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実感がない

そして帰りの電車に揺られていると、




「ねーねー、あっくん」


「どうしたの?」


「わたし進路決めた!」


「へぇ、どうするの?」


「モデルか女優かなんかそう言った感じの事やる!」


「そ…そうなんだね…決めたという割には幅が…」


「いいのいいのそういう細かいことは!」


「ま、まぁ…」


「ステージ立ってみて楽しかったからさ!」


「そ、そっか…既にモデルやってるし、りのあならできるんじゃないかな…」


「でもさ、ああいうのってどうやってなるの?」


「え、いや、俺もわからないな…」


「ま、いっか! なんとかなるっしょ!」


「そうかな…」


「あっくんはどうするの?」


「んー…まだ決めてない」


「ちなみに大学行かないってなると、何するの?」


「当面は動画配信かもしれないけど、俺としてはプログラミングやりたい気持ちがあるんだよね」


「プログラミング…?」


「んー……ゲームを動かす仕組みみたいな…」


「あーーー、ゲーム作りたいってことね!!!」


「あ、いや、ちょっとってか結構違うんだけど…」




と言うと、莉乃愛は明らかに頭の上に「?」が出てる感じになってる。




「んーーー、まぁそんな感じだから大学行く必要あるかなと思って…」


「よくわかんないけど、あっくんが帝都にいるならそれでいい!」


「ま、まぁそれは間違いないね…」


「良き良き!」




そう莉乃愛は言うと、ルンルン♪みたいな感じでスマホを見だした。









そして家に帰りパソコンを起動すると、ディスボにgoodさんからメッセージが届いていた。




『アークちょっと相談あんだけど』

『どうしました?』




少し時間がたってしまっているが俺が返事をすると、直ぐに返事が返ってきた。




『音声いける?』

『大丈夫ですよ』




俺はイヤホンをつけてマイクをオンにすると、ディスボのボイスチャンネルが始まった。




「お疲れ様ですー」


「おつかれー! 悪いね!」


「いえいえ、どうしましたか?」


「アークさ、直近で事務所所属する予定ある?」


「いえ、お誘いはすごい来てるんですが俺はまったりやりたいんでー」


「そうか。うちもいつでも歓迎だぞ!」


「あ、はい。ありがとうございます」


「そんでな、直近事務所に所属する予定がないなら、一つお願いがあるんだが」


「なんでしょう?」


「2月にさ、うちのチームで一般も参加するOPEXの大会開く予定なんだけどさ、解説で出てくんね?」


「いいっすよ。解説として成り立つかわかりませんが」


「え? いいの?」


「いいっすよ?」


「え、待って。待った。お前、自分の状況わかってない?」


「え?」


「普通お前ぐらいなると金とるぞ?」


「あ…」


「いつまでも個人の冴えない配信者の感覚でいると大変なことになるぞ?」


「完全に、登録者数百人の気分でした…」


「いや、それまじで危険だから気をつけろよ?」


「すいません…ありがとうございます」


「まぁ今回はうち主催なんで、俺から少し出すように言っとくから、そんな大した金額じゃないと思うけどいいか?」


「いいですよ! goodさんのお願いなら無料でもいいです」


「いや、それは嬉しいけど、流石に今後のアークに悪すぎるから少しは払うわ」


「そっすか。ありがとうございます」


「おうよ! ただ本当金額は期待しないでくれな?」


「大丈夫ですよ!」


「いやーまじでサンキューだわ」


「俺でいいんすか?」


「アークはどう思ってるかわからんが、個人勢でしかもナナイロの配信者とあれだけ一緒に配信できるのお前だけなんだぞ?」


「確かにそれはそうかもしれないっすね…」


「だからお前の登録者は多分バーチャルファンも多いわけよ。俺等のチームが主催するとプロゲーマーファンしか来ないから、盛り上がりに欠けるなってなってさ」


「あーなるほど」


「かといってナナイロのまりんさんとかロイドさんとか呼ぼうと思うと、もう数百万とか費用が掛かるわけよ」


「そ、そんなに?!」


「そうだぞ。だから、まぁこういっちゃなんだが、お前で安くバーチャルファン集められないかなとオーナーも考えてるみたいで…まじですまん」


「いやいや、全然いいっすよ! いつもランク配信してもらってますし! おかげで俺も今期はデストフィニッシュできそうっす」


「ありがとな! そしたら出演費用とか大会の詳細決まったら連絡するわ!」


「ういっす!」




危ない。


本当自分が10万人以上の登録者がいる配信者だって自覚が一ミリもなかった…。


気をつけよ…。


俺はそんなことを思いつつ、ディスボを閉じた。



そして翌日学校から帰るとgoodさんからメッセージが届いていた。




『本当に申し訳ないんだが、出演費用5万でいいか…?』

『問題ないですよ』




と返事をすると、




『悪いな…。一般も来る大会で動画配信の視聴数そこまで見込みにくくてスポンサーつきにくいから、あんまり予算ないらしい。一つ貸しで』

『あざっす。全然気にしないでください!』

『さんきゅ』




ぶっちゃけ5万円で全然問題ない。


むしろ俺がOPEXの大会の解説なんかでお金をもらってもいいのだろうか…。


そっちの方が気になるよ…。




確かに、最近登録者はうなぎ上りに増えており先日15万人を超えた。


しかしこれは、ゆきはさんのお陰だ。


だからあんまり実感がないのかな…。



まぁ確かにできる限り毎日配信するようにはしているし、頑張ってはいるつもりだけど…。



最近のリアルな俺には自分自身がついていけてなかったが、遂にネットの俺にもついていけなくなってきている。



そんなことを思いながら、俺はいつも通りソロ配信を開始した。

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