦労していたので、いいも悪いも容姿に対する偏見を一切しないことにした。


そしてアークさんと茜のお兄ちゃんを見て、喋れるか喋れないかとか、暗いとか明るいとかそういう性格に対する偏見もしないことにした。



もちろん暗めの子や、太ってる子なんかもいるけれど、私と茜が積極的にその垣根を壊すことで、今ではもうそんな偏見は一切ない。




その結果、私達のクラスは1年の中で注目されるようになり、学年全体がそういう雰囲気になっていった。



そんな私と茜は、2年になったら生徒会に入って欲しいと既に声をかけられている。



まぁ入らないけど。


流石に面倒くさそう…。




そして今回、菅谷先輩のクラスを見て、クラスイベントは全員で! をモットーに掲げた。




「わかったよー。そういうことだから、全員で本気でやるぞー」




クラス委員の男子はそう言った。




「でもさー、いくら菅谷先輩と写真が撮れて、告知するからと言っても、くじ引きで人集まるかな?」




と私が言うと、




「いやー、なんかないと流石に無理だろうねぇ。景品も他にも必要だし」




と茜が言った。




「どうやって人を集めようか…」




と私と茜が悩みだすと、一人の女の子が小さな声で言った。




「きゃ…キャバクラみたいな感じにしたら…どうかな?」




太ってて、漫画が好きな女の子だ。


一番最初に男子のターゲットになりそうだと、私と茜が突破した子。




「なるほど???」


「ま、漫画でさ、キャバクラみたいな文化祭の出し物があって…。そんな感じにしたら人集まらないかな…? ほら、彩春ちゃんも茜ちゃんも他にも可愛い子いるしさ…他の子は裏方みたいな感じで…」


「あり!!!!!!!!!!!! あ!! 菅谷先輩にもドレスきてもらう???」


「それは私も写真撮りたすぎる!」




と私と茜が盛り上がるとクラス委員が、




「俺達は目のやり場に困るんだがそれは…」


「てか、ドレスとかありなん?」


「いや、聞いてみないとわからん」


「ちょっと聞いてきて」


「へーい…」




そういってクラス委員の男子は出ていき、暫くすると戻ってきた。




「もちろんダメだそうだ」


「なんでーーー!!」


「そんな姿を親御さんに見せれないだって」


「はぁ?!」


「ちなみに菅谷先輩のクラス、1年の時にわなげで申請して当日ミニスカポリスのコスプレで女子が出てきて、10分で閉店させられたらしいぞ。先生が言ってた」


「まじーーーー」




と私が残念そうに言うと、茜が、




「待って! ちょっとあんた、もう一回行くよ!」


「えー」


「ミニスカポリスは確かに実在しないのでダメかもだけど、キャバクラは存在する! 先生のその発言は夜職に対する偏見だ!!!!」




茜がドヤっと言った。




「それは、た、確かに…」


「んじゃ行くよ!」




茜はそう言ってクラス委員を連れて出ていった。


そして暫くして戻ってくると、




「ダメだ。先生もう怒られることを怖がってる! 短いスカートで胸も見えるとかダメすぎるって全然聞いてくれない!」




と茜が腕を組みながら言った。




「いい案だと思ったのになぁ。ごめんねぇ無理そうだわ」




と私が提案してくれた子に謝ると、




「あ、うんん。全然。でも…それだったらホストは…? スーツなら大丈夫じゃない? 漫画であったよ…」


「えー、そんなイケメンいる?」




と私が男子を見渡した。


するとその子が、




「あ、もちろんカッコいい子もそれで出てくれていいんだけど、女の子も可愛い子がホストっぽい格好で髪の毛もオールバックとかでセットして出る感じだとどうかなって…」




というと、クラス全員がその姿を想像した。




「あり!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「聞いてきて!」


「へーい」




クラス委員の男子は再び出ていき、暫くして、




「スーツはOKだって」


「イエーイ!!!! あ、それで菅谷先輩には、動画配信者とか有名キャバ嬢みたいな感じでガチのブランドで固めてもらう?」


「ありよりのあり! モデルのRinoとホストが運営するくじ引き屋!」




茜がノリノリでそう言った。




「てかそれ、予算足りなくないか?」




とクラス委員の男子が言った。




「うーん、確かに。先生から言われた予算だと、景品代すら足りないかもしれないね」


「どうすんだよ…」


「皆で1,000円ずつぐらい持ち寄る?」


「まぁそんぐらいならみんないいだろうけど、どう?」




クラス委員の男子がそう聞くと、特に嫌がっている人はいない。




「まぁこういうのは言いにくいと思うから、もしなんか思うことある人は、俺に個別でLimeしてー。でも、それでも3万ちょいしかないぞ? 衣装代とかやばそうじゃね?」


「あ、衣装、私なんとかしようか?」




そう一人の女子が言った。




「え、できるの?」


「あ、うん。うち縫製工場やってるからさ、パターンさえ準備してくれれば、生地は仕入れ値で格安で出来ると思うよ?」


「おお!!!!!」


「あーんじゃ俺の母ちゃんパターンナーやってるから書いてもらうわ。デザインもできるんじゃないかな多分…」


「私の家のお父さん、商社で布仕入れてるって言ってたから、格安で卸せないか聞いてみるよ」


「そしたら、俺の家大工だから、ちと意見もらいつつセット考えるわ」


「私達でSNS運用するよ」




とクラスの子達が話し出した。


もう親の力フル活用だが、これもクラスの力だよね!




こうして私達は、モデルのRinoとホストが運営するくじ引き屋の準備を始めた。

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