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満足である

「でも、りのあちゃんと一緒に住んでるって最初聞いた時、その、つ、付き合ってるのかと思った…」


「いえいえ。そんなまさか。たまたまうちに部屋が余ってて、莉乃愛の環境としてもこっちの方がいいってなっただけですよ」


「はい、りのあちゃんに聞きました。すっごいいいお父さんとお母さんだって」


「そうなんですかねぇ…。俺は親父には負けたくないんですけどねぇ…」


「ふふふ、湯月くんって実はすごい負けず嫌いですよね。アークさんの時もそう」




雪菜さんは口に手を当てながら「くくく」と笑っている。




「そうですかね?」


「そうですよー。だって、私にキル数負けると、次の試合絶対勝ってきますよね?(笑)」


「…バレてましたか…」


「でも、そうじゃないとうまくならないですよね!」


「そうかもしれませんねぇ。でもそれで言えば雪菜さんもそうですよね?」


「えへへ、実は?(笑)」




二人で笑って、しばらくそんな他愛もない話をして、「そろそろ戻ろうか」と別荘に戻り、それぞれの部屋に戻って眠った。


多分こんなに日が当たるところに長い時間いたことなくて、俺も疲れていたから変なテンションになっていたのか、陰キャを発動することもなく、雪菜さんとは話せた。





そして翌朝起きるて、直人と一緒にリビングに向かうと既に雪菜さんと彩春ちゃんが起きてパンを焼いたりしていた。




「あ、雪菜ちゃんおはよー、手伝うよー」




と直人は慣れた感じでキッチンに入っていった。




「あ、八代くんも湯月くんもおはよー」


「おはよございまーーす!」




と中里姉妹も挨拶をしてきた。


とりあえず俺はリビングの直人の親父さんの晩酌の残骸を片付けたりしていると、彩春ちゃんが近くにやってきて、




「昨日の夜、おねーちゃんとはどこまで済んだんですかぁ?(ニヤニヤ)」


「なっ…」


「ふふふー、わたしが寝てると思ったら甘いですよ~~~」




そう言い残してキッチンの方に戻っていった。




その後、莉乃愛達も起きてきて、皆で朝ごはんを準備した。


ソファーで寝ていた直人の親父さんは、とりあえず邪魔だからと直人が俺達が寝ていた寝室へと連行した。


そして俺はコーヒーだけだけど、皆で朝ごはんを食べて、出発までまだしばらくあるということで、皆私服のままテラスから海辺へと出ていった。


ガラス張りの室内から見る皆の光景は、男が直人だけで結構イケメンで、様々な種類の美人がいるよくあるハーレムもののアニメの海回そのものだった。




暫くすると、直人の親父さんが起きてきて、




「あーぁ…湯月くんおはよー…」


「あ、お、おはようございます」


「行かなくていいのかい?」


「あ、はい、僕の担当じゃないんで…」


「あはは、ちなみに湯月くんの担当は?」


「…ゲームですかね…?」




と答えると、「最近はゲーム実況もばかにならないからなぁ~うちの事務所でも~…」と言いながらキッチンに向かった。


暫くすると、皆も戻ってきて、荷物をまとめだした。


そしてまとめた荷物を車に乗せ、来た時と同じ配置で車に乗り込んだ。




途中熱海で直人の親父さんお勧めの海鮮系のお店でランチを食べ、直人の親父さんにそれぞれの家まで送ってもらった。




「ありがとうございましたー!」

「あ…ありがとうございました…」




俺と莉乃愛はうちのマンションの車付で降りて、窓を開けてる直人と茜ちゃんと、その奥に見える親父さんに向けて言った。




「新また学校でなー! りのあちゃん新なしで今度遊ぼうねー!」


「それは事務所的にNGでーす!」


「ぐ…ま、まぁまたよろしくね!」


「うん、またよろしくね!」




そう言うと車は出ていった。


それを見送ると俺と莉乃愛もマンションの中に入り家に帰った。




「ただいまー!」




そう莉乃愛が言うと、リビングの方から「おかえり~」という母さんの声が聞こえた。


家に上がりそれぞれの部屋に向かい、俺は疲れたなぁとデスクに座りパソコンをつけた。なんかこんなにパソコン触らなかったの久しぶりかも…


暫く、あ~ネット環境だ~と思いながらパソコンを触っていると、ガチャっとドアが開いて莉乃愛が入ってきた。




「りのあどうしたの?」




と、俺が莉乃愛の方を向くと、




「ん? あっくん楽しかったかなーと思って!」




と言ってベットに座った。




「んー、楽しかったと言えば楽しかったけど、なんか俺が俺じゃないみたいで未だに実感わかない感じかな?」


「あはは! わたしは結構楽しかった! なんかいつもとは違うメンツで新鮮だったし!」


「雪菜さんとも仲良くなってたね莉乃愛」


「えーだっていい子じゃん? 可愛いし、いっぱい写真撮っちゃった」


「あ、俺も1枚撮ったよ」


「え? だれを?」


「あ…」


「だれをだれを~~?(ニヤニヤ)」




しまった。ついぽろっと言ってしまった。


俺はスマホを操作して、




「こ…これです…」




と莉乃愛に見せた。


画面には俺が唯一撮った、莉乃愛と雪菜さんが写真を撮ってるのを、後ろから撮影した画像が表示されている。




「あーわたしと雪菜か。ってかいつ撮ったのよ」


「いや、なんか…絵になるなぁと思ってふと撮ってしまった…」




俺がそう言うと莉乃愛は真剣な感じで俺を見て、




「あっくんって雪菜が好きなの…?」




と聞いてきた。




「いやいや、全く。そんな雪菜さんを好きとかおこがましいにもほどがあるでしょ」


「え、そうなの…?」


「そうだよ。俺だよ? 確かに昔からOPEX教えてはいるけどね」


「そ、そうなんだ…。私はてっきり雪菜みたいな子がタイプなのかと…」


「た、タイプとかそういうのは俺にはよくわからないけど、りのあと雪菜さんがめちゃくちゃ美人だってことはわかるよ」




俺がそういうと、莉乃愛は少し照れたように下を向いた。




「まぁあっくんだしね…」


「そう、俺だから」




すると莉乃愛は顔をあげて、




「まぁでも確かにその写真、なんか後ろ姿なのが逆にいいね! 後で送っておいて!」


「わ…わかった…」


「あっくんと一緒に行けて楽しかったし、満足である!」


「それは良かったよ」




そう言うと莉乃愛は部屋を出ていった。



その日の夕飯の時は、どんな感じだったかを莉乃愛が親に話つつ、莉乃愛の謎のカレーヌードルの話で盛り上がった。



それからは、いつも通りの配信をして少し勉強をしてという毎日に戻り、夏休みが終わった。


途中で莉乃愛にお祭りに行きたい! と連行されたりもしたのだが…。

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